【超速GP】TATB6 コースレイアウト解説
皆さんこんにちは、アンリミニ四駆ステーション店主のアンリです。今回はTATB6で使用したコースレイアウトの解説をしたいと思います。それではいきましょう。
①TATB6のレイアウト
まずはレイアウト全体から見ていきましょう。
今回のレイアウトは派手さはないもののギミックの多い非常にテクニカルなコースでした。主なギミックは”DJセクション”、”芝セクション”、”2段スロープセクション”、”デジタルセクション”、”LCセクション”の5つ。
派手さがないと言ったように一見シンプルなギミックばかりですが、それをうまく組み合わせることで非常に頭を悩ませる難コースを作り出すことができます。その組み合わせの妙をこれから説明していきます。
②1つ目のギミック
まずはレイアウト作りのスタートから。今回、最初に選んだギミックはドラゴンジャンプでした。
ドラゴンジャンプは通り抜けるときにマシンが跳ねて、そのバウンドが原因で次のコーナーでCOしてしまうリスクがあるセクションです。侵入速度によってバウンドの挙動が異なり、速く入ることでよりバウンドしやすくなります。DJ後の着地枚数によってはバウンドが合わずCOし、バウンドを抑えるか、あるいはバウンドのタイミングが合えばエアターンで抜けられます。
そのDJ後の着地を3枚とタイト目にすることで、繊細な侵入速度が求められるようにしました。さらに直前のコーナーをデジタルにすることで、より要素を複雑にしました。この説明はまた後ほど。
今回はこのDJセクションを軸にレイアウトを広げていきました。
③2つ目のギミック
DJセクションの次に考えたのが芝セクションです。
2つ目のギミックを考えるとき、1つ目のギミックに干渉するものを考えるのが僕のやり方です。
1つ目のDJをクリアするために考えるのが最高速到達時間です。到達を遅くしてDJへの侵入速度を落とし、バウンドを抑えるというのが定石です。その到達を遅くするのに必要なのが、パワー値を落として加速を抑えること。また、マシンの重量を軽くすることでバウンドを抑えることもできます。
そこで芝セクションです。芝はパワーが低いマシンは減速してしまいます。つまりパワーを抑えたいDJにパワーが必要な芝を組み合わせることでセッティングを悩ませることが狙いです。
しかもグライドバンクの登り、中間、着地の3つに芝があり、対策をしっかりしないとかなりタイムロスになります。ただ、オフロード特性を搭載すればパワーが低めでも減速しないという解決策があります。
でも芝は計6枚分と多く、パワー値を抑えたいマシンでタイヤだけでオフロード特性を搭載しても十分ではありません。1、2枚ならごまかせたかもしれないですね。でも確信犯的に6枚にしています。しかもグライドバンクなので登りの芝1枚で減速すればこのセクションでかなりロスします。
モーターでパワーを盛ることはできないし、ホイールや他のパーツで盛ってもDJをクリアするのが難しくなります。つまりここをクリアするためにはオフロード特性のボディが必要になります。走った皆さんならわかると思いますが、この時点で節電ボディは適正ではというのが本当の狙いでした。あまり意味がなさそうな芝セクションですが、じつはコースの特性を決定的に変えたセクションです。
そして節電ボディが適正ではないというのをさらに広げるのが次のギミックです。
④3つ目のギミック
これまでの記事でも紹介してきましたが、僕はレイアウト作りでギミックの3つの集合(詳しくはこちらのリンクから)を大事にしています。ここまでの2つのギミックを発展させるために選んだ3つ目のギミックがレーンチェンジです。
レーンチェンジを最後の難関にしたのは、先ほど言った節電ボディが適正ではないコースをさらに広げるためです。
LCは侵入速度が速いと着地の枚数が少ないほどCOのリスクが高い難しいギミック。クリアするためにはとにかくLCの侵入速度を落とすしかありません。手段としてはまずはマシンの速度自体を落とすこと。もう一つはコーナー減速を高めて、コーナーで減速すること。さらに電池をたれさせて速度を落とすことがあります。
もうお分かりだと思いますが、この3周目のLCでは電池をたれさせることが必要です。節電を盛るのではなく、最後のLCをクリアできるギリギリまで節電を抜かせたいという狙いがありました。
これで3つのギミックで到達時間、オフロード、節電抜き、コーナー減速という4つの要素が絡むコースになりました。ただ、正直このままではそこそこ難しいコースでしかないと思いました。そこでこの4つの要素をさらに広げるギミックを加えることにしました。
⑤デジタルセクション
コーナー減速、到達時間をさらに広げるためにまず思いついたのがDJ直前のデジタルコーナーです。
DJ直前のコーナーをデジタルにすることで、通常のコーナーよりも減速が利くようになります。DJをクリアするのが難しく、このデジタルをうまく使って減速すればいけると考えた人は多いと思います。しかし、それは僕が仕掛けた罠です。
最後のLCをクリアできるまでコーナー減速を高めた状態でデジタルを普通に通過すると必要以上にロスしてしまいます。この罠に気がついてもらうため、そして節電抜きをさらに広げるために追加したのがデジタルセクションです。
このセクションでは計4枚のデジタルがあります。先ほどのコーナーも合わせると6枚のデジタルになります。このコースの速度帯の6枚はそれほどスタミナ耐久を必要としません。
つまりこのデジタルセクションは耐久を求めるものではなく、タイムを詰めるための加速セクションでした。そこで必要なのがスライドダンパーのデジタル特性です。フロントとウイングにスライドダンパーをつけるというアイデアに辿りつけるかは大きなポイントでした。
最初のデジタルコーナーはデジタルを使って減速するのではなく、デジタルで加速しながらDJをクリアできる到達時間を探すほうが、よりタイムを詰めることができました。ただ、最初のコーナーで加速しすぎてもDJをクリアできないので、ここはかなりセッティングを難しくさせたと思います。
さらにこれは芝セクションのオフロード特性にも言えますが、節電抜きで遅くなる3周目に芝とデジタルを減速せずにクリアできるというのは大事なポイントです。
⑥2段スロープセクション
こんどは先ほど述べた芝セクションのオフロードをさらに広げるためギミックを追加します。それが2段スロープです
2段スロープはスロープを越えるときに、ある程度速度があると勢いよく飛び出していきます。着地を1枚にすることで速過ぎても遅過ぎてもエアターンが決まらないギミックになります。これだけでも速度制限のあるいやらしいギミックです。
オフロード特性が搭載されていないマシンだと電池がたれる3周目に速度が足りずにエアターンが決まらなくなることがあり、逆にオフロード特性があれば電池がたれても速度を落とさずクリアできます。
これでオフロード、節電抜きの要素を広げるギミックの完成です。デジタルと2段スロープを追加することで到達時間、オフロード、節電抜き、コーナー減速という要素がさらに深みを増しました。
⑦仕上げのセクション
節電ボディを選択していると、3周目でも各セクションでそこまでロスしないかもしれませんが、節電が抜けないためにLCのクリアが難しくなります。そうなるとかなり強いコーナー減速が必要になります。そこを牽制するためにちょい足ししたのがバンク・コーナーセクションです。
コーナー減速が強すぎるとこのS字コーナー、45度バンク、R2100コーナーでロスしてしまいます。電池がたれた状態でのロスを抑える意味でもコーナー減速は最低限に抑える必要があります。節電ボディを選ぶと各周のコーナーでロスが生まれるというのが僕のメージです。
もう一つのちょい足しは最初のデジタルコーナー後の1枚ダートです。
これもオフロード特性がなければ減速に使えるという罠です。全体のギミックをトータルしてデジタル、オフロードで減速するか、加速するかを天秤にかけたときに加速したほうがタイムを詰めやすいというのが、このコース全体の正体だったと言えます。
最後はスタート直後のロングストレートです。到達時間は抑えつつ、最高速をギリギリまで詰めていくことでこのストレートが生きてくるイメージです。長いストレートを見ると速度を出したくなる誘惑に駆られてしまうところを抑えなければいけないというポイントでもありましたね。
⑧まとめ
ここまで説明した通り、ほぼすべてのコースパーツに意味があり、1周目から3周目まで線でつながっています。派手さはなくともこれだけ要素が絡み合うことで、この難コースが生まれました。
各セクションの特性を掴み、3周トータルで見ることができれば、セッティングが見えてきたかもしれないですね。また、それが見えてきやすいようにギミックにメッセージを込めたつもりです。
個人ランク上位のレーサーはここらへんが見えていた人たちだと思います。でも長々と説明しましたが、あくまでもこれは僕が想定したものなので、想定を壊したセッティングも別に間違いではありません。むしろ僕の想定を越えたセッティングで攻略されるのは嬉しいものです。
最後にこのコースレイアウト解説が、各チームのマーシャルさんのコース作りの参考になれば嬉しいです。それではお粗末様でした。