腕時計ブログ【有名時計ブランドの新作見本市】
■バーゼルワールドにおける事実上の消滅理由と背景
世界最大の時計・宝飾品の国際的な見本市として、毎年春にスイスで開催される「バーゼルワールド」。
歴史は古く、1917年に「スイス見本市バーゼル」が、時計・宝飾品を含む様々な品を展示したことに始まりました。
開催期間は1週間。世界各国から時計関連の企業が参加し、新作時計を発表。また開催期間中はVIPユーザーや業界関係者など招待客のみが入場できるパーティーを毎晩各ブランドが催し、毎年大きな注目を集めていました。
会場はバーゼル市のメッセ・バーゼルで、出展ブランドのブースは各々趣向を凝らした作りになっており、バーゼルの街は2013年以後は関係者・一般者を合わせて12万人以上の来場者で賑わっていました。
しかし、2019年を最後に「バーゼルワールド」は事実上消滅したといわれています。理由としては下記が挙げられます。
10年以上前から、高額な出展料やホスピタリティの低さが問題視されていた。
2020年2月にコロナ禍の影響から開催延期が決まると、続々と複数のブランドが出展を見合わせた。
■バーゼルワールドに代わるウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ
2022年から(オンラインでは2020年から)「ジュネーブサロン」の後継として「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ(W&WG)」が開催されており、「バーゼルワールド」に出展していた多くのブランドはこちらで新作を発表しています。
「W&WG」は、以前SIHH(Salon International Haute Horlogerie)、通称「ジュネーブサロン」と呼ばれており、「バーゼルワールド」から独立した世界時計三大グループの一つが開催し、2023年現在では世界最大規模を誇る新作時計見本市です。「W&WG」は、コロナ禍の影響により2020年、2021年はオンライン上での開催となり、スイスでの現地開催は2022年からとなっています。
今後は「W&WG」が「バーゼルワールド」の役割を担っていくのではないかともいわれています。
当初SIHHは、一般客も来場していた「バーゼル・ワールド」とは異なり、SIHHから招待されたバイヤーやジャーナリスト、そしてジュネーブ市民や関係者だけが入場できるVIP向けの高級サロンのような雰囲気が特徴でしたが、2023年開催の「W&WG」では、ついに一般の人も入場できるようになり、誰でも新作をいち早く見ることができるようになりました。
また2023年は、期間中に新たなイベントとして、ジュネーブにある参加時計ブランドのブティックで各ブランドが独自の特別展示を行い、それぞれのブティックを廻る楽しさも加わりました。このような試みは、時計産業の工業見本市だけにとどまらず、地元ジュネーブ市が賑わう参加型の産業文化イベントとして、今後の時計業界や開催地域の発展に大きく影響していきそうです。