#17 ALSになるまで⑦
筋生検から11ヶ月。
病名確定のために、最終的な検査を再度入院してすることになった。
入院してすぐ、また針筋電図。
針の長さは約5cm。
何十ヶ所も針で刺して電流を流し、筋肉の動きを見る痛い検査。
波形がディスプレイに出てくる。
明らかに前回より波形の幅が浅い場所が増えてきている。
でも、なんでこんな痛い目を何度もするんだろう。
今回は筋生検の結果が出てるはず。
医者が手に負えなくて「難病」と言ってるんだからしょうがない…と思いながらも、痛い検査が続くと凹んでしまう。
ペップトークで今の自分を
受け入れようとするけど、なかなかできなかった。
数日後、主治医から
「ご家族の方を呼んでください。病状説明と今後のことをお話します」
主人に連絡し、仕事終わりに来てもらった。
病名が確定するまでの間の11ヶ月、自分の中では
「ALSだけはなりたくない」
という気持ちが強かった。
それだけALSは、予後が悪く、進行が早くて生き死にを自分が決めることになるという過酷さと、家族の介護負担が大きいことを、ケアマネしていて知っていた。
知っていたからこそ、今の症状からして、自分がALSであることの確率が高いことも体感していた。
主人が病院に来てくれて、一緒に主治医と話を聞いた。
「筋生検とその他の検査の結果、ALSで間違いないです」
一番聞きたくない病名。
運に見放され、先の見えない不安のブラックホールに落ちていく感覚。
とにかく現実を受け入れたくなかった。
もうなにも話が入らない。
頭がこれ以上の情報を拒否していた。
この間は淡々と、難病の医療受給者証の手続きと、次回の診察日を決めて、自宅に帰ったような記憶がある。
主人とも何を話したのか、それすら出てこない。
ただ、今から思うと、主人のショックは計り知れなかったと思う。
こうして、2013年7月4日、この日から私はALS患者になった。
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