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「ちがうか!?ガハハ!!」が口癖のおじさんになりたい -不惑ノスゝメ-

◆前書き/「不惑」について

「四十にして惑わず」

とは中国の偉大なる思想家、孔子の著作「論語」に登場する一節であります。
 孔子が自身の生涯を振り返り、40歳で惑わされることがなくなったと述べるところから、「不惑」という言葉は40歳のことを指します。

 さて、2024年ももうすぐ11月を迎えようとしている向寒の折、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 実は私は数え年で今年40歳です。まさしくこの「不惑」が指す歳。人生のいろんな要素に諦めと折り合いがつき始め、およそ自分が目指すべき人生の全体像も見えてくる頃です。床屋のおじさんには頭頂部の毛根の心配をされ、誕生日には妻が無言で育毛剤をラッピングして渡してくれる、そんな私もいつまでも若い人のフリはしていられない。そろそろ惑わないおじさんとしての身の振り方を考える時期が来てしまった。そのように感じております。

 しかし昨日の昨日までバカみたいに同年代のゲーム友達とゲラゲラ笑いながらゲームする毎日を過ごしている私が、急にそんな「もう惑いません(キリッ」みたいなダンディなおじさんになれるワケもありません。
 無理なくソツなく、おじさんとして「おじさん」をやっていくには、それ相応のロールモデルが必要なのではないか。
 そこで思い当たったのが、いつかどこかで出会ったような気がしないでもない、

「ちがうか!?ガハハ!!」が口癖のおじさん

なのです。

◆「ちがうか!?ガハハ!!」が口癖のおじさんとは

 東京近郊の知人にこの「ちがうか!?ガハハ!!」が口癖のおじさんの存在を仄めかしたところ「そんなおっさんいねえだろ」って即答されました。いやそんなハズはない。まぁ確かに、自分の親戚にも近所にも、この「ちがうか!?ガハハ!!」が口癖のおじさんが特にいるわけではないのですが、でも確かに、この世のどこかに「いる」、それがこのおじさんなのです。こういった事実は関西出身の方々には幅広く知られていることと思います。

 この「ちがうか!?ガハハ!!」が口癖のおじさんというのは、親戚の集まりに現れて、以下のようなことを言うわけです。

「おう、坊主ももう中学生か!賢そうな顔しとるな!テストは全部100点満点の200点やな!!ちがうか!?ガハハ!!」

などと、

・ややデリカシーのない
・ありもしない大袈裟な話を
・自分自身の「ちがうか!?ガハハ!!」で無理矢理締めることで他人にツッコむ隙を与えず
・自己完結してしまう

そういうおじさんなのです。

 鬱陶しく見えますか?鬱陶しいですよね。
 でも、このおじさん、意外と凄いと思うんですよ。

 以下、このおじさんを便宜上「ちがうかおじさん」と呼称します。
 あまり悪い意味で捉えてほしくないので、ここでは想像しうる限り理想的な「ちがうかおじさん」について述べていきたい。

◆「ちがうかおじさん」は何が凄いのか

 では、理想的な「ちがうかおじさん」の何が凄いか、徹底的に解剖していきましょう。

・いい方向に話を盛る

 理想的な「ちがうかおじさん」は、大袈裟に話を盛るが、決して悪い方向には盛らない。鬱陶しくはあるが、ポジティブな話題だけを矢継ぎ早に出すことで不思議な清涼感を残していくのだ。

・話を聞く人を拘束しない

 理想的な「ちがうかおじさん」は、突然現れ、突然話を盛り始め、突然ガハハと笑い、瞬く間に去っていく。周りの人が顔を顰めたとしても、少し湿度のある爽やかな風のように颯爽と通り過ぎていくのだ。

・即座にジョークが言える

 理想的な「ちがうかおじさん」は、発言権を与えられた場面がいかなるものであっても、即座に話を盛り、「ちがうか!?ガハハ!!」と笑い、センテンスを終える。会話の反射神経が凄いのだ。

・相手のパーソナリティに合ったジョークが言える

 理想的な「ちがうかおじさん」は、相手の立場や環境に応じた柔軟な立ち回りができる。デリカシーがあるのかないのかよくわからないからマイナス評価がしづらいのだ。

・若者に媚びない

 理想的な「ちがうかおじさん」は、敢えてややデリカシーのないジョークを発することで、若者と目線を同じくしないことを明確にする。若者と明確な距離感を築くことで、おじさんとしての確固たるアイデンティティを示しているのだ。

・お金を使わない

 理想的な「ちがうかおじさん」は、あくまでジョークやトークの勢いで存在感を示すため、親戚の子供達にお金をばら撒くような下品な真似はしないし、する必要がない。故にコスパが良く、サステナブルで環境にやさしい存在なのだ。

◆つまりどういうことだってばよ


 そう、「ちがうかおじさん」は、見る角度によっては社会から弾き出されるべき存在のように見えるかもしれないが、それすら全て計算され尽くした、キモそうでキモくない少しキモいおじさんなのだ!
 イケオジになることを諦めた頭頂部の薄いおっさんであっても、「ちがうか!?ガハハ!!」構文を身につけることで、親戚の集まりで存在感を示すことができる!
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というような話を一通り考えた後、娘に

「大きくなったら娘ちゃんも旦那さん3人くらいできるかもな!ちがうか!?ガハハ!!」

って言ったら

「え、何それ、こわ…」

ってドン引きされて向こうへ行ってしまいました。
 やはりおじさんたるもの、若い女の子にドン引きされてナンボですよね!ちがうか!?ガハハ!!…今日も枕元の抜け毛が凄いな…ハ…ハハ…

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