日本で一番早い初日の出 ~銚子と太陽と月~
銚子の犬吠埼は,日本で一番早く初日の出が見られる場所として有名です(山頂・離島を除く)。
日本の最東端は北海道根室市の納沙布(のさっぷ)岬ですが(東経145度49分),地軸の傾きのため,元日前後の10日間に限って,犬吠埼(東経140度31分)が日本で一番早く日の出を迎えます。
2024年1月1日の犬吠埼の日の出は,6時46分です。
国立天文台のウェブサイトに,各地の初日の出の時刻が掲載されています。
日本国内で初日の出が一番早いのは南鳥島の5時27分ですが,ここには人が居住していません。
人が居住している場所で一番早いのは,小笠原諸島の母島の6時20分。
北海道・本州・四国・九州の中で一番早いのは,富士山山頂の6時42分。
そして,離島と山頂を除いて一番早いのが,犬吠埼の6時46分です(納沙布岬は6時49分)。
日の出が有名な銚子ですが,月の出(?)も,実は隠れた名所です。
「月への階段(Staircase to the Moon)」と呼ばれる自然現象があります。
海面に水平線から顔を出した満月に向かって一直線に光の筋が現れる幻想的な光景で,オーストラリア北西部のブルームでよく見られるそうです。
この「月への階段」を,なんと銚子の犬吠埼でも見ることができます。
日の出が有名な銚子ですが,日の入りも素敵です。
地球の丸く見える丘展望館から西に屏風ヶ浦を見渡せますが,日が暮れてくると,その先に富士山の影が小さく姿を現します。
2月下旬と10月中旬には,気象条件が揃えば,夕日と富士山が重なる「ダイヤモンド富士」が見られます。
また,船から夕日を眺めるサンセットクルーズもございます(銚子海洋研究所)。
ロマンティックな話が続いた後で大変恐縮ですが,日の出と日の入りに関係した法律の条文をご紹介します。
刑事事件での捜索差押え(いわゆるガサ入れ,家宅捜索など)は,「日出前,日没後」は,令状に夜間でも執行できるという記載がない限り,してはいけないことになっています(刑事訴訟法222条3項,116条1項)。
これは,夜間の生活の平穏を保護するための規定です。
そのため,夜間の生活の平穏を保護する必要のない場所,賭博場・旅館・飲食店等は,夜間でも捜索差押えが可能です(同法117条)。
また,逮捕されている被疑者に対する強制採尿が夜間に行われたケースで,令状には夜間でも執行できるという記載がなかったため,その強制採尿が違法ではないかが争われた事案があります。裁判所は,夜間の生活の平穏の保護の趣旨があてはまらないことから適法とする判決を言い渡しています(東京高裁平成10年6月25日判決・判例タイムズ992号281頁)。
話を元に戻して,犬吠埼の初日の出は,とても混み合います。例年,6万人もの人が訪れています。
犬吠埼周辺は,駐車場が午前2時ころには満車になり,午前2時から9時まで交通規制が敷かれて車では近づくことができませんので,ご注意ください。
元旦の早朝に臨時列車を出している銚子電鉄のご利用がお勧めです。
それでは皆様,どうぞよいお年を!
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