甲状腺腫の話
今から10年前、
二十歳になってすぐの頃に甲状腺腫を患い全身麻酔の手術をした
手術を受けたまではまだ良いとして問題はその後だった。
術後の体調が良くなかった。
麻酔が合わない体質らしく、副作用があり
少なくとも半年間は毎日数時間めまいがした。
毎日目が覚めてから起き上がるのに小一時間かかり、
毎日肩が崩れ落ちるんじゃないかと思うほど痛かった
ただ、見た目には何も起こってないように見えるため
健康と思われがちだった。
何故真っ当に働かないんだとよく言われた。
周りの同い年はどんどん仕事でキャリアを積んでいった。
私は他の人と同じ土俵に上がれないんだと思ってた。
周りには同じ病気で悩んでる人は居なかった。
同じ病気で悩んでる人の声が聞きたかった。
SNSのコミュニティに入ってみた。
甲状腺は、場所として繊細な首もとであることと
ホルモンバランスをつかさどる場所なので
悩みの種類が多かった。
病的に太った、病的に痩せた、うつになった、更年期障害の症状が続く、
手術で神経を切ってしまったので
首が回らなくなったし二度と回ることはない。等
同じ経験をした人じゃないとその気持ちは分からない。
でも私より苦しんでる人はこんなに居る。
何とも言えない恥ずかしさが出てきた。
今となっては内容はあまり覚えていないけど、
1つの投稿が目にとまった。
私は手術後のホルモンバランスの崩れからうつになり、
外に出られなくなりました。
皆さん辛い思いをされてることと思います
他の合併症になった人もいると思います
外に出られる人、私の分も頑張ってください
私も今は出られないけど、出られるようになるまで諦めません。
みんなでがんばりましょうね
この時から私はこの会ったこともないこれからも会うわけでもない
顔も知らない人のおかげで
気持ちが安定してるなと思うことがある
ふとした時にこの人のことが頭の中をよぎる
ただただ、死なないだけで精いっぱいの人は沢山いる
見た目では健康そうに見えても色んなものを抱えてる人がいる
人間は誰も想像つかない苦しさの中に居たとしても平気で笑える
私の目で見たこと、経験したこと、私の立場だからこそ、
私の口からだからこそ言えることは何だろうと考えると
どうしても甲状腺腫は切っても切り離せない
10周年記念に記しておきたくなった