コミュニティの定義を考える
読んでくださりありがとうございます。
外資系医療メーカーで働きながら、複業でコミュニティ運営をサポートをしています。今までの経験をまとめて、コミュニティをつくりたい人の参考になるように、「『ひとり1コミュニティ』の未来をつくる」と題してコミュニティの始め方について投稿しています。
今回は「第1章:コミュニティの力が変える私と社会」として、コミュニティの定義から歴史を振り返ったうえで、いま社会に求められているコミュニティについて考えてみます。
コミュニティの定義とは何だろうか?
まず最初に考えたいのは、コミュニティの定義です。ネットでコミュニティを調べてみると、以下のように書かれています。
同じコミュニティでも、人によりイメージが違うことあわかります。
私が考えるコミュニティは、共通の関心や価値観、目的を持つ人々が集まり、互いに支え合いながら関係を築く場。単なる人の集まりではなく、メンバーが互いを尊重することでシナジーを生む場所と考えています。
まず、オンラインでつながることができる今の時代では「一定の地域に居住」する必要はなくなりました。特定の目標や趣味が同じでなくても、生き方などの価値観が合えば同じコミュニティに所属することはできると思っています。
さらに、問題があったときに自分の力で解決する「自助」でもなく、国や自治体が公的な制度を活用する「公助」でもなく、人とのつながりの中でお多大に助け合ったいく「共助」の関係性がコミュニティにはあると思います。
この「共助」により、新しい価値や可能性を生み出す場がコミュニティだと思っています。
コミュニティの変遷
その中でコミュニティがどのように変遷してきたのか、これまでの経緯を見てみたいと思います。主には広井良典『コミュニティを問いなおす』を参考にしています。
1. 農村型コミュニティ(伝統的社会)
昔の日本は、農村を基盤とする地縁型コミュニティが中心でした。これは、長い歴史の中で形成された相互扶助の仕組みを持ち、地域住民が互いに支え合いながら暮らしていました。農業という生業の特性上、共同作業や祭りなどの年中行事を通じて深いつながりが生まれ、地域全体が家族のような役割を果たしていたと思います。
しかし、戦後の高度経済成長による都市化や産業構造の変化により、農村型コミュニティは縮小しました。人口流出や高齢化が進み、限界集落と呼ばれるようにかつての機能を維持することが難しくなっている。
2. 会社・家族(経済成長を支えたコミュニティ)
農村型コミュニティの衰退とともに、新たなつながりの形として「会社」と「家族」が社会の基盤となりました。終身雇用や企業内福祉が整備され、企業が家族に代わる役割を担いました。
しかし、バブル崩壊以降、経済の低成長や雇用環境の不安定化によって、会社が家族に変わる機能を維持することは難しくなってきています。
社会システムでは家族が社会の基盤ですが、核家族化や個人の尊重により、家族も相互依存の役割りを担うことが難しくなってきています。
3. これから求められるコミュニティ(新たなつながりの構築)
残念ながら農村型コミュニティや会社・家族のつながりだけでは、人々の多様なニーズを満たせなくなってきています。そのため、新しい形のコミュニティが求められています。
これからは、共通の目的や価値観を共有するつながり(広井良典氏がいうテーマ型コミュニティ)が重要になってくると思います。
もちろん、現代の基盤となる会社や家庭が無くなるわけではありません。しかし、これからは趣味やボランティア、価値観を軸に人々が集まるコミュニティが増えてくると考えています。
現代ではコミュニティの意義がさらに拡大し、社会的資本としての役割が注目されています。高齢化や孤立化が進む中、単なる交流の場を超え、相互扶助や社会課題の解決に貢献するコミュニティが求められるようになってきました。地域活動やボランティア団体、ソーシャルビジネスのネットワークは、こうした社会的資本の一例であるとおもいます。
今後は、趣味の集まりと社会的役割を兼ね備えた「ハイブリッド型コミュニティ」が重要になります。多様な個人が柔軟に関われる仕組みを整え、開かれた関係性を構築することが、持続可能な社会の鍵となるだろうと考えています。またその中で、自分の価値観にあうコミュニティをどのように選択するかが大切になってきています。