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「紅茶は世界30ヵ国以上で作られている。」

紅茶が好きです。
我が家はコーヒー党が元々いなかったのと、ヨーロッパ贔屓の母の影響でわたしがイギリスの本をよく読むようになり、またAfternoon Tea(お店の方)が活動圏内にあってよく行っていたこともあって、当然のように紅茶党になりました。

小学校中学年のころから中学のころは、図書館でいつも同じ紅茶の本を借りてきては、舐めるように読みました。
その当時は、今ほど簡単に様々な種類の茶葉を手に入れることができず、せいぜいトワイニングの缶入りを買うだとか、その程度のことしかできませんでした。
本で読むだけの紅茶に思いを馳せ(ニルギリやヌワラエリヤ)、家にある紅茶だけで(おそらくセイロンとかアッサムとか、あるいはブレンドティー)満足するしかありませんでした。

また、今ほど紅茶やコーヒーの本は世間に出回っていなくて、数少ない紅茶の教本のようなものは、すべて「磯淵猛」さんという方が書いているか、監修しているか、参考資料として挙げられているかしていました。
「磯淵猛」さんは紅茶会の権威のようでしたし、実際のところ日本に紅茶を広めるために、多大な貢献をした方でした。

磯淵猛著 『基礎から学ぶ紅茶のすべて』(誠文堂新光社、2016)

この本はかなり新しい部類の本ですが、磯淵さんの書かれる本は、大体が同じことを書いているので、どれを読んでも問題ありません。
「同じことばかり書くのか」
と思われる方もいるでしょう。
でもそれは、磯淵さんの中で「伝えなければならないこと」「紅茶にとって大切なこと」が決してブレることなく、一貫していることの表れでもあります。
せいぜいが、写真が少し「今っぽく」なる程度で、紅茶の淹れ方の基礎、茶葉の種類分けの基礎、産地の話、アレンジティーの話、紅茶の歴史、そのようなことは、内容がガラッと変わることではありません。
せいぜいあれかな、産地も地球の温暖化によってちょっとずつ変わっていくとか、新しく紅茶を作る地域が出てきたとか(日本も新興国に入ります)、機械や技術の工場で、紅茶の精製方法がちょっと変わるとか、その程度です。

だからこそ、磯淵さんの本は信頼できるし、逆にいうと、参考文献の中に磯淵さんの本が入っていない紅茶本(レシピ集ではなく)は、「この本大丈夫か?」と思ってしまうほどです。
そんな本、滅多にありませんけど。

この本に特化していうことといえば、「商品としての紅茶」ということを取り上げているのが、他の本との差だと思います。
流通やら商品の品質保持やらの話があって、飲み方だけではない紅茶の「すべて」を知ることができると思います。

いやしかし、紅茶は30ヵ国以上で作られているんですねぇ。
わたしは有名どころ、インドと中国とインドネシア、あとケニアなどのアフリカの国々、日本、そのくらいしか知りません。
茶の木の育成は、結構いろんなところでできるんですね。

ここからはわたしの体験談。
紅茶って、普通にお店で「紅茶」としか書かれていないと、大抵セイロンベースのブレンドディーが出てくると思うんですよ。
んで、下手すると「ミルク」と言いながら「コーヒークリーム」をつけてくる。
こういう店は紅茶を飲む店としてはダメです。
クリームでは脂肪分が多いので。

できれば紅茶が3種類、「セイロン、アッサム、アールグレイ」くらいはあり、ちゃんと「牛乳」が出てくる店でないと、最低条件を満たせません。
このミルクが温まっている店も、あまりよろしくありません。

ま、それはそれとして、紅茶の味わいの話ですよ。
わたしは日本産の紅茶を、もう10年くらい前でしょうか、大分のお土産でいただいて、初めて飲みました。
おもしろいんですが、日本の紅茶は「日本茶」の味がするんですよね。
和食に合うんです。
あと和菓子にも。
これはミルクなしでいいな、という味をしています。
これにはびっくりしました。
ここまで味って変わるんだな、という。

さらに遡って、初めてラプサンスーチョンを飲んだ時は、漢方のような薬くささに驚きました。
中国系の発酵茶の匂いなんでしょうか。
とても癖のある、なれるとクセになる香りと味でした。
これは味が濃いので、ミルクティーによく合います。
あとはヌワラエリヤもね、舌を噛みそうな名前だけ覚えていて、実際飲んでみたら独特の苦味があって、これもミルクティー向けでした。
そうやっていろんな産地の味を飲んでみると、やっぱりアッサムが一番シンプルにミルクティーとして飲めるなぁ、と思ってしまいます。
家で飲む時は、大抵アッサム。
逆に、ちょっと種類の豊富なお店に行くと、たまにしかみないような産地のお茶を飲んだりします。

あとは紅茶いえばとブレンドティーです。
アールグレイは有名どころですが、これもメーカーによって味と香りがピンキリで、なかなか難しいのです。
それ以外のブレンドは、例えばモーニングティーやアフタヌーンティーのように、時間によるブレンドがありますが、これもメーカーによって様々なので、名前が同じだからといって同じ味が出るわけではないのが、紅茶のおもしろいところです。

うーん、紅茶について書くと、いくらでも書けてしまいますね。
自重しよう。

とりあえず、普段紅茶を飲まないよって人は、まずは本に書いてある「紅茶の淹れ方」に従って紅茶を入れてみてください。
雑に入れた時と、手順通り入れた時と、全然味が違います。
わたしは以前、茶漉しに茶葉をいれて、上からポットのお湯(90度)をかけている人を見て、目が点になりました。
当たり前のように、まずい紅茶でした。

紅茶は自由な飲み物です。
飲み方もアレンジも、いくらでも広がるし、好きなように飲めばいいんです。
でもまずは、紅茶本来のおいしさを知ってほしい。
その上で、自分の好みを追求してほしい。

紅茶党のわたしは、ついついそんなおせっかい心を抱いてしまうのです。

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