明らかに"熱い"ポケモンユナイトの今
すごい。
ご存じない方も多いのかもわかりませんが、今ポケモンユナイトで、はっきりと何かが起きようとしていると思います。
プロチームに明るくない人に向けて
改めて説明すると、先日から連続して2チームがポケモンユナイト部門を発足しました。それがZETA DIVISIONとREJECTです。ユナイト部門を発足したこの2チームは、国内の最前線を走っていると言ってもおよそ文句は出ないであろう、非常に人気のある2チームです。
ZETA DIVISIONは僕がまったく無知の『VALORANT』を見る強烈なきっかけになったチームで、日本はコンシューマーが強い文化的背景から何かとPCゲームの世界戦では苦戦することが多かったのですが、FPSという本流も本流のジャンルで、世界を相手に堂々と戦っていたところに本当に感動させられたのも今は昔。最近はかなり手広く展開しており、今後も大きなことをやってくれそうな期待感があるチームです。
このチームは見せ方が本当にカッコいい。ゲーマーを真にかっこよく見せるというのは2000年代から多くのチームが苦戦してきたところで、どうにもこうにもゲーマーのあまりかっこよくない部分が取りざたされてしまうことが多かったんですが、ZETA DIVISIONは本当に、あらゆる方面からカッコいい。見た目とか見せ方は当然そうだし、外から見ていて、ダサいことをしない。
ホームページも一目アパレルのサイトにしか見えない。オシャレ。国内において、ゲーマーこそ格好いいのだという土壌を作りだしたことに間違いなく貢献したチームだと思います。
安心してめちゃ強ゲームプレイヤーを任せられる……っていうと誰目線なんだというツッコミが聞こえてきますが、本当にそうなんです。安心できる。自分達のコミュニティのヒーローを安心して任せることができるそういうチームです。
REJECTは一時期地下鉄に乗っているとぬるっと車内広告に現れて、それにびっくりしたことを強く覚えています。今まで乗り続けてきた電車に見慣れた顔が出てきたものですから、「ゲームもここまできたんだなあ」と確かに僕に感じさせたそのチームです。
目のつけどころが本当に良いチームで、具体的にはある人が格闘ゲーマーのある人を口説き落とす現場にうっかり遭遇してしまったんですが、今になって思えばREJECTはこのストリートファイター6のブームを事前にしっかりと予見できていたし、自分達で作り出せるよう準備していたし、重要人物をちゃんと見抜いて、そしてしっかりやることをやっていました。
格闘ゲームは文化が結構特殊なので、他の界隈や見る人から見れば近寄りがたい部分もあったと思うし、お堅い人から見ればリスクもあるムーブだと思うんですけど、実際には仕事人としての能力をすぐに見抜いて全然気にしていなかったのが印象に残っていて、実際しっかり動いてしっかり当てている。いや、正しく言えば「ちゃんと流行らせた」というのが近いでしょうか。しっかり自分達でタイトルを盛り上げようと大きく動いたのがこのREJECTというチームだったように思います。
ゲーマーらしい嗅覚、勘所の良さと、フットワークの軽さを維持し続けてるのがすごい。会社も続くと関係値が増えて身動き取れなくなっていくものだと思うんですが、そういう空気を微塵も感じさせずに、動き続けてるのが本当にいいですよね。
なんというかですね。僕は今嬉しいんです。というのも、リリース初期から解説でお邪魔させていただくことの多いポケモンユナイトというゲームが、このイケてる2チームに見初められた、つまりは「このゲームはいける」と判断されたことが、途方もなく嬉しい。自分たちが確かな情熱と信念を持って応援してきた人たちのシーンが評価されるのはこんなに嬉しいことなのかと、僕は初めて知ることになりました。
最近のポケモンユナイトに明るくない人に向けて
僕が想像するに、「稼働初期は遊んでたけどすっかりポケモンユナイトはやらなくなってしまった。でも今ちょっと盛り上がってる感じが出てるし気になる」という人は結構いるのではないかと思います。お任せください。この記事はそういう人のために書いています。
稼働初期の"サンダーの機嫌を伺う"要素や、"前衛的なゴールサポーターの性能"によるゲームを体験して、「このゲームを競技化して大丈夫なの?」とピンときていなかった人も多いのではないでしょうか。しかし3年目の今はPJCS、これはポケモンジャパンチャンピオンシップスの略、ポケモンの各タイトルの日本代表を決めるデカ大会を指しますが、その会場で一番うるさかった(個人の感想です)ほど盛り上がっており、そしてなぜ盛り上がったかと言えば、ちゃんと強い人たちがちゃんと勝ち上がり、それでいてギリギリの展開が頻発し、選手達のファンが多く、選手達がそれに応えたことに起因していると思います。ポケモンユナイトは、熱い。
ポケモンユナイトは現在3年目を迎え、今年で4年目に入ろうかというところです。2年目にマップに変更が入ったことで2:00で現れる野生のポケモン(サンダー、レックウザ)を倒せば勝ちという成分はいい感じの範囲に収まり、マップ全体の野生のポケモンの総量が増えたことによって戦略の幅が広がりました。極めて経験値配分の大きかったカジリガメも今のマップにはもういませんから、チームの構成によって10分全体で見た戦い方をたくさん練ることができるようになっています。この深みを10分という長くはない、そして集中して観戦するにはちょうどいい時間で実現できてるのは、結構すごいことです。
3年目はドラフトモードが追加されたことに加えて使用禁止、いわゆるBANの枠が2匹になったことで、ポケモン選択においても戦略が深まりました。どのポケモンを相手に使わせるのか使わせないのか、序盤構成なのか終盤構成なのか、カウンターを取るのか取らないのか、自分達の構成に合うポケモンは一体どんなポケモンなのか、そういった戦略の部分も十分に楽しめるものになっています。チームごとにドラフトの方針が違うのが見てとれるのも、見ていて実に面白い部分です。
そして重要なこととして覚えておいてほしいのは、日本のチームは世界的に見てもめちゃくちゃ強いことです。すごくリアルな話をすれば、ゲームの世界大会が競技的に国内で盛り上がるかどうかは、世界を相手に日本代表がどれだけ戦えるかという点に相応のウェイトがあると僕は思っています。そういう意味では日本のポケモンユナイト代表は毎年世界大会で確かに結果を残し続けており、初年度の4位、二年目の3位/4位と、世界のチームが集まる中で、非常に高いアベレージを残し続けています。ちなみに世界大会で結果を残した3チームは全て別のチームです。その層の厚さも見て取ることができますね。
そして今年夏、8月の半ばに、世界大会がハワイで行われます。今年の日本代表の3チームは既に決定しており、どのチームも優勝争いができるチームだと確信しています。各チームの来歴を話すとあまりにも長くなってしまうので断腸の思いで省略しますが、どうしたってどのチームにも世界を取って欲しい。今までの二年は北米のチームが続けて優勝しています(しかも同じチームの二連覇!)が、世界の強豪相手に立派に戦う選手達の姿をぜひ一度見届けてほしいなと思います。ちなみに二連覇中のチームは今年も予選を通過し、ハワイにやってきます。すごすぎますね。
未来と過去
僕は30数年間、今まで本当にたくさんの対戦ゲームを遊んできた人間ですが、ポケモンユナイトの特筆すべきところは、常に新しい、そして若い人たちが入り続けている点です。スマートフォン/Switchから無料で遊べることは学生にとってありがたい点が大きいようで、何より公式でも「ユナイト甲子園」のような学生向けのイベントを強く打ち出しています。ポケモンという媒体が親御さんにも安心してもらえることも非常に大きいのでしょう。
親子でプレイや観戦している人の話も本当によく聞きますし、単に今最前線を走っている選手も10代の選手や高校生であることが珍しくありません。「年齢制限の関係でまだ世界大会には出れないが、その実力は確か」な選手などもおり、とにかく未来に楽しみが多い。PJCSの現場で挨拶してくれた小学校は低学年であろう彼が、きっと世界大会の場にきてくれると僕は今から期待しています。これは、今までの僕の遊んできたゲームではなかった経験です。
このわずか三年の間ですら、選手の世代交代的な側面も少しづつなされています。稼働初期から結果を残し続けている選手の「古豪」感がある中で、その中でチームに一人入った新しい選手がめざましい活躍を遂げたりする。この盛り上がりを見て、他の界隈から実績を持った選手が流入したりもしている。3年続いたからこそ、新旧の有力選手入り乱れているのが今で、3年間の歴史があるから様々なストーリーを感じることができるのも今です。今が一番面白いんです。
先日行われた日本代表を決める大会です。時間があればぜひ見て欲しい。スタッフさんの圧倒的な努力の結果、カメラとUIも進化し続けていて、大会そのものもすごく見やすくなっていると思います。
これからポケモンユナイトから目を離さないでいてください。何卒よろしくお願い致します。
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