ギフトがつなぐ「しあわせの連鎖」。「こんなフルーツギフトがほしい」を少しずつ叶えていく(後編)
「世界にひとつの、贈り手の想いがあらわれたフルーツギフトを創っていきたい(店主・杉下インタビュー〜前編)」の続きです。
前編では、蝶結びオープンから1年半を振り返って、とくに印象深い贈りものエピソードなどについて、うかがいました。
後編では、「蝶結び」がどんなブランドになっていってほしいのか、今後の展望を杉下に聞きました。
(前編はこちらから)
1.「しあわせの連鎖」に、いちばん喜びを感じる
ーーフルーツギフトのご注文で、「特に最高にうれしい!」のはどんなケースですか?
もちろんどのご注文もとてもうれしいんですけど、特にと限定すると…(しばしのシンキングタイム)、一度蝶結びギフトを受け取った方が気に入ってくれて、他の方のギフトにご利用してくださったときですね。
「出産お祝いでもらってとてもうれしかったので、次は私も友人に贈ろうと思ったんです」と、チャットで丁寧に教えてくださるんです。このケースにはいちばん喜びを感じますね。
なぜなら「もらってうれしい!」とご自身がしあわせに感じたギフトを、また次の大切などなたかに同じ想いを体験してもらいたいという気持ちがあらわれていますから。
ーー「しあわせの連鎖」ですね。思い返すと当初の蝶結びのロゴマークに込めた願いそのもののが、叶っているような気がします。私自身も立ち上げから関わっているので、そのお話をうかがうと胸がいっぱいになります。
「命芽吹き、命つながる」と「大切な想いも、ご縁も、つないでいく」。デザイナーさんに2つの想いをビジュアルに落としこんでいただいて。
包装紙の「連綿」のデザインも、ずっと切れずにつながってほしいという願いを提案してもらったんですよね。
こうやって初心に返ると、たしかに受け手の立場から贈り手にとしあわせが連鎖して、僕たちの想いがカタチになっていますね。
ああ…、「ご縁がつながる」と言えば、不思議なことがあって。個人的なことなんですけどね、僕がフルーツギフトのネットショッピングを開設することを、親戚や知り合いには全然伝えていなかったんです。
とある日のご注文内容のお名前や住所、メッセージにどこか懐かしさを感じて、「もしかしたら●●さん(親戚の名前)ですか?」とお声がけしたら、本当にそうで。思いがけないご縁に、つい笑ってしまいました。
もうひとつ、蝶結びのある住所とほんの少ししか違わない郵便番号が贈り先だったこともありました。「配達して直接お届けしたい」という気持ちをかなり抑えて、配送業者さんにお渡ししましたよ(笑)。
これもロゴマークがもたらしてくれたご縁なのかな、なんて感じたりします。
ご縁って、どちらかが気づかないとわからないままじゃないですか。だから、偶然結びついたつながりは、公私ともに積極的にお声がけして、より大事にしていきたいと思います。
ーー「しあわせの連鎖」と言えば、商品レビュー投稿にも「もらってうれしかったエピソード」がたくさん書き込まれていますよね。
そうなんです。ギフト商品にレビューを登録してくださること、本当にうれしいんです。だって、贈り手の方は、何も手元にないわけじゃないですか。ギフトの場合は、受け手からいただく反応がすべてで。
それを貴重な時間をさいて僕に丁寧に伝えてくださること自体が、僕自身が事業を続ける上でなによりも励みになっています。
レビューをいただいて「うれしい」と実感したので、僕もいいと感じた商品やサービスには、「ありがとう」の気持ちをもっと積極的にを躊躇なく伝えていきたいなって思います。
ーー想いを伝える手段が、フルーツなのか言葉なのかの違いですね。こころをあたたかくする「言葉のギフト」、日常でも意識していきたいです。
2.どんな人への要望も叶える、バラエティ豊かなフルーツギフトを提案していきたい
ーー蝶結びのギフトラインナップには、食べくらべや詰め合わせのセットと、生産者限定と打ったセットがあります。これからはどんな商品を増やしていきたいですか?
フルーツギフト専門店として、「おいしいフルーツを取り扱う」のは当然のこと。
その上で、仕入れの現場では目利きの技術をもっと向上させなければと気合いが入りますし、より良い品質のものをさがしてくるのが、僕のミッションのひとつだと考えています。
それが、産地なのか生産者なのか、基準はどのショップもあると思うんですけど。僕のスタンスとしては、どんな人への要望も叶えられる幅広いフルーツギフトを、今後もご提案していきたいです。
例えば、冬いちばん人気ギフトの「いちごの食べくらべセット」については、さまざまな産地や品種がそろって実現できるギフトだから、農協さんや協力していただいている仲卸しさんの情報が不可欠なんですね。
地域によって天候に左右されるからこそ、その日いちばん質がよく数が確保できる品種を教えてもらって、仕入れることができています。
あと、春におすすめする生産者限定ギフトは、「黄金柑(おうごんかん)」。百貨店時代からお世話になっている鶴田果樹園さんのもので、とても上品でさわやかな味に僕自身も魅了されている、希少なフルーツなんです。
栽培されている数が限られているので、そもそも流通量も少ないですし、長くお付き合いのあるショップとしかお取引されません。
ですので、こだわりの品だからこそ数量限定でご用意して、とっておきのフルーツギフトを求めている方にご利用いただければと思っています。
ーー「売切れ」表示があっても、お問い合わせされる熱心な方がいらっしゃいますよね
そうなんです。3月は、滋賀県サンシャインヴィレッジさんの「初恋の香り」にお問い合わせを多くいただきましたね。ロマンチックなネーミングが気に入ったということで。
現場での結実状況を生産者さんに確認して、「誕生日当日だと準備できないけれど、その数日前までならご用意できます」など、ご提案してからご注文、後日改めてお礼を寄せていただけました。
このように生産者限定ギフトは、旬もそろそろ終わりで収穫量が読めないという生産者さん側の理由もあり、絶対にご用意できるという確約ができないため、致し方なく「売切れ」としていることもあります。
だから、「売切れ」表示があっても、あきらめずにチャットで問い合わせしてください。生鮮品だからこそ、他の似たような品種をご紹介するなど、いろいろなカタチでご要望におこたえするようにしていますので。
ーー今後、新しいつながりも増えていきそうですか?
はい、蝶結びのコンセプトに共感いただいた農家さんや、紹介してもらった京都府内の農家さんなどとお話はさせてもらっていて、どんなことができるのだろうかとワクワクしています。
あとは、配送スタッフを一人動員して、僕が梱包作業にかけていた時間を、他の有意義なことに使えるようになりました。今よりも横のつながりをもっとつくれるように、全国を飛び回って、農家さんに会いに、生産現場を見にいきたいなって思っています。
今後、上質でユニークなフルーツをお客様にご紹介できるよう、ますますアンテナを張っていきます。
(話し手:店主・杉下峻吾/聞き手:ライター・野内菜々)
【想いを伝えるフルーツギフト専門店 蝶結び】
※公式サイト:https://retrospect.co.jp/
※公式Instagram:https://www.instagram.com/fruit_chomusubi/