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2019.7.25(thu)の日記

⁑⁑当時の日記から抜粋⁑⁑

骨髄移植をしないといけないと先生から言われた日。

看護師さんが二人でお話ししましょうか、と言ってくれて話している時にじわじわ実感が湧き出て泣いてしまった。抗がん剤、放射線治療も必要だから不妊になってしまうので卵子の冷凍保存もできるから希望があれば今のうちにしておきますか?という話もしてくれた。

病気以前に自分は結婚できない人間なのかもと最近思っていたから(好きな人はいたけど手の届かない人だったから諦めていたし、妥協してリアルの世界でパートナーを作る気にもなれなかった)これで精神的にも身体的にも結婚はムリなのかもしれないなと思ってしまった。普通のことが普通にできないかもしれない。そういうことをぐるぐる考えだすと泣けてくる。病院のトイレでも帰りの車でも、治療の怖さ・これからの仕事のこと・お金のこと・結婚せずに独りで生きていくこと……いろんなことを考えると涙がとまらなかった。

今まで普通に見えていた世界・人たちが急に羨ましく思えてしまった。すぐ家族に話をできる自信がなくて、帰り道に海に寄った。

ひとりで座って波をぼーっと眺めているだけで泣けてくる。自分はこれからどうなるのか、怖い、不安。そればっかり。潮風と海の匂いが子どものときお父さんが連れてってくれた海を思い出させてさらに泣けてしまった。

なんとか家に帰り家族に話すと、不思議と少し落ち着けた。二人とも取り乱したりはしなかったけど、きっと今ごろネットで調べたりすごく心配してくれてるような気がする。年の離れた弟と姪っ子も家に来ていたので二人と遊んで少し病気のことを忘れられた。やっぱり子どもはかわいい。

車でなんとなくGLAYを聴きたくなって大好きなアルバム『GLAY』を再生する。「Apologize」が今の心境にはまりすぎて号泣。高校卒業してすぐ隣町で就職してつらいことがあったらいつも聴いていた曲。その当時も家族を思って聴いて泣いていた曲。

「ずっとずっと 心配かけたね ずっとずっと 言えずI'm sorry

ずっとずっと凍えそうな場所から ずっとずっと 守ってくれたね」

©︎TAKURO/GLAY

自分でもずっと骨髄移植についてネットで調べる。でも調べれば調べるほど怖くなる。またお母さんと詳しいお話を病院に聞きにいくまではなんとか気を紛らわして過ごそうと思う。


この時を振り返って

久々に闘病中の最初の日記帳を開いてみて、忘れかけてた記憶を思い出しました。今も治療は続いているし、実は先日まで1ヶ月半入院していたのでなんだか病気のせいで色々世界が変わってしまったなあと思う昼下がり。なんだかキーパンチする手も震える。

病気のせいで、というか病気のおかげで気付けたこともたくさんある。でも大病をした人だからこそわかること、感じることがあるからそれをひとりでも多くの人に知ってもらえたらと思っています。

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