#4 10年
ALSの確定診断を受けてから、今年で10年。
2013年7月4日。
ALS患者になった。
大学病院の3畳程度の無気質な部屋に、グレー 1色の事務家具。ソファーも硬い。
事務机の上には、立派なデスクトップパソコンとMRIの画像のディスプレイ。
自分と主人が呼ばれて主治医から説明を聞いた。
「筋生検の結果が出ました」
ここまでは覚えてる…
その後、なんて主治医が言ったのか覚えていない。
気がつけば、難病医療受給者証の申請書類を書いていた。
涙が出ない。
主人から何を言ってもらえたかもわからない。
ただ、わかったのは、
「自分はもうすぐ動けなくなる」
ただただ、恐怖しかなかった。
ALS = 全てが終わった
いつもの街並みを見ながら帰りつつ、なにもかも無になる感覚だった。
そして、明日が来なけりゃいい…そう思いながら、家路に着いた。
しかし、帰ると現実がある。
子どもに笑顔。
義母にはたいしたことないと嘘をつく。
こんな生活、いつまで続くんだろう…
その日から本当の不安と闘うことになる。
こんな自分が生きてていいのか…って。
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