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コロナのせいなのか


それとも死を目前にした祖母に会いに行くための旅だからなのか、飛行機が飛び立つ瞬間、いつもより死を近くに感じる。
故障して落ちることだって普通にあり得る。


五輪開会式の前日、私は東京を離れる。
五輪中のテロを警戒したいつもより警備員の多い空港。観光というよりは痺れを切らした帰省と言った風情の搭乗客。(旅行のカップルさんなども少しはいました)

このご時世にスーツケースを持って電車に乗ってまさかの空港、しかも到着地はこちらもまたコロナの影響が甚大な札幌(千歳)。
ごめんなさいとしか言いようがない。

コロナの前の3年間、私は夏季に2ヶ月ほど北海道で避暑をしていた。その頃の祖母はまだ年老いてはいても、重大な疾患はなく、変わらない日常生活を送っていた。また来年ね、と言って別れて…

コロナで帰省できずにいたこの2年半。祖母は98になり、臓器も最終段階を迎え、身体に痛みが出たり、食欲の低下がおこってきた。
祖母は腎臓が特に衰えてしまったようで腎臓病という名をつけられてはいるが、これはほとんど老衰に近いだろう。その時が近づいているのは間違いない。

訃報を受けてから飛行機をとって行くことよりも、存命なうちに会って話をすることに意味があると思った。

さいわい、空港で簡易検査が行える。
正式なPCRではない(PCRは予約が取れなかった)がクイック検査というものをなんとか受けて、異常なし。
(数日前には予約数が終わるので早めに予約すると良い)祖母と母と姉の好きそうなお菓子を買って飛行機に乗った。


ここから二日間、思う存分祖母を甘やかしてくる予定。

積乱雲の上は穏やか。
さらば東京五輪。


(五輪やってる間に戻ってくるけどね)

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