200722_電通事件
事業会社の人事関連部署へ復帰したことから、労務諸判定を行うことが増えてきた。前職でも法律的観点は持って仕事をこなしていたが、従業員の個別の状況に応じて処遇を決めることは殆どなかった。労基法関連を駆使して判断するための足腰が弱っていると感じたので「労働判例百選」を読み直している。
判例の一つに電通事件があった。過労自殺と使用者の損害賠償責任に関する判例であり、1991年の事件だ。読んでいて、2015年に同社で起こった高橋まつりさんの事件を思い出した。両事件とも被害者が入社間もないことが共通しており状況は似ている。
働き方改革など色々なスローガンが叫ばれているが、企業を真に変革させることは本当に難しい。変われなかった最たる例が電通なのだろう。この問題は人事的な切り口で語られがちだが、本当にそうなのだろうか。ビジネスモデルをはじめとした事業、もっというと企業の戦略に関わるような構造的な問題なのかもしれない。