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旅行業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本 [第5版]
第1章 ポスト・コロナと旅行会社の新経営戦略
旅行統計が示すコロナ禍の影響
海外渡航の全面的な禁止
国内旅行消費の激減
2020年、前年比60%減の11兆円
JATA(日本旅行協会)からの退会を見ると旅行業の自主廃業傾向がわかる
添乗業務も減少
コロナ禍で変わった国民の余暇行動
在宅レジャーが増加
動画鑑賞が初のトップに
次いで読書、音楽鑑賞
OTAとメタサーチエンジンの台頭
OTAの取扱高がTTAの3倍とかになってきている
ダイナミックプライシング
航空会社、新幹線などでレベニューマネジメントのために導入されている
コロナ禍で変わるDMOの役割
コロナ禍で登録要件が厳格化
地域復興の司令塔としてのDMOが期待される
第2章 旅行DXとトラベルテック
FIT(Foreign Independent Tour/Traveler)の増加
パッケージツアーを利用せずに自分で旅行工程を組み、自分で航空券やホテルなどを手配する
個人がICTツールを使いこなしながら旅行を組み立てるように
これによりメタサーチの取扱高も増化傾向
トラベルテックの主要事業者
BtoB
予約促進サービス
ビッグデータ分析ツール
ダイナミックプライシング
クラウドファンディング
BtoC
決済サービス
多言語サービス
チャットボット
IoTサービス
荷物預輸送
ロボット
サイネージ
MaaS
スマートロック
スマートホテル
顔認証
CtoC
メタサーチ
旅行体験マーケットプレイス
シェアリング
マッチング
第3章 旅行業の全体像を知る
アゴ、アシ、マクラ - 旅の三要素
旅行商品=旅行素材+付加価値(旅行会社の機能)+サービス/非日常性の演出/独自性
旅行素材
食事=アゴ
交通=アシ
宿泊=マクラ
デアイ
アソビ
マナビ
人的サービス
付加価値
手配/手続き代行
コンサルテーション
保証
費用削減
企画の提案
快適性の提供
旅行商品の特性
サービス商品
ストックされない
定価がない
差別性の発揮がしづらい
コモディティ化、価格競争に陥りやすい
旅行業者の報酬
旅行業法の定義では
旅行者から収受する取扱手数料
運送/宿泊機関から収受する販売手数料
他社のパッケージツアーを販売した場合の、当該他社から収受する販売手数料
収益は、販売代金に対して10~15%くらいと言われている
近年は、価格設定の切り下げから5~8%の商品も
標準旅行業約款
募集型企画旅行
いわゆるパッケージツアー
旅程時保証、特別保証などが適用される
手配旅行より収益高い
受注型企画旅行
団体旅行とか修学旅行とか
旅程時保証、特別保証などが適用される
手配旅行
旅行会社は旅程や事故などに対する責任は負わない
主要プレイヤー
サプライヤー
ホールセラー
リテーラー
OTAとか
ディストリビューター
海外旅行資材専門の卸売
BTM(出張とかビジネス向け)
インハウス旅行会社
アメックス系列とか
ツアーオペレーター
ホテル、食事、ガイドの手配などを専門に行う
ランドオペレーターとも呼ばれる
一般旅行者と直接取引しないので、旅行業登録不要
GDS
Amadeusとか
添乗員派遣会社
ホテルレップ
海外のホテルチェーンなどが予約や営業のために日本に設置する事務所
業者登録
第一種旅行業
基本何でもできる
第二種旅行業
海外の募集型企画旅行ができない
第三種旅行業
募集型企画旅行ができない
地域限定旅行業
営業所の存する市町村/隣接する市町村などの限定された地域だけで企画旅行、手配旅行などが行える
旅行業者代理業
第一〜第三種までのとこかの会社に所属して、代理で旅行業務を取り扱える
業態別の分類
BtoC
総合旅行系
全ての旅行商品を造成、さまざまな流通チャネルで販売
商品造成自社販売系
旅行商品を造成し、自社チャネルで販売
メディア・通信販売系
新聞広告などを通じて自社商品を販売
リテーラー
他社の企画商品を販売
手配旅行の取り扱い
インターネット販売系
OTA
業務性旅行特化系
インハウスとか
BtoB
ホールセラー
海外旅行ディストリビューター
海外旅行素材を旅行会社に卸売
海外ランドオペレーター
海外現地での旅行手配を日本の旅行会社から受注
資本系列による分類
運輸会社系
JR系/私鉄系/バス会社系/航空会社系/客船系
流通系、カード会社系
百貨店やスーパー、カード会社など
農協系、生協、各種団体系
組合員向けに販売
新聞社系
自社媒体を活かして、折込チラシなどで旅行者を募集
商社系、物流会社系
航空貨物を取り扱う会社や、商社のインハウス
出版社系
雑誌のメディアを活用して、ダイレクトマーケティングを展開
ツアーオペレーター系
現地手配などを専門に行う
インハウス・エージェント系
グループ企業の出張や、商用旅行などを扱う
独立新興系
大手資本には属さない
熟年ツアー、ハネムーン、留学など特定の得意分野を持つところが多い
外資系
外国航空会社と提携関係にある旅行会社
ネット企業系
楽天トラベルとか
第4章 旅行会社の仕事と仕組み
企画旅行商品
ブロック予約
主に個人旅行
一定機関、一定数の部屋を予約
=在庫
委託期間中は自由に販売し、手仕舞いと呼ばれる日を決めて売れ残りは宿泊施設にかえす
スポット予約
主に団体旅行
年契約を結ばずに、注文が発生した段階で予約する
旅行会社とサプライヤーの駆け引き
オンシーズン オフシーズン 旅行会社 売れる自信があるために、他社より一つでも多く仕入れたい 仕入れのリスクが発生しやすいために、最小限にとどめたい サプライヤー 直接販売も可能で、代理店には少し強気になれる 旅行会社の総客に期待したいため、各種特典を用意
格安航空券
航空会社から旅行会社にブロック売り
旅行会社にとって格安航空券は、一枚当たりの利益は薄い
しかし、大量に販売する上に、販売数に応じて旅行会社から別途に割戻金という報奨金がもらえる
航空券の種類
ノーマル
正規運賃の航空券
PEX
ZONEPEX
ノーマルより少し安い、航空会社ごとの正規割引運賃
APEX
早く予約するほど安くなる
FIX
往路と復路の日時と便が決められていて、変更できない
旅行会社からしか購入できない
OPEN
復路の便を滞在先で変更できる
旅行会社からしか購入できない
旅行業の国家資格
旅行業務取扱管理者
総合管理者
海外旅行/外国人向け旅行含む
国内管理者
国内のみ
地域限定旅行業務取扱管理者
第5章 旅行業の発展史を知る
1891 アメックスが旅行業者としての地位を確立
1905 南新介(日本旅行創業者)が伊勢神宮参拝団などの団体旅行の走り
旧国鉄系のJTBと日本旅行は国鉄圏の販売を許されていたが、近畿日本ツーリストと東急観光は私鉄系なので国鉄圏の販売ができなかった。
そこで団体客を中心とした営業に力を入れ、修学旅行で圧倒的な力を発揮するように
1964 観光目的の渡航が自由化され、海外旅行の取扱増
1965 JALパック発売
1968 JTBと日通が海外主催旅行で業務提携、「ルック」発売
↓大手では卸売を軸とする海外旅行商品が主流に
1971 日本旅行の「マッハ」パッケージツアー
1972 近畿日本ツーリストの「ホリデイ」パッケージツアー
典型的な労働集約産業であることから、営業といえば店舗と営業員による外交営業が中心に
ライバル会社も多く、競争に勝つためにスーパーやコンビニのようなドミナント戦略、営業所の多店舗化が必要になった
やがてダイレクトマーケティングになっていく流れ
近年はインターネットの発達により、サプライヤーやホールセラーと旅行者が直接やりとりするように
電鉄系旅行会社の経営が脆弱化
(各企業の歩みがまとめられている)
JR系
JTB
王者
東京オリンピックの前年に設立
旧国鉄の民営化が転機に
KNT-CT
ブランド力、営業力のKNTとマーケ/商品企画/無店舗販売ノウハウのあるCT
日本旅行
多分一番古い
阪急交通社
HIS
ベンチャー的扱い
個人/若年層/海外旅行経験の豊富な層/レジャー層など
2005年からはJTB/阪急交通社を抑えて海外旅行取扱額のトップに
楽天トラベル
1996「ホテルの窓口」として日立造船グループ社員の出張向けに開業
1999「旅の窓口」にリニューアル
2001「楽天トラベル」オープン
2004楽天トラベルが旅の窓口を買収/吸収
ヤフー/リクルートは横並びで楽天トラベルを追う形に
第6章 ポストコロナ社会での新しい旅行需要
特にメモなし
第7章 これからの地域限定旅行会社と小規模旅行社
特にメモなし