チョイふるストーリー Vol.1 「一歩ずつ着実に、想いに忠実に」代表理事・栗野泰成さん
一般社団法人チョイふるのメンバーをご紹介していく企画、「チョイふるストーリー」。
記念すべき第一回目は、チョイふるの代表である栗野さんにインタビューしました。
Q. 現在チョイふるの活動として行っていることは何ですか?
チョイふるの代表としては、主に3つの事業を行っています。その中でも、最近特に力を入れているのは、去年の10月から取り組んでいる「おもちゃ図書館プロジェクト」です。このプロジェクトは親や子どもにとっての第三の居場所をつくるために行っています。
僕はもともと、つくば市で幼児向けの英語教育プログラムを運営していました。その時は、留学生に遊びを通じて英語を教えてもらうことで、子どもの非認知能力の向上を目的としていました。しかし、実施するうちに、そこに来る子どもや親は社会経済的にも余裕がある、社会階層の高い層ばかりだということに気づきました。
そこで自分はもっと地域から孤立してしまっている、自ら助けを求められなかったり、そういった情報さえも手にできない層にリーチしたいと思い、食品を家庭に直接届けるという宅食事業を始めました。
そして、宅食事業を行っていく中で、地域の孤立している家庭とも少しずつ繋がり、関係性をつくっていけており、居場所づくりへ繋げている途中です。
地域で孤立していたり、困窮している家庭の子どもは選択肢が身近にない状態です。
その選択肢を少しでも近くするために、宅食事業、そして直接的に生活習慣のサポートができる居場所事業に取り組んでいます。
Q. これまでの活動の中で困難はありましたか?それはどのような困難でしたか?
はい、困難はたくさんありました(笑)そうですね、その中でもやはり、そもそもリーチできていないと感じた時ですかね。例えば、子ども食堂でも、形的にはつくって運営することはできると思います。けど、実際にアプローチしたい困窮層にアプローチできていなかったら意味がないです。だから英語のプログラムもやめました。
本来の目的とは違う間違ったことをやっているなと気づいた時に、最も困難を感じます。けどそれもやってみなきゃわからなかったことなので、今は知れてよかったです。
Q. なぜチョイふるの活動に情熱を注いでいるんですか?
大きなきっかけは、青年海外協力隊でエチオピアに行っていた際に知った、レンタルチャイルドです。
あと、自分の生い立ちも影響していて、子どもの頃は情報にアクセスできなかったり、経済的に裕福でなかったりしたので、そういった子を少なくしていきたいと思ったからです。
現在は足立区で活動していますが、この先は全国、そして海外へと支援を広げていきたいと思っています。
日本でも海外でも社会の歪みが貧困という形で表れていると思います。
社会課題の構造へのアプローチ方法は共通していると考えているので、選択肢が制限されている子どもに対してやるべきことをやっていきたいです。
Q. チョイふるで実際に活動をしてみた感想を教えてください!
子ども食堂に関しては、コロナも落ち着いてきたので、ようやく元の状態に戻せるかなといったところです。
この2年間はやはり利用者さんの中には、コロナによって職を失ってしまった方もいらっしゃったので、それに対する支援は何ができるんだろうと悶々とするところはありました。
宅食事業のわくわく便に関しては、リスク判定の精度が上がってきていたり、少しずつ利用者さんも増えてきているかなと思います。
これからは行政や学校、地域の専門機関と連携を強めながら、地域で孤立している子どもたちにリーチしていきたいです。
けど、まだまだリーチが足りていないと感じるので、これからもやり続ける必要があります。
「選択肢が身近にない子どもに選択肢を近づけること」このことがこれまでの活動を通して、自分達のコアとなる部分だと気づけました。
Q. チョイふるが栗野さんの想い形であること、すごく伝わってきました!そんな栗野さんは、チョイふる以外の時間にはどんなことをしているんですか?
実は他の仕事もしてます。他の会社さんで親御さんの就労支援をしているので、チョイふるとやっていることはあまり変わらないかも。
趣味は、、、ほんと全然ないですね笑
コロナ前はフットサルをしていたんですけど、今はできないのでやってないです。
あ、最近町づくりにも興味があって、自分も今住んでいる北千住いいなって思っています。
北千住って都心へのアクセスが良いし、物価も安いのでずっと穴場的な場所だったんですよ。けど近年人気が上がってきていて、タワマン建ったり開発が進んでいて。それに対して友人の建築家がジェントリフィケーション(開発が進むことによってもともと住んでいた人たちが住めなくなってしまうこと)を食い止めたいって活動をしてるんですよ。そんな友人との付き合いもあり、僕もシェアハウスの立ち上げと運営に携わっています。
シェアハウスをしていることによって、いろんな分野の人と関わるきっかけになりましたし、そこでの出会いがチョイふるにも良い影響があるんですよね。
実際、おもちゃ図書館に関しても建築家の人がスウェーデンの事例を教えてくれて、そこで知りましたし、おもちゃ図書館のデザインを担当してくれた人もシェアハウスを通じて知り合いました。
単発のプロジェクトだけで関わる人とはやっぱり人間関係を深くするのって時間がかかると思うんですけど、まず友達になってから同じ価値観を持って一緒に仕事をするという順番だと、楽しく仕事を進められます。
そこで、コミュニティの大切さとか必要性を感じました。
仕事だからって辛いものである必要はないと思っていて、ボランティアさんとの関係性もそうですが、近所の人がフラっと寄れるような空間を全国でつくれたら良いなって思います。
例えば、高齢者の方達でも、「若い子の手伝いをしていると元気になるわ。」と言ってくれることがあるんです。そんな地域で何かしたいけど、できないみたいな人たちがここにきたらお節介できるみたいな場所にしたいです。
支援者側も同じで、辛いとか大変だけだと続かないと思うんです。
自分達も活動を通してやりがいや生きがいを感じられたら良いと思うし、それがコミュニティの役割だと思ってます。
そこに非営利活動の良さがあるなって。
営利活動だと、コストパフォーマンスとかを重要視せざるを得ないと思うんですけど、コミュニティをつくるためにはお金の関係性だけでなく、お互いが支え合える関係性が重要で、そんな関係が結局は親子を取り巻く社会課題の解決に必要なことなのかなと思ってます。
【インタビュアーより】
記念すべき第一回目はチョイふるの代表である栗野さんにお話を伺いました。栗野さんの想いがよく伝わってきて、チョイふるが栗野さんそのものだなと感じました。目の前の人から着実に、信念に忠実に活動をしている姿は素敵だと思いました!この先、足立区だけでなく全国、そして海外まで栗野さんの強い気持ちを持ち続けて邁進される姿をみていくのが楽しみです。初回は少し長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。次回からもチョイふるで活躍されている方達にインタビューしていくので、お楽しみに!
(インタビュアー・執筆 佐向凜々花 )