何が入っているかわからないワクワク感・・・中国の「盲盒」について調べてみた!
突然ですが、カプセルトイや福袋など、“何が入っているかわからない商品”を買ったことはありますか?
カプセルトイはデパートやスーパーなど至る所に設置してありますし、お正月になると毎年福袋が話題になります。どちらも何が入っているかわからない商品で、商品を手に入れることだけでなくそのワクワク感も楽しむことができます。
何が入っているかわからない商品をワクワクしながら購入したり、コンプリートする楽しみを味わっているのは日本だけではありません。
中国では、「盲盒」といわれる商品がここ数年話題になっているようです。
「盲盒」とは箱入りのカプセルトイで、開けてみるまで何が入っているかわかりません。日本でも見かけるチョコエッグのようなイメージです。
「盲盒」の代表格 POP MART
POP MARTは2010年に中国・北京で設立されました。中身が見えない「盲盒」仕様の箱型カプセルトイの製造及び販売が主力事業です。2020年に香港にて上場していて、同年に日本法人も設立されています。
こちらのサイトはPOP MART JAPANのオンラインショップです。日本国内向けに販売しているサイトですが、基本的にラインナップは中国と同様です。
造形の丁寧な美しさ、凝ったデザインが目を惹きます。
POP MARTの商品はこのような箱に入った状態で販売されています。手の平に乗るサイズで、側面にプリントされている商品のうちどれが出るかは開けてみないとわかりません。
商品の種類は様々あり、上記がその一覧です。MOLLYやPUCKYという名前がキャラクターの名前で、その中でも様々なシリーズが展開されています。
先程の商品は「DIMOO」という商品の「ペット バケーション」という シリーズです。このシリーズは全13種(ノーマル12種+シークレット1種)で、日本での販売価格は一体1,100円(税込)で、アソートセットと呼ばれている12体セットになっている商品は1,320円です。同じキャラクターでもシリーズによって様々な商品が展開されています。
中身が見えないという仕様は、何もPOP MARTが始めたわけではありません。日本同様、中国にもカプセルトイやくじ引きはあり、要素として珍しいわけではありませんでした。では何故、POP MARTは人気を集めたのでしょうか?
最初はMOLLYというキャラクターがヒット
最初にヒットしたこのキャラクター。MOLLYといいます。
先程のキャラクター同様、全種類コンプリートするには少なくとも10,000円以上かかります。価格帯や、造形の丁寧さからターゲットは大人で、シークレットを当てたり、全種類コレクションするのを目的として購入する人も少なくありません。2019年にはMOLLYシリーズの商品が700万個売り上げたとの報告もあり、POP MARTで最も主力なキャラクターと言えるでしょう。
また、他企業とのコラボレーションも積極的に行なっており、昨年2020年の七夕時期にはYSL(イブ・サンローラン)とのコラボ商品も展開しています。
お試しサイズの化粧品や香水と、MOLLYのフィギュアのセットです。数量限定販売で日本円で11,000円程と、通常のYSL商品と比べても安価なことから即完売するほどの人気だったとか。
中国国外でも人気を集めている
POP MARTは日本を始めとする、中国国外のファンも多くいます。POP MARTの世界観をそのまま盛り込んだ巨大な自動販売機「ROBO SHOP」は、中国の主要63都市の1877台をはじめ、シンガポール、韓国、香港、台湾、カナダ、アメリカ、 日本を合わせ1925台が稼働中です。2021年現在、日本には東京や埼玉の中心部で6台ほど稼働しています。
ポップアップショップを中心とする店舗も人気で、日本でも約40店舗程が営業しています。
知的財産権が事業の核
POP MARTはこのMOLLYを始めとする、オリジナルキャラクターのIP(知的財産権)を所有しています。独自IPは12個、独占的なライセンスを獲得したIPは25個、非独占的IPも56個所有しています。
中にはディズニーなど既に人気の高いキャラクターのライセンスも取得していますが、最も高い人気と売上を誇るのはやはり先程のMOLLYです。2017年~2019年のMollyの売り上げ全体の占める割合はそれぞれ89.4%、62.9%、32.9%と、大部分を占めています。(参考文献:https://www.chaitopi.com/2020/12/11/popmart-ipo/)
何が出てくるかわからないドキドキ感がありながら、その造形の美しさや発想力の高さから、人気を集めています。
POP MARTを満喫する人たち
既に細かいところまで完成されているPOP MARTの商品ですが、それを思う存分楽しんでいる方々をご紹介します。
これは、購入したPOP MARTの商品をweiboに投稿している方々です。何が当たるかわからないからこそ、当たったものをシェアして交流を楽しんでいます。また、重複して当たったものはSNSを通じて交換相手を探すという交流も見られるようです。
さらに、ビリビリ動画でフィギュアの改造動画を配信している方もいます。本物と遜色ないクオリティーで、自分好みのキャラクターを生み出しているのです。
中国だけでなく、日本のファンも同様にコレクションを並べて撮影した写真などで交流を楽しんでいます。
ドリアン「盲盒」?!
「盲盒」という仕様について調べていくと、実に様々な商品にこの仕様が取り入れられていることがわかりました。
その一つが、航空チケットの盲盒です。2021年春頃発売された商品は、出発地のみ選択することができますが、行き先はわからないという「盲盒」の要素を入れたチケットです。主催は航空機チケット手配サイトで、様々な航空機会社が協賛しています。価格は1,500円と破格の安さです。
「目的地盲盒」と書かれているこの画像は、実際に購入したチケットの画像です。SNSでは当たったチケットについての投稿や、この画像をつけた投稿がよく見られるようで、投稿数は11万、閲覧数は8,700万回を超えていて、注目されていることがわかります。
ちなみに日本でも航空会社のPeachが、旅くじという名前で似ているサービスを提供していました。一回5,000円でどこに行くかわからないチケットが当たるというものです。行ったことがない場所に行くきっかけにもなる面白い企画としてSNS等で話題になりました。
ここまで紹介してきた「盲盒」は、箱や袋に何が入っているかわからない商品のことですが、とあるフルーツが「盲盒」として楽しまれていることがわかりました。
それはドリアンです!ドリアンで盲盒?どういうことなのでしょうか?
調べてみると、ドリアンは開けてみるまで実がどのくらい詰まっているかわからないため、開けてみるまで中身がわからないという点から、榴莲盲盒(ドリアン盲盒)として楽しまれているということでした。SNSには#榴莲盲盒のタグがつけられた投稿が数多くありました。
中国では元々ドリアンを日常的に食べる文化があります。スーパーでドリアンを購入し食べるだけでも、盲盒として楽しんでいるのですね。本来の盲盒ではありませんが、盲盒という文化が生んだSNS上のブームといえるでしょう。
今回は盲盒について調査していました。開けてみるまで何が入っているかわからないというワクワクは購買の動機の一つになります。その多くはカプセルトイやおもちゃですが、それ以外の業界にも盲盒の要素が取り入れられている面白い例もありました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。次回もお楽しみに。