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仕事を続けながら税理士合格を果たした「勉強法」(2)

今回は、税理士試験に合格した師岡徹さんに、より具体的な目標管理やスケジューリングの方法を聞いていきます。


ゴールから逆算して予定を立てる

──そういえば、師岡さんは、どういった流れで税理士試験に合格されたんですか?

師岡:1年目は全滅でした。2年目で簿記論、3年目で財務諸表論に合格して、その後大学院に行きながら卒業時に消費税法をとって、6年で終わりました。死ぬほど勉強した6年間でしたね。

──一番苦しかったのはいつですか?

師岡:2回あって、まずは最初の簿記論が受かるまで。1年目で受からなかったときの挫折感は大きかったですよ。あとは最後の年で、専門学校の先生に「あなたが受からなかったら誰も受からない」っておっしゃってもらえるレベルまで勉強したんですよ。他校の答練(答案練習:模試のようなもの)で全国1位をとったりしていたので。で、本試験で1問大ミスして「終わったー」と思って、12月の発表まではつらかったですね。魂が抜けた感じで。結局、合格できましたが。

──しかも、働きながらですからね。

師岡:だから、合格したときはうれしかったです。

──そうそう。師岡さんのスケジューリングのコツを教えてください。

師岡:先々を見通しながら、ゴールに向けて逆算できるかどうかが鍵になります。国家資格の合格者に共通していると思いますが「今日は何をやろうかな」と当日に考えているようでは合格できないんですよ。大まかにでも、日々やるべきことを明確にしておく。これが、スケジュールを組むときに大切なことです。そのために、どこで勉強の時間を確保できるのかをつかむことが大切でした。

──だから、一覧性に優れた「超」整理手帳を使っていたわけですね。具体的には?

師岡:私はスケジュールを「プラン」「プログラム」「アクション」に分けて考えました。ゴール(試験日)までの大まかな流れが「プラン」です。これは長期間を見渡せる「超」整理手帳を使います。スケジュール・シートを見ながら「いつ、どの時間帯に、どれだけ勉強できる時間があるのか」を考え、青い枠で勉強時間をできるだけ確保して、ゴールまでのおおよその勉強時間を「見える化」しました。これは超整理手帳の一覧性があるからだからできたことです。他の手帳では真似できませんね。

いつ、どんな勉強をするかという細かいスケジュールが「プログラム」です。これはグーグルカレンダーやエクセルに落とし込んで、30分単位で予定管理していました。で、日々のタスクリストで「アクション」につなげていくわけです。

──なるほど。大まかなスケジュールは紙の「超」整理手帳で管理して、ゴールまでの流れを把握する(プラン)、日々の綿密な行動計画はデジタルで管理(プログラム)するわけですね。そして、日々の行動(アクション)に落とし込む。

バッファーでずれた予定を調整

──決めたスケジュールは、きちんと守れていたんですか?

師岡:これは受験生あるあるですが、最初の計画で「過大に見積もりすぎてしまう」んです。そのためスケジュールを守れないことがけっこうあり、プログラムの修正に時間がかかっていました。そのとき、ふと野口悠紀雄先生『「超」手帳法』を読み返し、スケジュールのバッファー(衝撃緩衝材)が必要だと気づきました。金曜の夜や日曜の夕方はできるだけバッファーとして、予定を入れないようにしたんです。そこでできなかった勉強をフォローするわけです。

──なるほど。バッファーをつくることで、スケジュールに少し余裕を持たせるわけですね。細かいスケジュールは、修正しながら決めていくんですか?

師岡:そうです。毎週プログラミングの部分でちょこちょこ予定を修正しながら、考えていく感じです。「超」整理手帳で決めた予定を軸に、日々できなかったこと、できたことを考慮に入れて、修正を重ねながらゴール(試験日)に照準を合わせていくわけです。いかに綿密に、適切な計画を立てるかが重要ですが、できないこともありますから、バッファーで調整したり、実績を踏まえて修正したりといった作業がどうしても必要です。

──なるほど。大枠はできるだけ守って、できなかったところはスケジュールを調整しながら帳尻を合わせていくわけですね。難関試験合格には、スケジューリングがいかに必要かがわかりました。スケジューリングなしで、やみくもに勉強したら、合格できると思いますか?

師岡:絶対に合格できないと思います。というか、受かるとしても、すごく時間がかかると思います。

──「なんとなくがんばる」といった漠然とした目標管理ではだめなんですね。中期目標短期目標みたいなのを設定しながら、ゴールに向けていかないと。

師岡:そうですね。このプラン、プログラム、アクションという流れをつくれたからこそ合格できたと思っています。野口悠紀雄先生の「超」整理手帳と『「超」手帳法』や『「超」整理法』の基本的な哲学が、試験勉強のような目標管理に合っていたんだと思います。今はデジタルでスケジュール管理する人も多いと思いますが、デジタルと紙の違いって、やはり一覧性なんです。どんなにスマホやタブレットの画面が大きくなっても、一覧性とパッと開いて書き込めるスピードは、まだ紙には勝てません。これはデジタルの短所かもしれませんが、画面が切り替わると、頭も一緒に切り替わってしまうんですよね。だから時間を連続して把握することが難しいんです。

──ところで、勉強中にリフレッシュはしていたんですか?

散歩などのリフレッシュもスケジューリングしていました。カメラを持って出かけたり。あとは左脳を解放するために、好きな文具の雑誌や写真集を眺めたり。お酒は受験仲間と月に一度だけと決めていましたね。友人との飲み会は断腸の思いで断りました。余談ですが、教室の前のほうに座っている、やる気のありそうな人に声をかけたりして、仲間とモチベーションを維持する工夫もしていました。

──なるほど。6年間勉強を続けて、税理士資格取得後の今の生活はどうですか?

師岡:本当に、がんばってよかったと思っています。理由は当たり前ですが、経済的に安定したこと。それに加えて、有資格者だからできることが思った以上にたくさんあったことです。たとえば、ボランティアで税金の滞納相談をしているのですが、そういった社会的な役割を果たせていることも、仕事のやりがいにつながっています。

──税理士という難関資格に合格するために、スケジュール管理がこれほど重要だったというのは驚きました。ありがとうございます!





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