山崎徹氏と「附けの會」【裏方が表で伝える伝統芸能のコアな魅力】
歌舞伎の舞台を支える存在として上手に座り、床に置いた板を木で打ち付けて役者の動きを際立たせる役割を担う「附け打ち」という仕事がある。
この「附け打ち」の第一人者の山崎徹氏は、伝統芸能の本質をかみ砕いて伝える催しや普及活動を展開する団体「附けの會」を主宰している。
毎年の目玉はテーマを設けた公演とそこに向けたレクチャー&鑑賞講座(例えば昨年度は「忠臣蔵尽くし」)。
2023年度は「辯慶(弁慶)尽くし」で本公演「辯慶尽くし~一歩も引かぬ~武蔵坊弁慶」に先立つレクチャー&鑑賞講座を随時開いている。
直近では8月11日(月・祝)に東大阪で山崎徹氏のほか、 小佐田定雄(落語作家)・尾上緑(歌舞伎俳優)・花柳都弥葵(日本舞踊家) の各氏を迎えて、「辯慶尽くし 第一章「牛若丸との出会い~五條大橋」その二」が行われた。
主な内容は・・・
・作家と歌舞伎役者による「辯慶トーク」
・弁慶の誕生から牛若丸との出会い 長唄「橋弁慶」
・アフターメイキングトーク&質問
一方的なレクチャーではなく、質疑応答もあるのがこの講座の特徴。
*ちなみに出演者の1人の尾上緑氏は養成所を経て、4代目尾上松緑のもとで研鑽を積んだ気鋭の歌舞伎役者。私は緑氏が名題昇進を果たした2015年「芸術祭十月大歌舞伎」の際に初めて拝見し、端正な顔立ち、身体捌きの気品が記憶に残った。
次のレクチャー&鑑賞講座は10月1日(東大阪)、10月15日(名古屋)に「《辯慶尽くし》第二章 義経への忠臣~安宅の関」と題して催される。
山崎徹氏の案内のもと浪曲師の真山隼人氏、曲師の沢村さくら氏が出演。
辯慶~義経~安宅の関とくれば「勧進帳」なわけで、今回は「辯慶トーク」の後に浪曲「勧進帳」が披露される。歌舞伎の「勧進帳」は学校の授業で歌舞伎の具体例に取り上げられるほど有名だが、浪曲でじっくり味わう機会はあまり多くないので貴重な実演となる。
辯慶は「内弁慶」「弁慶の泣き所」なんて言葉になるほどの「有名人」だが、生涯は謎だらけという。伝統芸能を通じて巨像の一端に迫る、先述のように質疑応答も設けられた充実のイベント。近くにお住まいの方は上記リンクで詳細を確認の上、ぜひ足を運んで欲しい。
本舞台とは違った伝統芸能の面白さに目覚めるはず。
※山崎徹氏は本来「山﨑徹」だが環境依存文字のため「山崎」とした。
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