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人は何歳になっても自己ベストを更新できるのかチャレンジしてみた㉕

走り始めて20余年。ずっとファンランだったのが、コロナ禍をきっかけにタイム更新をチャレンジし始めたアラフィフおばさんの記録です。マラソン大会=楽しむもの以外の何者でもなかったはずなのに、やけに緊張して当日を迎えた第25回長野マラソン《レース中編》です。

スタートに立つ

軽く準備運動をしてから10分ほど走り、アミノローディングと給水をしてから、もう1度最後のトイレに並びました。私のブロックスタートは8:27でしたが、8:15までにIブロックに整列しないと遅刻者スタート位置に誘導されてしまいます。時間的に微妙でしたがなんとかギリギリ8:10にトイレを出ることができて、ダッシュでブロック最後尾に向かいます。すると聞き覚えのある声が。一つ前のHブロックに並んでいた、一緒に練習してきたオンラインマラソン部のCちゃんが手を振ってました。写真を撮って、エールを交わし合います。そして目的のIブロックの先頭には、同じくオンラインマラソン部でお世話になっている相川さんがペーサー。手を振ると、軽く会釈してくれました。元気をもらって最後尾に向かうと、すぐ近くに伴走ビブスをつけたペアが。そのブラインドランナーは確か1週間前にかすみがうらマラソンで自己ベスト3時間半を更新してなかったかな?声をかけてみると、「はい・・今日はファンランとして楽しみます」と照れ笑い。強いなぁ・・。彼らの背中を追ってみようかと思いましたが、いや、自分のペースで行こう、と防寒用に被っていた45ℓゴミ袋を脱ぎ捨てました。

ハーフまでの前半戦

8:20a.m。Aブロックの号砲が鳴るのが聞こえました。少しずつ前に進むのが、今までのどの大会よりも早い。あっという間にゲートが近づき、チップ計測の踏み台を通る瞬間に左手のGarminのスタートボタンを押したのが8:27a.m。笑顔でゴール、に向かって長い旅の始まりでした。


長野のコースルートは全体を通して比較的平坦で、ほとんどアップダウンはありません。Cちゃんが最後の練習のときに言っていた、「6分半~6分の間で納めていけば(サブ4.5)いけるはず」という言葉を信じて、でも、自分の足の調子も見ながらできれば6分半ギリギリから入っていこう、と思っていました。その予定通り、最初の5kmの入りは

6'27'' - 6'21'' - 6'24'' - 6'25'' - 6'21''

と、理想的なペース。
5km過ぎの最初の給水でスポーツドリンクと水を両方少しずつ摂りました。なぜかすごく水がカルキ臭くて不味い。スポドリだけにすればよかった、、と思いながら、緩やかな上りを進んでいきます。賑やかな善光寺周辺の石畳道路。下りと沿道の応援に押されてここで早く飛ばさないように注意、と去年のランスマで猫さんとハリー君が話していた記憶が蘇ります。ああ、昨日この辺りに来れていたらなぁ。観光名所っぽい美味しそうなお店がたくさん・・と思いながら走っていると、沿道から誰かに呼ばれた気がします。左の方を見ると、多く沿道の応援の中で川越監督が小走りで「がんばって!」と声をかけてくれる姿を発見しました。「はい!」と力強く返し、パワーをもらったところで、昨日受付会場だったビッグハットが近づいてきました。間もなく10km。ということは、、最初のアレを摂るときだ。大阪マラソンの受付ブースで勢いで買って使わなかった、アミノサウルス完走セット。10キロ毎に摂る予定の4つのジェル。最初は黒い方。それぞれ赤いマジックで大きく給水タイミングのキロ表示を書いてポケットに入れていました。

01の白い方がカフェイン入り。
29.7kと36.8k
02の黒い方が10.4kと19.0k
とマジックで書いていた

「次の給水まであと500m」のところで「19.0km」と書かれた黒いパッケージを取り出して切り口を探し、走りながら少しずつ口に入れ始めました。とろーっと甘い、元気出る物質が喉を通り過ぎていきます。糖質はもちろん、アミノ酸、クエン酸、マグネシウムも配合されたオールインワンジェル。私の体内のミトコンドリア、エネルギーの産生工場となって車輪を回し続けてください。ちょっとずつ、ちょっとずつ、何も欠けずに、うまくクエン酸回路を回ってください、何とかゴールまで!と念じながら給水所でまたスポドリ一口とお水を一口ずつ。良かった、今度のお水は美味しかった。

6k-10kまでのラップが
6'39'' - 6'11'' -6'19'' - 6'21 - 6'30

うん、ここまでもたぶん平均すれば6分23秒以内。大丈夫。

ここから市街地を離れ、エムウェーブと呼ばれる折り返しに向かいます。13km過ぎには和太鼓の力強い応援と、さっきのエナジージェルが順調に分解されてエネルギーに変換されてくれているイメージを持ちながら、気になる右の大臀筋とハムストリングに意識がいこうとしたときは、左の方だけに意識を向けます。うん、動いてる。大丈夫。
11k-15kのラップが
6'24’’-6’30’’-6'24''-6'26''-6'32''
うん、少しギリギリだけど、まだ行けてる。
16k-19kのラップが
6’18’’-6’24’’-6’27’’-6'34''ときて、

20K手前で1回目と同様に2つめの黒いアミノジェルを口に入れます。それだけで充分なはずでしたが、美味しそうな給食ポイント、バナナや栗まんじゅうが目に入ってきました。うわ〜なんだか美味しそう。ここでエクストラ糖分に手を出します。栗まんじゅうを一口。んー美味しい。
水分もとって走り再開。
その後の20k目のラップを目にしたとき、ギクっとしました。
       6’59’’
・・・え? そんなにロスったっけ?
ここからが当初「調子がよければハーフ以降はアドレナリンが走らせてくれるはず」の本番が始まります。

ハーフ以降の後半戦

前半余力をもって後半へ貯めておくはずが、栗まんじゅうを食べておきながら全く上げられる気配はありません。
けれど、前に進むしかない。途中折り返しでCちゃんとハイタッチ、相川さんにも合図をもらう。とにかくエネルギーを温存しながら進もう。どっちにしろ飛ばせないので心拍160未満で淡々と進みます。

続く21k-25kラップが

6'48''-6'29''-6'41''-6'47''-6'42''

誤魔化していた右坐骨から膝裏までの鈍痛が段々と本性を出してきました。
「6分半-6分で」という当初の目標はもうこの時点で取り戻すつもりもなくなり、25km過ぎの給食ポイントではまたカステラも一口たべ、収容関門にあったゴールドスプレーを初めて尾骶骨から膝裏まで吹き付けました。
橋を越えて千曲川を渡り、ほぼフラットな道を進んでいきます。

26k-30kラップ
7'19''-6'42''-6'41''-6'42''-6'42''

さあいよいよ30k、ここからが頑張りどころ。何とか7分台にはならないように行きたい、、と思いながらも「ふたこぶラクダ」のアップダウンは容赦なく疲労させてくれます。でもそれとは逆に、残雪の北アルプスの雄大な景色やりんごの花の風景が癒してもくれます。

31k-35kラップ

6'53-6'49''-7'02''-7'11''-7'05''

とうとう7分台まで落ちてしまいました。
36k過ぎ、温まってシワシワになった最後の白いアミノサウルスを口にした途端、吐き気がして胃液が上がってくる感覚があり、半分で捨て、水を喉に流し込みました。
でもそこから間もなく、37km地点のアルプホルンの演奏を目にし、ここはスイス?というような雄大な景色と相まって、、この旅ももうあと5キロくらいで終わってしまうのか、という不思議なもったいないお化けが出てきました。

脚は痛いし、早くゴールしたいけど、でも終わらせるのは勿体無いような、贅沢なコース途上にいるという感覚。この時、ふと、夫の「楽しんで!」という言葉が思い出されました。
そうだ。こんな景色なかなかいつもは望めない。この瞬間瞬間を楽しもう。
堤防道路の直線は風が強くてここが踏ん張りどころ、と言われるだけあって、確かに向かい風が強い。堤防道路を左折する手前、もう一度コールドスプレーをお尻からハムの筋に吹きかけました。

フィニッシュのオリンピックスタジアムまで、ひたすら進むと、沿道も「あと少し」の声が多くなってきます。
スタジアムに入ると、アナウンスや応援の声がひときわ大きく聞こえました。監督やCちゃんの姿も見えます。

36k-ゴールまでのラップ
6’59’’-7'01''-7'23''-7'13-7'10''-7'02''-6'54

想定よりだいぶ落ちてしまったけれど、「最後は根性」で辛うじてビルドアップゴール。フィニッシュゲートをくぐるとき、笑顔で手を挙げました。(つづく)



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