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自己開示

今年こそはブログを頑張りたいと思った矢先放置してしまう毎年―
なので新年のうちに雑記を一つ。
皆さま、今年もよろしくお願いいたします。

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好きなものを好きだと言う
怖くて仕方ないけど
本当の自分 出会えた気がしたんだ

YOASOBI - 群青

個性を発して生きているつもりの私も、思い返せば毎日このせめぎ合いだ。
まさに今引用してきた"群青"の歌を練習しているように、べつに誰の前でもヨーデルやデスボイスで歌うわけじゃない。このnoteだって飽きるほど自分自身で校閲しているのに、誰に共有するのかという肝心な事は書いている時点で全く決めていない。

自己開示は知人との距離を近づけも遠ざけもする、ハイリスク/ハイリターンな劇薬だ。芸術や創作を嗜む者にとっては尚更で、活動や作品自体よりもそれを開示する時や場所や相手を正しく選別する方に精神を削るという優先順位の逆転が幾度となく起こり得る。


虚しくも、普遍性の高い活動ほど嘲笑や批判の対象にされやすいと感じる。
誰しもが歌うことは出来るから、歌唱の動画は楽器演奏よりもどこか開示しにくい。また誰しもが言語の読み書きが出来るから、ポエムや文章などの創作物はその他の媒体よりも自分の心の内かスマホのメモ帳に閉じ込めがちかもしれない。

かくいう私は歌も文章も趣味でSNSに載せているので、ある意味で私のアカウントは地雷の博物館だと思う。
それでも、本当の自分 —とそれを認める優しき友達— に出会うため、私は好きなものを好きだと言う。


芸術の世界に一度でも足を踏み入れた人になら、過程の苦難はほぼ確実に伝わるだろう。最終的に鑑賞されるものは、幾千もの練習と完璧主義的な自己検閲によって研ぎ澄まされていると知っているからだ。

だがそういった活動と無縁で生きていたり、活動者の軌跡に興味を示すほどではない程度の関係性にあるような外側の人間がどうするかというと、表面だけを毒味して、その不慣れな感触を自身の心理の安全性を脅かす毒だと認知し、仲の良い人に吐き出す事で治癒してもらうのである。
その治癒した側の人間も大抵、自らの友人を不快にした得体の知れないものを敢えて鑑識し「毒じゃなかったよ」と訂正するような事はしないだろう。

彼らは先入観がないからこそ「好き」「嫌い」という最も単純な二元論で判断できる。その彼らを前には定量的な証明ももはや無力だ。専門書を何冊読み、どれだけ難しい資格を活かしたものを書けたとしても、彼らが文章を、それを書いた私を、嫌いと言ったら嫌いでお終いなのだ。
むしろ手塩をかけるほど彼らの中には私の自己顕示欲という虚像が立てられ、彼らの価値観という実像とタイマンすることになってしまう。仮にその後ろに隠れる私の実像が、彼らの実像と双子のようにぴたりと一致するものであっても。抱擁できる機会はない。

長々述べたがすなわち、自己開示することは縄張りを張るような事なのかもしれない。

何のためにわざわざ縄張りを張るのか。
生物学的な議論はしないが、それが生存のための普遍的行為であることは素人の私でも理解できる。

年末には動物園に行ったが、猿たちは極めて狭い生態系の中に生きていてもなお好戦的だった。それを見る私も、隣にいる獣医師志望の友人も、それぞれ何かを漠然と考えさせられたものだった。


縄張りの必然性は人間のデジタル社会でも決して例外ではない。というか実世界よりもインターネットの方が非常に強力に張られている。
私と同世代の人たちは複数のアカウントや親しい友達の機能を使って、面倒でしかない情報統制を皆皮肉なほど丁寧に行っている。無論、私も例外ではない。

その仕組みから逃げられないのであれば、すべきは縄を常々更新しつつ、その軌跡を示していく事だと思う。昔の自分はこう、今の自分はこう…というように。

その手段として、自身の感性と技術を存分に詰め込んだ創作物こそ何よりのポートフォリオだ。そして遍歴を示せるという意味では、過去の駄作を抹消する必要もない筈なのである。
…怖くて仕方ないけど。


という流れで自己開示の話に戻ってきた。結びに入ろう。
冒頭で私がブログを放置しがちだと記したが、その理由の大部分は「ブログが知人との関係性をどう変動させてしまうか」という危惧だ。実際問題として、今までプラスよりマイナスの方が多かったかもしれない。

ただ書き上げたものを現実世界に共有しなくても良いのがインターネットの利点であるし、そもそも自分に興味がない人はにアクセスさえしないだろうという楽観で取り組みたい。
今年はインターネットの世界に恐れず足を踏み入れていき、実態を理解する年にしたい。

その決意として私は、この記事と"群青"を歌った動画を同日にアップロードするのであった……。


私の更なる自己開示(=自己紹介)は以下の記事をご覧ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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