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【五匹の鬼】

『鬼滅の刃』が昨年、記録的な大ヒットを成し遂げた。

コミックは見ていないが、映画だけは鑑賞し娯楽としてだけではなく

教えられ、感じ入るところも多々あった。

桃太郎や一寸法師など、昔から童話などで鬼は欠かせない、

悪しきものの代表的存在である。

さて「鬼」とは一体なんだろう。

仏教でいうところでは、五蓋(ごがい) 「心に棲む五匹の鬼」といっている。

貪(とん) 瞋(じん) 掉挙(じょうこ) 惛沈(こんじん) 疑(ぎ)

の五つ

貪(とん)これは、「あるが上にもまだ欲しい、評価がほしくてたまらない」という鬼。

与えられたのにまだ欲しいと思う心、

背伸びしてまで評価してほしいと思う心。

瞋(じん)これは、「思い通りにならないと腹が立つ」鬼。

掉挙(じょうこ)おだてられたことを評価されたと思い、

「おだてられると図に乗る」鬼。

惛沈(こんじん)「うまくいかないといじける」鬼。

自分で自分の可能性を摘んでしまうことになる。

疑(ぎ)「疑い受け入れない」鬼。

五匹の鬼どもの棲家は私たちの心の中。

つまり自分と同体だから追い出すことも退治することも出来ない。

ではどのように付き合うかといえば、鬼どもに出番がないことを教え込み、

暴れださないように訓練するしかない。

その方法が「静思」(じょうし)。

「静」は一呼吸の間、「思」は声をかけての確認と抑制。

鬼が顔をのぞかせたとき、大きく深呼吸をして

「本当に欲しいの?」「腹を立てることなの?」「のぼせすぎじゃないの?」

「いじけることなの?」「信じられないの?」と

声をかけて確認することによって

抑制し、それを事ある毎に繰り返し鬼どもに出番がないことを教え込む

しかない。

鬼は気を抜けばすぐに暴れだすので、「静思」の実践により、鬼どもが

暴れない安穏な日々を実現しよう。

薬師寺 大谷徹奘執事長法話より


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