乳幼児3兄弟を抱えてのコロナ感染・自宅療養の記録(前半戦:発症~家庭内隔離)
乳幼児の複数きょうだいを抱える家庭がコロナに感染したら、果たしてどうすればいいのか。
3人の乳幼児を抱える我が家は、2022年7月に新型コロナウィルスの脅威に見舞われました。まず子供が感染し、そこから家族5人全員が感染という残念なケース。
子供の自宅療養のためのアドバイスは色々公開されてはいるけど、ちいさな子供が3人もいると、家庭内隔離も感染予防対策もなかなか理想通りにはいかない。我が家はかなり事前対策をしっかりしていたほうだと思うのですが、それでも難しいことがたくさんあったので、正直な記録をまとめます。
あくまで一家庭における一例で、しかも防衛に失敗している例なので恐縮ですが、この失敗例からでもいくつかの教訓をお伝えできると思います。
ちいさい子供のきょうだいを抱えるご家庭がコロナに備えるための一助になれば幸いです。
■家族構成
0歳7ヶ月、2歳、4歳の3兄弟と、40代夫婦の5人家族。
子供たちは3人とも同じ保育園に通っている。
■感染の概要
2歳児が発熱したのち、保育園から濃厚接触者との連絡あり。翌日に夫が発熱。4日目に2歳と夫の陽性確定。
5日目に0歳と私が発熱。8日目に4歳が発熱。0歳・4歳・私の陽性が確定。
10日目、全員が急性期から脱出。
13日目、全員がほぼ回復。
17日目、全員の自宅療養が終了。無事に社会復帰。
■感染前の生活
夫と私は基本的に在宅勤務、基礎疾患なし。2人ともワクチン3回目まで接種済み(4回目接種の募集が始まる直前のタイミングでした)。
子供たちは5歳未満のためワクチンは対象外で未接種。
保育園では換気や手洗いなど感染対策には気をつけてくれていたが、0歳から5歳の乳幼児にマスクや黙食を徹底することとなど不可能に近い。というか不可能。
なので保育園からの感染については起こりうるものとして覚悟していた。
それでも子供たちが園で得る経験の豊かさ、そして親が仕事をして生活をまわしていく必要性を考えると保育園に通わせないという選択肢は我々にはなかった。
運を天にまかせつつ、万が一の感染に備えて「感染後」を想定した準備だけはしていた。
■感染前にしていた準備
発症時に必要になるもの
地域の発熱外来のリストを印刷しておく(行政のサイトに掲載されていたもの)
大人用の解熱剤、頭痛薬など(子供用は使用期限が短いシロップなので常備できなかった)
電動鼻吸い機(普段から風邪のときに使用している)
SPO2を測るパルスオキシメーター
備蓄関係(災害用備蓄を兼ねて常備)
アルコール消毒液・次亜塩素酸系の消毒液(ハイター)・ビニール手袋・ビニールエプロンなどの衛生用品
紙食器・割り箸などの使い捨て食器
お粥系のレトルト食品・カップ麺・お菓子の缶
オムツ・ミルク缶・米を常に1袋余分にもっておく
食料調達のためのインフラ整備
2種類の生協に加入。日頃から週に2回の配送で生鮮食品やミルク・オムツ類の補充ができる環境を構築。
ネットスーパーに登録。一度試しに使って配送頻度や品揃えを確認。
■感染後の隔離生活
自宅療養については「教えてドクター」の「こどもの自宅療養」についての資料を参考にした。
これはイラスト入りでとってもわかりやすい資料なので、これから療養生活に入る方はぜひ参考にしてほしい。
が、あえて結論から言おう。
コロナ陽性の2歳児を10日間も家庭内隔離するのは無理だ。
感染予防対策を徹底しながら世話をしつづけるのも、正直いって無理だ。
もしかしたらできている方もいるのかもしれない。挑戦する前から諦めるのはよくない。
しかし、3児をかかえる家庭では困難を極めると言わざるを得ない。正直な感想を言えば「無理ゲー」である。
■詳しい経過
我が家はまず2歳児がいきなり発熱し、「保育園で濃厚接触者になっていた」と連絡がくるまでに1日、さらにpCR検査で陽性が確定するまでに5日かかった。
この情報の遅れによって隔離の徹底が遅れ、家庭内感染を招いてしまった。
が、仮に初日から陽性がわかって隔離に踏み切っていたとしても2歳児をほかのきょうだいから10日間隔離しとおすことはおそらく無理だっただろう。
まず2歳児はコロナがよくわかっていない。陽性が確定した段階で「コロナっていうとってもうつりやすい風邪になっちゃったから、ねんねの部屋で過ごそうね」と伝えて一度は寝室隔離に納得してくれたが、数時間で我慢の限界がきて大泣き。そりゃそうだ。
2歳児が発熱した翌日に夫も発熱したため、夫と2歳児を一緒に寝室隔離にしようとしたのだが、「ママがいい!みんなとリビングにいたい!!」と大絶叫。寝室にノートPCを持ち込んでNetflixやYoutubeを見れるようにしてみたが、無力であった。
喉をいためそうな勢いで泣き続けるが、夫も熱があって2歳児をしっかり相手できる状況ではない。しかたなく次男をなだめるために私もマスクをしてたびたび入室することになる。
が、「ママがいい!!!ママここにいて!」と涙と鼻水とよだれまみれですがりつく2歳児。マスクでは防ぎきれない飛沫のダイレクトアタック。
なおビニールエプロンを用意していたが、0歳と4歳の相手をしながらの合間の看病でエプロンまでつけはずしする余裕はまったくなかった。
そして私が寝室にいると誰にも相手してもらえない0歳児と4歳児がすぐに荒れはじめる。
2歳児が私を離してくれないので、苦肉の策として夫がマスクをして0歳児と4歳児をなだめにいく。隔離がまったく機能していない。カオス。
隔離開始数時間にして「これを10日間つづけるのは絶対無理だな…」と絶望的な気分になった。
いっそ全員陽性だったらみんな一緒に過ごせるし、マスクも消毒も捨てられるのに…という思いが何度も頭をよぎる。
しかしこの時点では0歳・4歳・私は無症状のため未検査、夫と2歳だけが陽性が確定しているという状況。
やはりワクチン未摂取の子供が感染するのは怖いし、特に0歳児にうつるのは避けたい。
すでに一家全員感染している可能性もある中で、効力があるかどうかあやしい隔離策を強行するつらさ。
この時期が一番きつかった。
幸いにというか不幸にしてというか、このすぐあとに0歳も発熱し、私も喉が痛くなって微熱が出てきたのでこれはもう2人とも感染しているなと判断して、隔離をゆるめた。
4歳はまだ発熱していなかったけど、普段の味付けでも「味がうすい」と言って食事を食べなくなってきたので、これも陽性の可能性が濃厚だなと判断。
この時点では、高熱が続く夫が寝室療養、0歳と2歳と4歳をマスクした私がリビングで世話するというよくわからない状況になっていた。
あきらかに正解ではないけど、他にすべてを丸く収める方法が思いつかない。
その後、全員の陽性が確定して、晴れて隔離を完全解除。マスクを投げ捨てたときは正直爽快だった。
みんなで同室で過ごし、一緒にごはんを食べ始めてからは生活が格段に楽になった。
■食料の調達について
事前に週2回の生協やネットスーパーの登録などのインフラ構築をしていたおかげで、食料の調達にはまったく困らなかった。
ヨドバシカメラの通販も、食品や日用品をほぼ翌日に配達してくれるのでとても助かった。
配達員さんにドアの前に置いておいてもらって、去ったあとに回収するだけ。
特に役に立った食料品
高熱で食欲がない時期に役に立ったものを参考までに記しておく。
ゼリー系飲料(こどもにはパッケージにくだものの絵が書いてあるものが好評)
オレンジジュース(粉末のカロナールを混ぜて飲ませても味に違和感がない)
野菜生活系のパックジュース(栄養補給に)
ビスコやココナッツサブレなどの薄手ビスケット(食欲が戻り始めた時期にぽりっと食べれる)
ポテトチップス(同上。生協の野菜いりポテトチップが子供には好評)
みかんやデラウェアなど水気の多い果物
素麺、冷やし中華、うどん、そば等のネットスーパーの調理済みチルド麺(回復期の食料としてとても便利)
■隔離生活をふりかえって
2歳が発熱した時点で完全隔離していたら…、そして翌日に発熱したのが夫ではなく私だったら、2歳児と私が寝室にひきこもって、夫が無症状の0歳と4歳の面倒を見るということも可能だったのかもしれません。
もしくは、濃厚接触者になって最初に発熱したのが0歳児か4歳児だったら、あるいはもう少しマシな隔離ができたのかも…。
しかし、2歳と夫がたてつづけに発熱した時点で、我が家の隔離はほぼ無理ゲーになっていました。
そして、仮に発症直後から隔離に踏み切ったとしても、乳幼児を家庭内で10日間隔離しとおすのは無理だっただろうと思います。
結論として、乳幼児が感染したら家庭内感染はもう防げないと覚悟したほうがいいと思います。
とくにちいさい子供が複数いる家庭では、大人はマスクできたとしても子供同士の感染を防ぐのはほぼ無理ゲーだな、というのが正直な感想です。
今回、乳幼児の複数きょうだいがいる家庭での家庭内隔離について随分調べましたが、まず情報がほとんどないし、幼児での成功例は皆無といっていいくらい見当たりませんでした。
最初に感染した子が小学校3年生の場合の成功例はあったので、家庭内隔離が機能するのは小学校の中学年くらいからかもしれませんね…
あとこちらは我が家が全員が感染したあとに出た記事ですが、自分のお子さんが感染した医師が「ゾーニング(隔離)による対策は諦めました」と語っておられます。
それでも大人は感染をまぬがれたそうで、就寝時もマスクをつけること、歯磨きをお風呂場ですることがコツだそうです。
これから対策をされる方はぜひ参考にしてみてください。
■それでも家庭内の感染を防ぎたいなら
今回の経験で、子供が複数いる家庭で、もしも家庭内にどうしても感染を避けたい人間がいるなら、その人が家を出るほうが実効性が高いと感じた。
実際に知人で、エッセンシャルワーカーの父親が感染予防のために家を出て、発熱した子供3人と無症状の母親が自宅療養でがんばっている人がいる。
看病する親が発熱した場合はかなり厳しい状況になるが、家庭内感染を予防するならこのパターンが一番有効だろう。
また、大人が先に発熱した場合はその大人がすぐにホテル療養に移るのも有効だと思う。
なお、発熱した子供と親が家を出てホテル療養をするパターンも理屈としては可能だが、経験者の体験談を見ると「療養施設に子ども用の薬の準備がない」「食事が子供向けでない」などの理由で子連れホテル療養はなかなか難易度が高そうに感じた。
我が家では逆に大変になりそうにだったのでホテル療養は選択しなかった。
■病状
我が家はありがたいことに全員軽症ですみました。
子供:3人とも、急に39~40度近い高熱が出て、1~2日続く。熱が出ているあいだは解熱剤も効きにくく心配になるが、その後スッと下がった。
2歳児のみ、いったん解熱した2日後にもう一度高熱が出た。
高熱の間は食欲が落ち、ジュースやゼリー飲料、素麺を少量ずつしか摂れない時期があった。
解熱後も食欲の回復まで数日かかったのと鼻水による鼻詰まりがしばらく続いたが、それ以外に目立った後遺症はなし。
4歳児は「味が薄い」「匂いがしない」との訴えがあったが、それも数日でおさまった。
熱が下がってからは基本的に元気。
私:微熱と喉の痛みから始まり、1日だけ39度近い高熱が出た。寒気と関節痛があり、インフルエンザに近い感じ。解熱剤を使わずに翌日には解熱。
解熱したあとから激しい咳と頭痛が始まり、処方されたカロナールと喉の薬を飲んだら数日でおさまった。
匂いと味が弱くなった感じがあったが、これも2日ほどで元に戻った。
寝込んだのは2日だけで、あとは普通に動けた。拍子抜けするほど軽症。
夫:普段から家族で一番風邪をひきやすく、今回も一番症状が強かった。
高熱が2日続き、解熱剤を飲んでもなかなか下がらない。
その後微熱と喉の痛み・激しい咳が2日続き、起きて動くと息が苦しくなるとのことでほぼ寝たきり。SPO2は正常。
解熱後も頻繁に激しく咳こむことが度々あるが、肺炎によるものではなく、鼻水が喉に落ちることによる後鼻漏(こうびろう)によるものと思われる。
(普段から風邪のあとはしばらく後鼻漏に悩まされるタイプ)
■仕事
夫婦ともにリモートワークであったが、2歳が濃厚接触者になり、子供3人を抱えての自宅待機が確定した時点で夫も私も休みを取った。
会社からは「たぶんみんなうつるから休みは長引くだろうね…がんばって」とあたたかいエール(?)をいただいた。
前半は看病もありまったく仕事ができなかったが、全員の症状が回復してきた頃から、夫と私と半日ずつ交代で仕事を再開した。
■病院の受診について
濃厚接触者の連絡がきた時点で、最初に発熱した2歳児と夫のために発熱外来を探したが、どこも一杯。
かかりつけの患者のみで新患の受け入れを中止しているところ、おそらく医師が感染してオンライン診療のみになっているところなどもあり、医療崩壊の気配を感じた。
往診サービスやオンライン診療もパンク状態で受け付けてもらえない。
最初は何十件も電話をしては全滅していたが、数日先まで発熱外来のネット予約ができる病院をみつけたことでようやく受診ができた。
pCR検査を受けることができた時点で、最初の2歳児の発熱から4日が経っていた。
後半は0歳児と私が発熱した日が土日だったので、週明けに4歳児含めて3人分の予約を取った。
一度かかれる病院を見つけてしまえば、前半の苦労はなんだったのかというくらいスムーズに予約が取れた。
すでに先の2人に陽性判定が出ていたので検査なしでのみなし陽性になるかなと思っていたが、症状からコロナと断定することは難しいということでpCR検査もされた。
検査機関が混んでいて結果がでるのに3日ほどかかるかもと言われたが、翌日には病院から陽性の連絡があった。
■陽性と判明したあとの関係機関からの連絡
・厚労省からの連絡
病院からの陽性連絡があったあと、厚生労働省からSMSが届き、COCOAで陽性者登録をするようにとの連絡があった。
しかし文面が非常にわかりにくく、最初迷惑メールの類かと思ってしまった。
また、誰に対してのメッセージなのか宛名が書かれていない。
子供の分も親のスマホにSMSがくるため、宛先不明のメッセージが4通も私のスマホに届いてしまい、どれが自分の陽性者番号かわからず結局登録できなかった。
せめて本文中に宛名と陽性者番号を明記してほしい。
・自治体からの連絡
神奈川県からは自動音声による健康チェックの電話が一日一回かかってきた。これも自分の分と子供3人分で4件かかってくる。
こちらは「〇〇様についてお聞きします」とかろうじて下の名前だけ指定してくれるので、誰の分の質問か混乱せずに回答できた。
が、咳と喉の痛みがあるときはAIがなかなか音声を認識してくれず苦労した。
神奈川県ではLINEメッセージでの健康チェックも実施しており、そちらに登録すれば電話でのチェックは回避できる。
しかし、システム上の都合で1つのスマホから1人分しか登録できない。結局自分の分だけはLINEメッセージで、子供3人の分は自動音声電話で回答することになった。
・健康チェックシステム My-HERSYS
厚労省が提供する新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム「My-HERSYS」。
毎日の健康チェックから療養証明書の発行、医療保険の申請ができたりとなかなか便利と聞くので使うつもりで調べたが、なんと神奈川県では採用されていなかった。
全国的に同じシステムを使えるわけではないと知り、衝撃を受けた。
・保健所からの連絡
我が自治体では重症化リスクの高い「重点観察対象者」のみに保健所から連絡がある。我が家では0歳児がそれに該当していた。
0歳の陽性が判明した日から3日後に保健所から電話連絡があり、健康チェックやホテル療養・配食サービスを希望するかの確認があった。
この時点で0歳児はすでに解熱して元気になっており、食事にも困っていなかったのでホテル療養も配食サービスも辞退した。
そしてこの保健所からの電話ではじめて、神奈川県の「自宅・宿泊療養のしおり」なる案内文書が行政サイトにあることを知る。
自宅療養の初日に知りたかったことのほとんどがここに書いてあった。もっと早く知りたかった。
「検査した医療機関でもらいませんでしたか?」と聞かれたが、受け取った記憶がない。どこも混乱しているのだろう。
■情報の入手について
発熱外来のリストから療養の手引きまで、基本的には自治体発行のしっかりした資料が存在していた。
が、自分から検索して探さないと勝手には手元に届かない。
陽性の可能性が出た時点で「なにをしたらいいんだろう」とパニックになりがちなので、迷ったらまず自分が住む自治体のサイトの最新情報にあたってみるといいと思う。
以上、子供が新型コロナウィルスに感染した5人家族の一例でした。
とりあえず情報がフレッシュなうちにざっくり書いたので、あとで修正するかもしれません。
後日、「後半戦:症状の回復~自宅療養生活の乗り切り方」をアップしようと思います。
どなたかの参考になれば幸いです。