最近病んだ話
夫は出会った時から「自分はチョコレートを食べない」と宣言していた。
私は夫がチョコレートを食べようが食べまいがどうでもよかった。食べる事は悪い事ではないのだから、好きにすればいいと思っていた。
ただ、食べないと夫が言っていたので、そうなのかと信じていた。
ある日、私がスーパーから帰ってくると子どもが1人で棒付きの飴を舐めながらアニメを見ていた。夫はどこだろう。
和室に入ると、夫は私が帰宅していたことに驚き、慌てて何かを隠した。
「何をしていたの?」と私が問うと、夫は「何でもいいだろう」と怒鳴った。
チョコレートの香りがする。
「チョコレートを食べていたのですか」
そう聞くと夫は黙った。
明らかにチョコレートを食べた形跡がある。
しかし夫は否定している。
大の大人がこっそりチョコレートを食べたって何の問題もない。
夫のプライドを守るために「そうですか」と見て見ぬ振りをしてリビングへ戻ろうと試みた。
一度そう試みた。
しかし私はある考えが思いつき、動けなかった。
家の中でG(虫)を1匹見つけたら100匹はいる、という言葉を聞いたことがあるだろうか。
あれと同じで、嘘も1つ見つけたら100個はついているのではないか。
その考えが血液と共に身体中に回ると、夫の今までの全ての行動や発言が全て嘘に感じられ怒りが込み上げてきた。
私は夫に「どうして嘘をつくのですか?私との間の信頼を失っても良いのですか?」と叫んだ。
夫も夫で「なぜそうなる」と苛立ちを見せた。
素直に認めればいいのにその不誠実な態度が更に私の怒りを膨張させ、私は泣き出した。
「私の目を見て何も食べてないと言えますか、ねぇ、そう言ってください。お願いですから」
そう懇願すると夫はとうとう「食べたよ!」と言ってそっぽを向いた。
私はすぐに満足感で満たされたが、同時にこれは二極思考だと気づいた。
チョコレートを食べることを隠していようがいまいが今までの夫の行動が覆る事はない。
夫は私を大切にしてくれている。
なのにちょっと隠れてチョコレートを食べていただけで夫の全てを疑うなんて。
この症状はこの間ネットで見た。
これは境界性パーソナリティ障害だ。
私にいいところなど一つもないが、強いて言うなら怒らないところだと思っていた。
私は基本的に怒らないし、面倒見も良い。
そう思っていた。
しかし実際は【そうありたいと思っていた】だけで、温厚とは真逆のただのヒステリックおばさんだった。
悲しくて悲しくて、気持ちがもたなかった。
もはや夫のことなどどうでも良い。
私は自分に心底がっかりした。
がっかりするたびに、生きることから逃げたくなる。
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