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仲間ログ#354:マジカル台湾的読書(1952/1000)

今宵も読書好きな人たちが、都内某所にある赤い扉に吸い込まれていく。
同じ本を読んで、さまざまな感想を述べあうのは愉しいことだからね。

今回読んだのは「歩道橋の魔術師」。
97回を数える読書会の中で、台湾の作家の本を取り上げるのは初めて。さてさて今日はどんな話が聞けるのだろう?

わくわくしながら能登ワインを飲みつつ、皆がそろうのを待つ。
同い年生まれのマスターと、共通の知人の話をしたり、バーに導入されたワインセラーの性能を教えてもらったり。
世間話も楽しいものだよ。
そうしてそのワインセラーで14度に管理していると聞けば、さらに美味しく感じる能登ワイン。

次にやってきた婦長は、この作品の舞台となった台北に行ってきたばかりだという。お土産に花生酥という台湾お菓子をもらったので、即開け即パク。

ピーナツバターをそうっとゆる~く固めたようなお菓子で、口に入れるとほろほろと崩れ、ピーナツの香りが口の中に広がる~。なにこれ、めっちゃ美味しいじゃないの。ピーナツバタークレイジーなワタシにはぴったしカン・カン(昭和男子だからな)だよ。
ワインのお供にもいいですな~。おかわりちょうだい。

その後リア王も加わり、いつしか話題は家庭科に。
最近の家庭科の教科書はほんとうによくできているのだよ、とさっと取り出すマスター。小学校、中学校、高校の教科書を見せてもらい、ここまで丹念に生活者としての基礎教育を受けているから、30代より下の男性は料理を始めとした家事に抵抗感ない人が多いのだと説明を受けました。
それはいいことだよね~、と一同うなずく。
翻って自分は、と内省的になるワタクシでした。

そんな話をしている矢先にスカスカ現る。
「ボタン付けしてそうだよね~」と水を向けると、アイロンはかけてましたよ、料理も作るよ、と男前(って言葉もアレなのかもしれないけど)な返事が。そういう人をスカスカとか呼んじゃいけないんじゃない? と疑義が呈されたので、今後はスカディーと呼ぼうかな。呼ぶかもしれない。

といううちにチャラもやってきて、いよいよ話は本のことに。
舞台は1970年ころの台湾で、日本だともうちょっと前のころかな。
汲み取り便所があり、街は喧騒に満ちて、なんて言うと、マスターが瞬く間に東京の昔の写真を集めた写真集を(複数!)出してくれて、それに見惚れる我々。

そう、この物語はどこか郷愁を誘う内容で、ワタクシには居心地のいい空気が流れている。
そして魔術師の活躍。
マジックリアリズムと言われるけれど、「百年の孤独」とは対極にあるような気がする。あちらはギラギラした陽光の下、むせ返るような密度と粘着度のマジックで、こちらはしっとり湿度と影のようなほの暗いマジック。
偶然ではあるけれど、そういう対比を知る事ができるのも、読書会を続けているおもしろさですね~。

そこへさとゆみ登場。
スリランカのアーユルヴェーダ施設に長逗留していたそうで、なんだかハツラツとしている。そもそも共通の友人が始めた施設で、他の友人たちも数々訪れているということで、スリランカ話にも花が咲く。

そうそうこの場で井上尚弥の本を読んだとき、本人以外の人へのインタビューで本人像を浮かび上がらせる手法は、「子ウマのパズル」みたいだ、とさとゆみに話したんだった。
今日はたまたま「サム・ロイドのパズル百科」を持っているので、元の問題とさらにその答えもみなさんにお見せしたよ。
視点の反転。
答えを見て、驚く人多し。

と言ってる間に、スカディーは帰り、さとゆみも仕事があるから~と店を出たあと、写真! と気づく我々。
残された人たちと今回見せてもらった本とを並べて撮りました。

今回も愉しかったね、また来月!


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