夢じゃないよこのぬくもりは

 冬単が終わって早1ヵ月。ちゃんと燃え尽きて、適当に仕事をして生きている。取り立てた現場はあんまり無くて、夏以降のチケット業務には追われたりしたけど、あれはもう「そういう仕事」なので、あんまり感情を左右させないようにやっている。個人的には物語を扱うより、チケット業務の方が楽です。基本的に家で出来るし。まあ、当たらないとしんどいですが。当たりすぎてもちょっと困るんだよね。難儀。

 6月の前半は韓国へ出張に行かされたりしてバタバタしていた。先月散々遠征していてよかったです。解かれることのない荷物の一部が冬単のまま放置されていたので……。韓国は日本と街並みが似ている。なんか「新宿に似てる」とか「原宿っぽい」みたいな感覚になる街があって興味深かった。きっと韓国の方も日本に来たら「明洞に似てる」とか「聖水っぽい」みたいに思うんじゃないかな。都内各地のこと。あと、有名な場所では結構日本語が通じる。日本人いっぱい渡韓してるんだなぁって思った。景色がすごく綺麗とかそういうのはスケジュール上行けなかったけど、会社の先輩とも仲良しなので、街を歩くだけで結構楽しかった。先月発売された玉染コンビの韓国旅になぞらえた諸々も少しだけ出来た。でも、勝手知ってて言葉の通じる日本が好きだから、しばらく異国はもういいな。次に行くときはNANTAが観たい。

 先週末からはツキウタ。の映画が始まって、昨年末にわたしが狂ったように通ったステでやってた内容そのままなのでネタバレも何も無いんだけど、率直に言って実にツキウタらしい出来栄えだったので「そうだよねぇ」ってなった。予算が無いのがありありと分かる。正直覇権ジャンルでこのクオリティのものを出したら一発炎上って感じだけど(作画も脚本も何もかもが手作り過ぎる)、総合プロデューサーが逃げた今、よく公開まで辿り着いたなぁってことに感動した。映画版の監督の舞台挨拶に行ったけど、あまりにも原作の全方位に気を遣っていただいており、すみません……てなった。
 EDにサプライズとして新曲があって(声優たちは口を滑らせたら消されそうなくらいキツイ箝口令を敷かれていたらしい)、それに乗せてこれまでの12年を振り返る思い出ムービーが流れたのは面白くてアツかった。友人と「これって高3文化祭の後夜祭で流すやつだよね」「もしくは結婚式の披露宴で流すやつ」って泣きながら笑ってしまった。関係者しか泣けない、でもオタクまで全部含めて関係者にしてしまったツキウタだからこそ各地の初回は劇場内みんなすすり泣いたので、まあ良いでしょう。
 運営はポンコツだし、映画終わったら畳まれるかもしれないとんちきコンテンツだけど、わたしはやっぱりどんなことがあっても、嫌いにはなれないジャンルだなと思う。万人受けしないからちょっと周囲には勧めづらいのがな……。とは言えムビチケいっぱいあるからまた観に行くね。

 最近は「好きに生きてよくない?」マインドが強くなっている。いや、世界はずっとそうのはずだし、年に何回か思い出される大事なことなんだけど、それがストンと落ちている時期。わたしはいつも誰かと比較して勝手に劣等感に駆られて息苦しくなっているので、今は少し楽。楽に生きるための心の在り方をいい加減覚えたい。
 誰と比べたって誰かになるのは無理なんだから、勝手に好きで、勝手に一生懸命だったり適当だったりして、それで良いじゃんって思っていたいよね。いつも。何かを突然好きになっても、誰も興味が無いものが特別好きでも、別にどうでも良いんだ。みんなが好きなものを自分も好きだって良いし、そこに資格も隔たりも本当はない。自分が「推しだなんて言えないな」とか線を引くだけで。
 冬単の時に支えてくれた友人各位はあたたかくて、勝手に理想を追っては煮詰まりがちなわたしにそれぞれ色んな言葉をくれたけど「結局楽しんだもん勝ち」「好きなように好きでいていいよ」っていう言葉にすべてが詰まってる気がしている。わたしは楽しむのが下手で、楽しむために条件を付けがちで、ほどほどとかが受け入れられなくて、でもそんなのは本当は全部気にしなくていいことだ。
 あとね、わたしが「何をしている推しがいちばん好き?」って聞いた時に「それは選びがたい」って困ったように笑う人が居たのも、選んだり並べたり序列をつけることなく(たぶん本当に好きすぎて選べないだけなのだろうと思うけど)大きくて丸い愛だなぁって思って、わたしもそんな風に好きなものを柔らかく大切に出来たらいいなーって感じた。
 冬単の個人的な思い出は、雪が降るステージと黒装束と涙と、それから友人たちが贈ってくれた色んな言葉と一緒に食べた美味しかったものたちが螺旋みたいにくるくると思い出される。みんなに優しくして貰って、1ヶ月経過したけど、やっぱりとてもありがたい日々だった。わたしも出来るだけ人に優しくありたい。改めて。

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