コミュニティーをはじめたい人は必読 ー「Community Shift」を読んでー
読んでくださりありがとうございます。
今日は黒田悠介さんの「Community Shift」の感想を書きます。私はコミュニティの運営を副業にしていますが、コミュニティ運営の先輩として黒田さんを尊敬しており、黒田さんが主催する「議論メシ」にも参加していました。
そんな黒田さんが書かれたこの本はコミュニティを客観的にとらえるバイブルになると思います。
既存コミュニティの課題がわかる
本書ではコミュニティの定義にについて客観的にまとめられています。
今までコミュニティといえば隣近所や職場、学校といった物理的な場所を共有する人々の集まりを指していました。しかし、新しいつながりは時間と空間の制約から解放されて興味関心による結びつきが強まりました。
本書でも以下のように記載されています。
私もコミュニティを主催して、この価値観に基づくコミュニティの可能性を大きく感じています。今までは生まれた場所や仕事などに縛られていた人間関係を、自分で自由に選択できる社会になったのだと感じています。
もちろんだからと言って、地縁や血縁といったコミュニティが無くなるわけではありません。しかし、より自由に人間関係を選択できる社会が来ているのだと思います。
コミュニティの実践例が参考になる
本書ではコミュニティを①ビジネス②教育③身体的健康④カルチャーやエンタメ⑤社会課題解決という切り口に分けて解説しています。
そして、それぞれの切り口でコミュニティの例を紹介しています。このコミュニティの紹介が、これからコミュニティをはじめたいと思っている人には参考になると思います。
いくつか参考になったコミュニティを紹介したいと思います。
患者をつなぐコミュニティ
慢性疾患を抱える患者が同じ病気と闘う世界中の人々と情報を交換し、励まし合うプラットフォームが例としてあげられています。
周りに似た症状の仲間がいない疾患は沢山あります。そのような人たちがこのコミュニティでつながり、病気について学んだり、日ごろの生活について相談しあうコミュニティです。
今までは同じ症状の人とつながることは大変難しかったと思いますが、このようなプラットフォームによって患者の孤独感から解放されるのはすばらしい取り組みだと思います。
似たプラットフォームはいくつかあると思いますが、参考にPatientsLikeMeをご紹介します。
地域課題を解決するコミュニティ
ここでは島根県海士町の取り組みを紹介しています。
人口減少は「行政」の課題ですが、地域住民が主体となって地域の特性や資源を活用して人口減少に歯止めをかけています。取り組みをわかりやすく記事にされているのでぜひご覧ください。
多様性のコミュニティ
最後に本著の中ではないのですが、著者の黒田さんが講演で取り上げていた「シェア金沢」をコミュニティの例として紹介したいと思います。
取材記事の中で書かれていた理事長である雄谷良成さんの言葉がわかりやすいので引用させて頂きます。
ライフタスクとしてシニアの孤独について考え始めた時に、一番最初に感じた違和感が「高齢者だけを対象にすることで、”人を分け隔てる”ことにつながる」ことでした。
そこで現在は大学生~60代までを対象に、住んでいる場所、年齢、職業のバラバラな人たちをつなぐコミュニティを運営しています。多様性の中で相手を尊重する場づくりができてこそ、メンバー同士の相乗効果が最大化すると思っています。
コミュニティの未来に希望を感じる
私は45歳まで、仕事と家庭だけが私の世界でした。でも、「このままの生活で60歳以降はどうなるのだろう?」と考え始めたとき、"コミュニティ"に偶然出会うことができました。それからは、3つのコミュニティを自分で立ち上げ、さらに10以上のコミュニティをサポートする経験をしてきました。
なぜこんなにコミュニティに力を注ぐのかというと、仕事や家庭では出会えない多様な人たちとの関わりが、私自身を大きく成長させてくれたからです。
「Community Shift」を読んで、コミュニティの可能性がもっと広がっていることを感じました。教育や自己成長の場面だけでなく、社会のさまざまなシーンでコミュニティが中心になりつつあります。
今までのように、効率を求めて画一的な方法で上から下へと物事を進める時代は終わり、多様性を受け入れたコミュニティが社会課題を解決していくと確信しました。そしてこれからはその流れが戻ることはないと思います。
だからこそ、早めにコミュニティに関わり、その力を活かしていくことが大切だと感じています。最後に本著に書かれている黒田さんの言葉を引用して終わりたいと思います。