ダブルハーベストを読んで01
ダブルハーベストという本について、備忘録も兼ねてCHAPTERごとにまとめていこうと思います。最初は本全体を1つのnoteにまとめようと思ったのですが、ポイントが多すぎてCHAPTERごとにしてしまいました。
CHAPTER1:AIにまつわる誤解を解く
まずは、AIに関する誤解を解こうというのがCHAPTER1のポイント。よく言われるのが「AIが仕事を奪っていく」というもの。この発想をまずは捨てることからはじめようというのがポイントです。
AIが仕事を奪う→AIによって人がムダな仕事から開放される
そのために必要なことが「ヒューマン・イン・ザ・ループ」という考え方。AIの精度が最初30%程度だからといって「使えない」という発想はやめて、AIは人によって育てていくという発想が大事。これを同書ではヒューマン・イン・ザ・ループと表現しています。
AIは最初から100%ではないし、精度100%のAIは存在しない
だから、AIは人が育てるものと考える視点、とても面白いものだと思いました。ここから先は、ヒューマン・イン・ザ・ループについて簡単にまとめました。
ヒューマン・イン・ザ・ループ(HITL)とは?
繰り返しになりますが、AIは人の教育によってさらに賢くなるという考え方が前提です。AIの得意な自動化が向いている分野と、ヒューマン・イン・ザ・ループが向いている分野はおのずから異なります。そのため、AIは人をアシストするものと考えることが大事。
具体例としては、手書き文字のOCRをディープラーニングで精度を上げていくというもの。
・最初は精度が高くない(仮に70%程度の精度)
・信頼度が98点以上→結果出力、98点未満→人の目でチェック
・人によって修正されたデータをAIに再学習させ、精度を上げる(追学習)
【効果】
・人が100%していた仕事が、AI70%・人30%
・つまり、10人でしていた仕事が3人で済み、読み込むスピードも上がるので1日の処理量も増える
・追学習をするとさらに精度が上がり、1人で出来るようになる
最初の認識精度が30%自動化しただけでも、このループを回すことで成果が出る=「精度が低すぎてAIを使う意味がない」という見方は変えたほうがいい
ヒューマン・イン・ザ・ループというアプローチは、業務上・要求される水準に対してAIだけのアウトプットはどうしても満たない場合に、人がそのギャップを埋めるという発想。
人がAIを穴埋めする3パターン
1. 人力検査型
AIの自動的なアウトプットに対して、人がチェックと修正を行う
(例:AI-OCR)
2. 人間バックアップ型
AIが対応するが、ときどき人がサポートする
(例:カスタマーサービスにおけるチャットボット)
3. 監査型
AIのアウトプットのうち、きわめて確信度の高いものはそのままシステムに送られるが、確信度が低い場合は人による操作が求められる。
これは当社が提供している需要予測・自動発注サービスの「sinops」のことだなと思いました。20年以上前からこれを実践しているので、もっと進化させるポイントが見つかったような気がしてます。
ここからは、ヒューマン・イン・ザ・ループの派生型の話しを2つ簡単にまとめています。
HITLの派生①:エキスパート・イン・ザ・ループ
弁護士・会計士・建築士・医師・エンジニア・研究者など高い専門技能をもつエキスパートに対して、ヒューマン・イン・ザ・ループのフレームを当てはめるもの。
エキスパートの専門知識をAI化
エキスパートの仕事を奪うではなく、生産性を何倍にもする
安価でエキスパートのサービスを受けられる→社会的インパクトが大きい
例:Cotobox(商標登録サービス)
HITLの派生②:ユーザー・イン・ザ・ループ
AIの精度を上げていくために、ユーザーに参加してもらうアプローチのこと。
例1)Google翻訳の右下についている翻訳結果のコピーボタン
・コピーボタンを押す=使われている=教師データ
・UXの改善しただけで、AIのトレーニングデータが自然と溜まる仕掛け
例2)テスラのオートパイロット
・画像認識で赤信号・青信号を識別しているが、光の反射で識別できない場合がある
・ドライバーがブレーキを踏んだかどうかのデータがテスラにフィードバック→精度アップ
・ドライバーは普通に運転しているだけ
CHAPTER1の最後に
ヒューマン・イン・ザ・ループの考え方を知ったら、できるだけ早くAIに取り掛かろうと思いました。ここのCHAPTERを読み終えたときに、AIをどこに活用するか?ということを日常の中でも考えるように意識が変わったと思います。
次は、「CHAPTER2:AIによって実現できるさまざまな最終価値」についてもまとめてみようと思います。