北陸を走る、レヴォーグとのGW旅
血迷ったと言って良いかもしれない。
もともと車はそこまで好きなわけではなかった。あんなものは走れば良い。排気量マウントなんて不毛だ。高い車はブランドだろう。昔はそう思っていたのだが、オートバイに数年乗ったことで考えが変わってしまった。
やっぱり、車は走りが大事である。
今年の2月から横須賀に移住したこともあり、中古で6年落ちのレヴォーグを購入した。車を持って初めてのGWということもあり、新潟に赴任中の友人を誘って北陸を回ることにした。
今回はその旅行記である。
0日目: 関越はつらいよ
5/3の関越は絶対に混む。分かっていたことなので、5/2の夜に新潟に向かうことにした。正直あんまり混まないだろうとタカをくくっていたが、大泉JCT周辺から藤岡JCTまで常に交通量が多く、高坂SA付近のサグ渋滞にもしっかり捕まってしまった。20:35に板橋JCTを通過して22:55に上里SAで最初の休憩を取っているから、100km程度の区間に2時間半近くを要していることになる。渋滞がなければ1時間程度で着く距離なのに。
レヴォーグは前車追従クルーズコントロールに加えアクティブレーンキープがあり、ロングドライブが楽な車ではあるのだが、それでも渋滞は辛い。越後川口SAで2回目の休憩を取ったのは日付を回った24:45くらい。正直フラフラなのだが、なんとか意識を保って新潟の友人宅には午前2時過ぎに到着した。
1日目: 新潟の広さに打ちのめされる
初日はまず和倉温泉まで移動する。旅程を立てたときはレヴォーグ納車前だったので、本来は新高岡でレンタカーを借りて和倉温泉に行く常識的な旅程を立てていた。このルートは60km程度、1時間もあれば到着するので途中で氷見に寄って観光するつもりでいた。
ところがレヴォーグで全行程を走ることにしたため、初日から320km超のドライブをすることとなった。前日はだいたい3時就寝、6時間睡眠で出発しているので初日の出発時点でだいぶグロッキーである。大丈夫なのか。
途中、親不知の道の駅で昼食を食べつつ海岸を眺める。10時前に新潟市を出て、昼を過ぎてもまだギリギリ新潟なのが怖い。静岡でも味わったことのない恐怖である。
駐車場はGWなだけあってほぼ満車。食堂では数十分待ちという大混雑である。刺身定食が900円でものすごい量だったので気になったがちょうど売り切れで悲しみ。
結局和倉温泉には17:00ごろ到着し、完全に移動日になってしまった。夕食はお好み焼き屋で楽しんだが、もはや気力が残っておらずご飯の写真が残っていない。
ちなみに和倉温泉は加水しないのが流儀らしく、泊まった宿(もちろん加賀屋のような高級宿ではない)のお風呂はたいへん熱かった。感覚的には渋温泉より若干低いか同じくらいなので、45度以上はありそう。とはいえおそらく泉質は良く、前日の疲れもあってぐっすり寝られた。
2日目: 能登最北端へ
2日目はのとじま水族館を見た後に禄剛崎を回って輪島に泊まる予定でいた。のとじま水族館は全国でも数少ないジンベイザメの生体展示があるのだ。ここもなかなかの混雑で、オープン直後でもけっこう駐車場が埋まっていた。出るときは入り口に渋滞が発生していたので、GW恐るべしといったところ。
ジンベイザメ以外も展示が凝っていて、ペンギンが昼ドラ顔負けの人間模様ならぬペンギン模様を描いていたりしていた。ペンギン、不倫するんですね。
のとじま水族館を出た後はノリで九十九湾に向かうことにした。車があるとこういう雑な動きができて良い。
九十九湾にはイカの駅つくモールという道の駅的な施設がある。ここにはニュースにもなった「交付金で作られた巨大なイカの像」が存在する。好事家は交付金を謎に使った物に弱い。
能登半島のだいぶ奥にもかかわらずここも駐車場が満杯で、しかも例の像は写真撮影する人が多い。交付金、役に立ってるじゃん。平場の日に来たらグルメも楽しめそうだが、残念ながら混雑を理由に撤退。能登半島最北端の禄剛崎に行くことにした。
禄剛崎は能登半島最北端の道の駅、狼煙から行ける。ここも駐車場が満車ではないものの混雑。凄いなGW。金沢からでも2時間半はかかるというのに。
北の先端なので朝日と夕日が両方見られるお得ポイントらしい。270度くらい海、というのは岬特有の良さがあるので時間をかけても行く価値はある。
昼食は能登半島最北端のカレー屋で。今は地震で休業しているらしいので、オンラインショップで買い支えようと思ったらカレーは売り切れ(悲しみ)。写真では分かりにくいが、サラダにクミンシードがかかっている本格派でオススメ。能登半島最北端に来た際は是非行って欲しい。
この後は国道249号線を通って輪島へ。途中で千枚田を通ったが、入場規制がかかっていて入るどころの騒ぎではなかった。平場の休日に来たいですね。奥能登。
黄砂etc.で車の汚れが目立ったので洗車を輪島で実施。夕食はスーパーで地元食材を買い込んで宿で済ませた。ノープラン旅行なので予約をしていないのである。
3日目: 冷や汗
3日目。5/5である。輪島の朝市を見てから千里浜なぎさドライブウェイを走り、コスモアイル羽咋を見てからゆっくり宿に向かうつもりでいた。
まずは朝7:30ごろから輪島の朝市を見た。やはりここも混雑が凄い。仕方ないのでちくわとおはぎだけ買い食いして離脱。その後はまっすぐ千里浜なぎさドライブウェイへ。
千里浜なぎさドライブウェイは日本で唯一、砂浜を自動車で走れる道である。バイクで行こうと考えたこともあったが、片道500km超というハードルに尻込みしていた。
しかし、今はレヴォーグがある。千里浜に行けるからこそ、敢えて過酷なこの旅程をレヴォーグで完遂しようと思ったのだ。これが軽自動車やコンパクトカーだったら絶対に諦めていた。
果たして綺麗に晴れていた。写真撮影には絶好の天候だ。
羽咋側の終端はGWにもかかわらずけっこう空いていた。車を波打ち際に停めて、何枚も写真を撮る。家から1000km以上運転した甲斐があったと心から思った。
せっかくだし、なぎさドライブウェイを行けるところまで行こうと思ったら金沢方は羽咋側の空きっぷりが嘘のように混んでいた。
その後はコスモアイル羽咋へ。なぜかヴォストークの実物など、米ソの宇宙開発史のマイルストーンを彩る貴重な展示物が豊富に置いてある博物館である。宇宙開発好きにはオススメ。
せっかく石川に来たのだし、ということで昼食は8番らーめんで。味噌で頼んだが、太縮れ麺ということもあり個人的には醤油で食べるほうが東京の人間には合っていそうに感じた。
適度に時間もあるので、松井秀喜ベースボールミュージアムにでも行こうかという謎のノリで小松へ。
入り口ではいきなり幼少期の松井秀喜像が出迎えてくれる。松井秀喜くらいになると子供の頃の姿が銅像にされるし、高校の定期券すらも展示品にされるのだなぁと恐怖した。これが歴史的な政治家とか芸術家になると私信すら後世の人間に史料として晒されてしまうので、実績を残しすぎるのも考え物だ。プライベートすらも商品になってしまうのだから。
あと、入り口付近のモニュメントに小さい頃の文集的なものも晒されており、もう許してやれよ……という気分に。
館内で松井秀喜の映像を見ていると急に携帯が鳴る。周りの人も鳴っているからJアラートか緊急地震速報だ。携帯を見ると地震の文字。とはいえ倒れやすいものから離れるくらいしかやることがない。
P波が来て、S波が来た。S波はそこまで大きくないが、P波を感じられて、しかも揺れた時間が長いということは北陸のどこかでM6以上の地震が起こったことは想像できた。
こういう時の速報値を見るには強震モニタが良い。速報値はM7(実際はM6.5) のため、あっコレあかんやつやと脳が緊急対応モードに切り替わった。
津波警報は出ていないが、震源が陸地ではないことを確認した瞬間に即退館、車を山の方に走らせた。カーラジオではNHKを流す。NHKが津波の心配がないことを伝えたことで一安心したが、もはや松井秀喜のことは何も覚えていない。
そんなこんなで粟津温泉の宿へ。NHKをつけると、昨日いた道が土砂崩れで通行止めになり、見覚えのある町並みが壊れていた。もし1日地震が早く起こっていたら珠洲で孤立していた可能性がある。背筋の凍る思いだ。宿にいる間も一度緊急地震速報が鳴って緊張感のある一日を過ごした。
4日目: うさぎは疲れると伸びる
福井との県境近くに月うさぎの里という施設がある。ものすごい数のうさぎが飼われている広場があり、餌を買うとうさぎたちが餌を求めてタカってくる楽園……というのが前に来訪した際の印象だったが、ここでも大型連休の脅威は襲いかかってきた。
そう、連休中ずっと人と触れ合ったせいで、うさぎが疲れ切っていたのである。餌を持っても無反応。彼らはわざわざ人の居ない場所を選んで寝ており、恐怖した。
元気のある時は何も持っていなくても餌を要求する奴らが、である。参考までに元気のある時の写真を貼っておこう。もう雰囲気が違う。
うさぎが疲れていては仕方ないので、その日はそのまま新潟まで走った。夜は新潟駅近くの居酒屋にて。その後友人の家で飲み直していたのだが、運転疲れか記憶がない。
5日目: 帰路は普通すぎた
晴れていれば友人と新潟周辺をドライブしてから帰ろうかと思っていたが、けっこうな雨だったので9時前に新潟を出発。途中、赤城高原で休憩して14時少し前に帰宅した。渋滞には引っかからなかったので、だいたい5時間。雨で80km/h規制区間が長かったので、晴れているときなら4時間半くらいになったかもしれないが、一つのベンチマークとしてみて良いだろう。
帰宅時には68883kmまで伸びていた。出発時は67053kmだったので、1800kmほどを走ったことになる。1日平均でも300km。アホなのかもしれない。ちなみに給油は3回している。燃費走行を意識すると14.5km/lくらいは出るのでもう少し攻められたかもしれないが、ガス欠しては元も子もないのでまぁこんなところかと思う。
こういったひたすら運転する旅行は上級者向けというか、鉄道乗り潰しを学生時代にやっていた人とか、距離感がバグっている人にしかオススメできない。しかし、普通の人がやらないことをやることで話のネタになる面は確実に存在する。
とはいえ、6日間も走り続けていると筆致も散漫になるので、次からは一泊二日でテーマを持った走りをしたいと思う。
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