見出し画像

シニア向けおしゃべりAIへの期待

こんにちは。
デイサービス長老大学 代表の澤本洋介(@sawamoto482)です。

近頃、シニア向けAIおしゃべりサービスの話題を見聞きすることが増えてきました。

私達は、日本一ご利用様との会話を大切にするデイサービスを目指し、2015年から聞き書き介護に取り組んで来ました。

私は、高齢者の皆さまとの会話こそ「人間にしかできない仕事」であり、会話からの学びこそが「介護の仕事の最もおもしろいところ」という思いを持っています。
だから、そこにAIが入ることに対しては、「できるわけない」という懐疑的な思いと「この楽しみは渡したくない」という抵抗感を持っていました。

しかし、生成AIサービスであるchatGPTとClaudeに毎日触れるなかで、AIと人との協働で介護現場は今よりも暮らしやすく、シニアの皆さまとの会話は今よりもっと面白くなると思うようになりました。

シニアの皆様はどんな人との会話を楽しむか?

シニアの皆様はどんな人との会話を楽しむのか?
数100人を超える高齢者の皆様と、100人近いスタッフ・ボランティア様との会話の様子を見てくるなかで、シニアの皆さまが「どんな人とのを楽しいと感じるのか?」が、わかってきました。

それは、知的好奇心の強い人です。
シニアの皆さまが語る内容に本気で関心を持ち、それを深く知ろうとする思いのある人。
具体的な行動で言えば、知らない言葉や単語が出てきた時に、それについてご利用者様に聞いたり、自分でも調べようと思える人です。

例えば、このブログにも何度も記事を書いてくれているリモート聞き書きスタッフのあいかわさんは知的好奇心がとても強く、「心から知りたい」と思うお気持ちがご利用者様にも伝わり、会話が弾み、ご利用者様も会話を通じてとてもお元気になります。

会話の効能

介護の現場には、心身の様々な症状により易怒性が高まり、自分や他人へのイラダチがおさまらない方も大勢おられます。
ちょっとした物音でイライラする気持ちが刺激され、暴言や暴力などのいわゆる「問題行動」が現れる方も少なくありません。
そのような状況では、グループでの会話や、ご利用者さん同士の会話は難しい場合が多いです。

しかし、そうした方にとっても、自分の語りに対して「興味を持っている」、自分に対して「リスペクトがある」相手と1対1で話をしている時間は、心が弾む楽しい時間です。
前述したような知的好奇心が強く、知識のあるスタッフが1対1でお話をしている最中は、見違えるほどに気持ちが落ち着かれ、笑顔で朗らかに過ごしてくださいます。

おしゃべりAIに期待すること

人が1人ついて会話をしていれば、とても穏やかに過ごすことができる。
だけれども、スタッフが離れてしばらくすると、暴言・暴力などの問題行動が出てしまう。
そのような方は少なくありません。

1日を通して、スタッフが1人がつきっきりになることは、どうしてもできないため、対応に頭を悩ませる介護現場は少なくないと思います。

もし、そのような場面に、その方に関する情報を持ち、その方に対して強く興味関心を持った状態の「おしゃべりAI」が会話をし、さらに会話で得られた情報を(ご本人とご家族の同意の元)現場職員に共有してくれるようなシステムがあったなら、きっと現場職員とご利用者さまとの会話もさらに豊かなものになると思います。

倫理的な問題として、AIが人の尊厳に深く関わる情報を学習して人間と会話をすることが、どこまで許されるか?という議論もあると思いますが、私は、特に、その方個人に特化したおしゃべりAIに強く期待しています。

おしゃべりAI開発企業・研究者の皆さまへ私達が協力できること

要介護状態の高齢者の方は、様々なご事情から若い方に比べて発声が明瞭ではない事が多いです。
また、地方ではお若い方に比べて、方言の使用率も高いです。
そうした影響もあり、現状のおしゃべりAIでは、要介護状態の高齢者の方との長時間の会話はまだ難しいです。

しかし、今のAIの進化のスピードを見ていると、それへの対応も近い将来は十分実現が可能なように思います。そして、全くの素人ながら、これらのデータがあれば、その実現のお役に立てるのではないかと思っています。

・ご利用者様と介護専門職とのマンツーマンの会話データ(動画・音声)
・介護専門職がアセスメントした、ご利用者様の興味関心のデータ(テキスト)
・介護専門職による「聞き書き」データ(テキスト)

私達は上記のデータを、ご利用者様ご家族様のご同意の元、相当な量を保有しています。もちろんAI開発については、ご同意をあらたに頂く必要がありますが、ご協力に前向きなご利用者様ご家族様も大勢いらっしゃいます。

おしゃべりAI開発企業の皆様、研究者の皆様へ
私達は皆様の開発・研究にとても期待しています。おそらく、日本でもトップクラスに、協力できる介護事業所だと自負しています。
もしご興味をお持ちいただけましたら、まずは具体的な協力方法を一緒に話し合いませんか?
オンラインミーティングでぜひ一度お話ししましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?