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母がUFOにさらわれた(?)話

15年前のこと。
夕食の買出しから戻った母が「…なんか変よ」と言う。
「脳の血管が切れたのかな。記憶がなんかおかしい」とのこと。

話を聞くと、近所のスーパーに入ったあたりから出てくるまでの間の記憶が曖昧だと言う。
夜寝る前に意識が飛び飛びになることがあるが、そのような状態。
夢かうつつか。
そんな状態で、どうやって家まで帰ってきたかも分からないと言う。

帰宅してから洗濯を取り込んだことも覚えていない。
私と交わした会話も思いだせない。
スーパーの袋の中身を確認したところ、すべて買った記憶が無いとのこと。

午前中に本屋で買った週刊誌を、スーパーでも購入している。
材料から判断すると、カレーを作るつもりだったようだが、普段なら買わない種類の肉が入っている。家に残っているレタスも買っている。
レシートがあるのでたしかに購入しているのだが、お金を払った場面も思い出せない。

記憶の断片をたどると「咳き込んで吐きそうになったので、急いで1階に下りてお水を飲んだ。……ということは、私2階に行ったんだわ」といった調子。

しかも、眉間に人差し指で押したような赤いアザがあるのだ……。

心配になって脳外科医のいる夜間病院にタクシーで向かう。
CTを撮ってもらうがまったく異常無し。
眉間のアザは時間とともに消えてしまった。

それから数日気をつけて様子を見ていたが、空白の数時間を除けば普段と変わらず。

我が家の結論はほぼ2つに絞られた。

ひとつは、スーパーの前で宇宙人にさらわれて、眉間に何か埋め込まれ、再びスーパー前で解放された。
スーパーの袋は……。UFOから降ろされるとき、カモフラージュのために渡されたのだろう。

もうひとつは、スーパー前でとても強い霊に憑依され、買物をさせられた。どうしてもカレーが食べたい霊だった。

どちらにしても、大きなことはできない小心者の仕業ということで害は無いだろう、というところに落ち着いたのだった。
謎は残るけれど。

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