製作現場より~希少な技術となった「手彫りのギョーシェ文字盤」
ウォッチラバーの皆さんこんにちは!
本日は、スイス・ルツェルンにあるクロノスイスのアトリエの様子をご紹介します。
クロノスイスのアトリエは、スイスの中心地であるルツェルンのクロノスイス本社の中心にあります。
アトリエを訪れた来客の皆さんは、誰もが職人たちが真剣に作業を行うアトリエの様子を見ることができるようになっています。
(事前予約制ですが、アトリエツアーも行っています。一度目と二度目の訪問で比べると、二度目のツアー方がよりシークレットな部分を見せてもらえるとか?!)
彼は、チーフデザイナーのマイク。
音楽と自然を愛し、そしてチャーミングな男。
マイクは某ラグジュアリージュエリーブランドのデザイナー兼職人として技術を積んできたキャリアを持っています。
そんな彼が得意とするのが、王侯貴族を中心としたハイジュエリーブランドで大切に継承されてきた、今は失われつつある技術となった「手彫りのギョーシェ」。
古いマシンを使った手彫りのギョーシェは職人に対して非常に高い技術を要す上に、ひとつのピースを仕上げるのには非常に根気と時間がかかります。
大量生産には向かず、非常に手間ヒマ・コストがかかる希少な技術です。
それにより現在は高級腕時計と言えども、自動機械による切削かプレス加工で作られていることが増えてきた、と言われる時代になりました。
クロノスイスでは常に先進的な技術を積極的に取り入れてますが、ギョーシェのダイヤルについてだけは別!
頑なに古典の手法である「職人の手彫り」によってクロノスイスの全ての製品を送り出すことを忠実に守り続け、アトリエでの技術の継承を大切にしています。
クロノスイスの全てのギョーシェ彫りのダイヤルは、自動機械を使用せず、マイクと彼から技術を継承した、クロノスイスの職人たちの手によって生み出されているのです。
手彫りのギョーシェダイヤルの作成は技術もさることながら、マシンの確保も重要課題。
自動機械の台頭により、手動旋盤機は30年ほど前から新規で生産されることはなくなり、どのアトリエでもデッドストックとなった機械を大切にメンテナンスをして使い続けるしかありません。
クロノスイスでは、愛称「チャーリー」や、先日新しく仲間入りした「シック・レディ」など、いずれも100年近く前に製造された今となっては非常に希少な3台のマシンを保有しています。
「シック・レディ」に至っては、何年も探し続けてようやく今年手に入れることができた1930年代製のマシンなのです。
ご覧いただけますでしょうか?
親指の爪よりも小さいパーツに彫り込まれたギョーシェ模様!
じっくりと鑑賞するにふさわしい芸術的な作品ともいえるパーツは、40周年のアニバーサリーモデルのデルフィス オラクルに使用されています。
次回は、エナメル工程の作業をご紹介したいと思います。
お楽しみに!