CyberAgent AdTech Studio Deep Dive
CyberAgent Developers #2 Advent Calendar 2018の12/24の記事です。
最近(再び)採用にも携わるようになったので、手っ取り早く「サイバーエージェント アドテクスタジオ」での仕事・環境について知ってもらうリソースとしてこれを機会にまとめてみたいと思います。
候補者や(まだ配属先が決まっていない)内定者と直接話す機会はあるものの、短い時間で口頭で紹介しつくすのは難しく、会って話せる人の数にも限りがあります。この記事は私がよく聞かれたり私から話している内容を、公開情報としてまとめなおしたものです。
この記事がアドテクスタジオに対して興味を持つきっかけになってくれればうれしいです。
Disclaimer: 私はサイバーエージェントアドテクスタジオで勤務する1エンジニアです。あくまで1社員としての視点であることに留意してください。ただ、なるべく事実ベースで記述し、私見の部分はそうである旨を記載するよう心がけて書きたいと思います。また、これはあくまでも2018年12月時点の情報であり、組織や事業は目まぐるしく変化し続けているので、この記事を時間が経った後に読まれる場合、すでにあてはまらないことが数多くあると思います。
組織の概要
まずはサイバーエージェントという会社全体からみたアドテクスタジオの位置付けについてです。
サイバーエージェントは大きく分けて3つの事業領域「インターネット広告事業」「ゲーム事業」「メディア事業」に分けられます。
アドテクスタジオはこの中で「インターネット広告事業」に属し、関連するサービス開発を行っています。
ざっくり階層構造であらわすとこうなります。インターネット広告事業本部(以下「本部」)は、広告代理事業なので、クライアントの案件を提案・受注し、その企画・広告制作・プロモーション実施・レポーティングなどを行う組織で、セールス(営業)・コンサルタント・プランナー・クリエイターなどの人たちが所属しています。
それに対してアドテクスタジオはサービス・プロダクト開発を行う組織で、基本的にはソフトウェアエンジニアおよびデータサイエンス系の研究者を中心とした組織です。
本部とアドテクスタジオの関係について聞かれることがよくありますが、よく連携はしているものの別個の組織です。
本部はクライアントワークが中心で、アドテクスタジオで開発・提供するサービスをセールスする役割も一部あるものの、それ以外の他社のサービスも分け隔てなく使います(クライアントのための最適なプロダクトを提案するのは当然のことです)。
逆にアドテクスタジオは本部の下部組織ではないので、アドテクスタジオのサービスは本部以外の販路でも提供しています。
一応正確性を期すために付記しておくと、アドテクスタジオの中で本部向けの運用ツール(CA Dashboardなど)を開発するグループ(オペレーションテクノロジー)があり、そのグループだけは本部専用のサービス開発を行っています。
アドテクスタジオの規模としては、https://adtech.cyberagent.io/aboutus/ こちらの通りで、約200名のエンジニアと、約100名の営業・スタッフで構成されています。
何の事業をやっているのか
これもこちら https://adtech.cyberagent.io/aboutus/ を見てもらえば現時点での事実どおりになっていると思います。
広告テクノロジー(アドテクノロジー)をメインにしつつ、ブロックチェーン・チャットボット・ロボットサービスなどの分野もカバーしています。
マーケティングに関連する技術全般をカバーしているといえると思います。
従来の概念における「アドテクノロジー」とは何かというとhttps://adtech.cyberagent.io/pr/archives/3601 こちらの記事にあるような、広告のリクエスト・インプレッション・クリック・コンバージョン(+リテンション)などのログに加えてユーザーのオンライン上の行動データをかけあわせた大規模データ分析と、それを1インプレッション単位(あるいはその前段の1リクエスト(1ビッド)単位)で収益最大化するためのリアルタイムの低レイテンシ配信技術を指します。
そんな中、注目しておくべき業界の潮流の変化としては2つあると思っています。
(1)広告と販促の境界があいまいになってきた
従来、一般的なマーケティングの枠組みにおいては広告と販促は別の概念でした。広告はマスに対して周知・認知をはかるものであり、販促は直接売上をあげるための施策でした。実際の企業でも広告と販促は管轄部署がそもそも別だったり予算が別だったりということは珍しくありません。
テクノロジーの進化がこの2つの境界をあいまいにしつつあります。O2O(online to offline)分野の発展や、広告分野のデータと販促分野のデータが接続されてきたことにより(これは直接つながってることもあるし、機械学習の発展により精度の高い類推が可能になってきた側面もあると思っています)一気通貫のプロモーションが可能になってきたためです。
(2)テクノロジーとクリエイティブの融合
クリエイティブ(バナー画像・動画・テキストなど)については、基本的には人力で作った素材があってそれをどう選択して配信するかで技術を使うという世界観でした。ダイナミッククリエイティブといってクリエイティブをシステムで動的に生成する技術はすでに盛んに使われていますが、これも基本的にはクリエイティブのテンプレートがあって、そこにフィードといわれるテキスト情報を動的に流し込むというフレームワークです。
今でもそれらの技術自体は間違いなく重要ですが、それに追加してホットな分野として、クリエイティブにテクノロジーを絡めたさまざまな技術があります。
クリエイティブそのものの自動生成、動画クリエイティブのコンテンツ分析、3Dスキャニングによるリアルな人体・物体のデジタル化、プレイアブルアドなどインタラクティブなクリエイティブ、クリエイティブが実際に受け手の視界に入ったのかというViewの測定技術、効果測定における因果推論技術の発展などです。
このあたりはアドテクスタジオで取り組んでいるものはもちろんありますが、それに加えて合弁会社・子会社等の関連会社(AVATTA, Ca Design, CYPAR, CA ABEJA等)をここ最近立て続けに設立しているので、そこでも取り組んでいます。
アドテクスタジオ内部の組織構造
実際に中ではたらくことについての話に移っていきます。
アドテクスタジオを組織として大きくわけると、サービス開発を行うエンジニアたちが所属するいわゆるアドテクスタジオと、研究開発を行う研究者やリサーチャーが所属するAI Labの2つに分けられます。
両者は同じビルの同じ階にあって物理的距離も心理的距離も近いです。アドテクスタジオとAI Labの間で所属を異動することも普通にあります。お互いのやっている業務・成果は一定以上は共有されていて、互いに業務上で相談しあったり協力しあったりといったことは盛んに行っています。
アドテクスタジオ所属のメンバーはどこかしらのサービス・プロダクトに所属していて(別途インフラのグループもあります)、そのサービスのリリース・グロースを目的としてチーム単位で働いています。1チームは5人〜20人くらいで、エンジニア・プロダクトマネージャ・ディレクター・アシスタントスタッフ・デザイナーなどで構成しています。
AI Labのほうは大きく分けて3つに分かれていて「対話エージェント/自動接客術」「広告クリエイティブの制作支援と自動生成」「広告の因果効果の分析」の3つのグループがあります(参考: https://adtech.cyberagent.io/aboutus/ )。基本的には研究開発に取り組んでいて、論文の採択や学会での発表なども積極的にやっています。
アドテクスタジオはビジネスをやっていてAI LabがR&Dというくくりはざっくりとはそう言えると思いますが実際のところ境界はあいまいで、どちらも両方やっています。
その両方を橋渡しするグループとしてDSグループというのがあって、このグループの人たちはアドテクスタジオ所属で各プロダクトに所属するメンバーですが、データサイエンス系の専門スキルがあって、サービスのコードも書いている、といったポジショニングです。
これから入社される方で特にデータサイエンスの専門性をお持ちの方は、どちらに所属するかというのはもちろん相談で決まるとは思うのですが、どちらの所属だからといって決定的に差異が出ることは無いと思います。それよりは自分のスキルが活かせる・伸ばせるのはどこかという視点で取り組む課題ベースで検討したほうが良いと思います。
例えば研究寄りの人だとしても、アドテクスタジオのプロダクトチームに所属したほうが実データに対するアクセスはより容易なので、より検証機会が多いということはいえます(あくまでケースバイケースです)。
エンジニアの組織体
私はアドテクスタジオ所属のエンジニアなので、その話を深掘って紹介していきます。アドテクスタジオのエンジニアの組織構造についていくつかの視点で見ていきたいと思います。
職種としてのグレード
サイバーエージェントグループのエンジニアとしてのグレード(職位)があります。S1からはじまりS2, S3...という感じで、エンジニアとしてのスキル・実績などの評価に応じてグレードが上がっていきます。上がるタイミングとしては毎月随時です。ある一定以上のグレードだけ持てる特権(アシスタントに業務の一部を依頼できる)がありますが、それ以外はグレードによって差を感じることは普段はありませんし、普段意識することもありません。
グレードによって給与レンジがある?以前はそうでしたが今はそうなっていないかもです。給与決定に携わっていないので分かりません。
このグレードの制度自体はサイバーエージェントとして大幅な見直しがある予定です。
CTO会議
エンジニアメンバーはフラットな組織構造で、グレードの上下含めて上下関係は基本的にありません(先輩と後輩、メンターとメンティーという関係はあります)。
ただ、上下というものではないですがアドテクスタジオにはCTO会議といわれる上位グレードの人たち10人ほどで構成されるグループがあって(メンバーの入れ替えが定期的にあります)、アドテクスタジオのエンジニア組織に関わる施策の決定をそこでしています。一人のCTOというのはいなくて、あくまでグループです。
VPoE(Vice President of Engineering)に相当するポジションはありません。ただこのCTO会議というのが実質的にVPoE的な業務をしているといえます。
開発責任者
各プロダクトに1人ずつ「開発責任者」というポジションがあります。エンジニアの責任者として、開発のスケジュール・クオリティに対する責任者であるのと、所属メンバーの査定評価を行います。さきほど上下関係はないと書きましたが、責任者であること、評価者であることから、実質的にリーダー的存在にはなっています。ただ、マネジメント3.0やサーヴァントリーダーシップのような理念が比較的浸透していて、上から押さえつけるようなマネジメントをしているチームは無いと思います。
開発責任者は現状のアドテクスタジオのエンジニアのマネジメント寄りのキャリアパスの1つであるといえます。開発責任者はコードを書き続ける人もいますが、マネジメントだけやっている人も多くいます。そのあたりは「開発と評価に責任を持つ」以外に開発責任者のJob Descriptionはないので、各個人の裁量に任されています。
正社員・契約社員・業務委託社員・インターン・内定者アルバイト
働く際の契約形態として上記の区分があります。ただこれも普段業務をしていくうえではあまり差異はありません。裁量の違いがないというと語弊がありそうですが、正社員が業務の進行についてはリードしています。正社員で8割か9割以上を占めています。
働く環境
開発用PCは入社時に自分で選べます(原則としてラップトップPC)。メモリ16GB以上は当然のこと、複数の外付けモニタやキーボードなどその他必要な開発道具は自分で選んで経費で買うことができます。
勤務場所は渋谷マークシティ23Fです(例外あり)。自分のデスクがある(チーム単位でまとまってます)のでそこで作業するのが基本ですが、すぐ近くにクリエイティブスペース(https://adtech.cyberagent.io/aboutus/ この写真の場所)があるのでそこで仕事をしている人もいますし、外出しての仕事やリモートワークも許可されています。このへんはチーム内で問題なければOKという認識です。
デメリットを挙げておかないとアンフェアなのでいくつか(改善に動いているものもあります)。
・大部屋なので空調の温度設定が自分に合っていないころがある
・ビルの最上階(23F)なのでエレベータに乗ってる時間が長い
・会議室が少なく予約がとりづらい(1on1をするとき困る)
2019年秋完成予定の渋谷スクランブルスクエアへの引っ越しの予定がある(決定ではない)のでこのへんの事情は変わってくると思います。
勤務時間は10時〜19時と決まっていますが、裁量労働制なのでこれに必ずしも縛られないはず・・・なんですが、スクラムをやっていてデイリー朝会がある弊害で(といったら怒られそうですが)10時に出社していますが、満員電車で疲弊しているので何とかしようと思っています。
あくまでも個人的な考えなのですが、Output/Outcomeに対して仕事しているので時間に縛られなくてもよいはず。しかしビジネス職の人たちは10時〜19時で勤務しているのでそれに合わせているという実務上の都合および文化的な面がまだ残っているという印象です。
休暇については有給休暇と「休んでファイブ」という5連休が基本で、あとは慶弔休暇等一般的な休暇制度はついてきます。
チームや時期によると思いますが、残業や休日出勤は基本的に強制されるものは無いです。
数年前までは0時過ぎて仕事している人はけっこういた記憶がありますが、最近は20時をすぎれば8割以上は帰宅しているという状況です。
アドテクスタジオの制度・定期イベント
いくつか特徴的な制度や定期イベントについて紹介します。サイバーエージェントとして全社でやっているものは割愛。
・ゼミ
自主テーマに基づいて集まったメンバーでゼミを結成して、業務時間の一定割合をそのゼミでの活動にあてることができます。実例としては「リーンアジャイルゼミ」「Rustゼミ」「量子アニーリングゼミ」などがあります。
勉強会とは違うのは活動予算がつくことと、成果のアウトプット・発表を求められる点です。
勉強会は私が把握しきれないくらい、自主的にメンバー集まってそれぞれやっている勉強会がたくさんあります。
・AdTech IO
半年ごとに業績の振り返りや表彰などを行う。全社総会のアドテクスタジオ版のようなもの。参加はほぼ強制
・TECHの暦
1年中行っている社内限で公開されるAdvent Calendar的なもの。誰かがブログ記事を書いてカレンダーに登録すると、それがslackで共有されます。
・アドテクライブラリ
ミニ図書館があり、主要な技術書や雑誌が読めます。この図書館に寄贈する前提で、自分が読みたい書籍をアドテクスタジオとして買ってもらうことができます。エンジニアリングとか仕事に関係する書籍である必要があります。
・AdTech Developer Conference
1年か半期にに一度開かれる、アドテクスタジオ部署内限の技術カンファレンス。参加はほぼ強制
・AdTech Hack
部署内ハッカソン的なもの。これも1年に1回くらい。参加は任意
・AdTech Gang
一ヶ月に一回行われる、アドテクスタジオ内の勉強会兼交流イベント。「隣のプロダクトのやってることを知る」をテーマに、いくつかのセッション&LT&懇親会で構成。参加は任意。
・Paper Friday
毎週1つ学術論文を取り上げ解説する勉強会
・アドテクコンペ(短期インターン)https://developers.cyberagent.co.jp/blog/archives/18636/
・ひとりDSP(短期新卒研修)
https://developers.cyberagent.co.jp/blog/archives/7919/
Q:入社前と入社後の一番のギャップは?
A: 外から見えるサイバーエージェントの華やかさ・パリピ感(一部の人の印象)に関わる機会はアドテクスタジオのエンジニアとして勤務する限りほとんどありません。所属プロダクトやポジションによりますが、基本的にはデスクで開発作業に没頭する毎日をイメージして間違いないと思います。
人事・経営部門は間違いなく優秀で、対応が真摯で真面目で丁寧です。社員として在籍しているなかで心理的安全感があります。チャラいイメージはありません。サイバーエージェントの安定さを支えている基盤になっています。
Q:リクルート、LINE、メルカリ等とどこが違う?
A:ウェブ系のメガベンチャーとしてこれらの企業を並行して受けたり検討したりするケースがあるようです。私はそれらの会社で働いたことがないので分かりません。職場環境としてけっこう似ているとはいえると思います。あとは直感で決めるしかない。直接社員と会って話すことがあると思うのですが、この人と働きたいか、で選ぶと良いと思います。採用するサイバーエージェント側としてもその視点で採用しています。
あまり比較されませんが、事業ドメインでいうと、アドテクノロジー分野で近いことやっていてエンジニア組織が存在感あるのはSupershipとかセプテーニとかFringe81とかでしょう。その中でいうとアドテクスタジオは規模が最も大きいです。これも他社との違いに言及できるほどそれらの会社の内情を知りません。
Q:メディア部門・ゲーム部門と比べてアドテクの特徴は?
A:これもそれぞれの部門のそれぞれのチームによってケースバイケースなので何かを断言しづらい感じがあります。あくまで傾向として私が感じていることは、アドテクはチーム単位での裁量が大きいです。開発プロセスや技術選定においてアドテクスタジオとして決まっている規定やルールはなく、チームの中で合意さえできれば、好きな技術・好きなやり方を自分たちの責任で選択できる裁量があります。
ある程度成熟した組織ではCTOやリードエンジニアがトップにいて全体のアーキテクチャをある程度以上コントロールしているという組織は珍しくないと思います。アドテクはそういった組織構造にはなっていません。新しくサービスをつくるときはゼロベースで、そのチームメンバー自身で全てを決めます(もちろんアドバイスもらったり既存のものを流用することはあります)。
これはいい面ばかりでなく横軸で統一できてないというネガティブな面もあり、共通ライブラリや共通基盤的なものがうまくいっていない面があり、それぞれのチームがそれぞれのチームでベストだと思った意思決定をしてそれぞれ働いているという、同じ会社・部署でありながらスタートアップのインキュベーションラボっぽい、ある種のごった煮感があるのがアドテクスタジオという部署の特徴といえるかもしれません。
こうなっている理由としては組織としての方針であることはもちろんですが、もともとは別会社・別部門だったものを統合してできたというアドテクスタジオの成り立ちの経緯や、サービスごとに特性が違いすぎて要件(スケジュール・セキュリティ・パフォーマンス・コスト感等々)が違いすぎるので、統一的な何かを浸透させづらいといった事情もあると思っています。
Q: 組織の課題があるとしたら何か?
A: いろいろあると思いますが、採用・退職の問題に帰着すると思います。ぴったりマッチした採用をするのがなかなか難しい、かつ入ってくれても転職してしまうケースが(ゼロにはできないにせよ想定基準より)多いというのは実際あると思います。
採用については人員もリソースのかけ方も増やしてより注力しようとしているところです。
転職して抜けてしまう問題については、そもそも在籍していた人がより高待遇で転職できる良人材であったという逆説的な事実はあると思いますが、転職という選択肢があったときにそれを実際に選択されてしまっているわけで、その原因は何かと考えたときに、
・給与の問題
・経営やプロダクト方針に関する透明性・納得感の問題
この2つはよく言われるところです。ただどちらもどこかで折り合いをつけないといけない問題であり、出口を改善すると同時に、入口の基準の改善や、期待値の改善が必要と思います。が、ここでは深掘りしません。
Q: アドテクはB2Bだし広告のシステムといわれても何をやっているかイメージがつかない
A: アドテクスタジオを職場として選択するうえでおそらくこれが一番のネックになってくるのだろうと思っています。
インターネット広告自体は日常的に触れていることは多いと思いますが、そのシステムがどうなっているか、さらにはどういうシステムが良いシステムといえるのか、などはイメージがつかないのは当然だと思います。
実際に担当するサービスの細かい個々のシステム仕様やデータのあり方は、いろいろバリエーションがあると思います。業界ならではの慣行やしがらみがあったり、広告主側やメディア側の都合による制約があったり、プライバシー問題やセキュリティ懸念などの課題が山積みで、そういったフラストレーションを先んじて感じることもあります。
働くうえでのビジョンとモチベーションについて、私なりの視点を紹介したいと思います。
アドテクで取り組むビジネスのステークホルダーは基本的に「広告主」「メディア」「消費者(ユーザー)」「弊社(広告サービス提供者)」の4者であり、その4者が全てWin-Winになるのが理想です。
(1)広告主の売上を最大化し
(2)広告配信先のメディアの売上も最大化し
(3)消費者は広告に触れる体験が良いものであり続け
(4)弊社は(3)を担保しつつ(1)-(2)のマージンとしての売上を最大化し、これらを遂行するコストを最小化する
アドテクとはこの4つの最適化問題を解くものである、と捉えるのが一つの視点としてあると思います。この状況に対してパレート最適な状態を目指したいわけです。この目的に対して使えるデータを集め、分析し、レポーティングしたり次の広告配信を改善したりします。
この問題を解くという仕事に対して興味関心・情熱を持てそうであれば、アドテクスタジオは入ってみる価値があるかもしれません。