チョイふるストーリー Vol.4 「子どもたちの心の拠り所に」おもちゃ図書館 あだちキッズカフェ施設長・井野瀬優子さん
一般社団法人チョイふるのメンバーをご紹介していく企画、「チョイふるストーリー」。
第4回目は、チョイふるが運営するおもちゃ図書館「あだちキッズカフェ」の施設長である井野瀬優子さんにインタビューしました。
Q1.チョイふるとの出会いは何ですか?
あだち・わくわく便のボランティアをされている方にチョイふるの活動を紹介してもらい、ボランティアに参加したことがきっかけです。その時に、チョイふるの活動についてのお話を聞きました。食品配達を入り口に子育て家庭の見守りを行っているということや、様々な理由で困っている人は自分から「助けて」と助けを求めることが難しいという課題をクリアにするために、自分たちからお届けに行っているという話を聞いて、すごく素敵な活動をされているなと思い、積極的にボランティアに参加するようになりました。
Q2. この仕事のやりがいは何ですか?
ご利用者の方に感謝してもらえたり喜んでもらえたりするのはもちろん嬉しいのですが、一緒に活動してくれているボランティアさんが楽しそうだったり、活き活きしている姿を見ると、とても嬉しいです!
働いているみんなの空気が良いことはこれからもっと良いチームになる気がしていますし自分の中でも大切にしているので、ボランティアさんが仲良く楽しそうに交流しているのを見るのが嬉しいです!
一緒に活動しているみなさんがやりがいを感じてくれることが私の役目でもあるかなという感じですね。
Q3. おもちゃ図書館の施設長として、この施設への思いを聞かせてください。
チョイふるの活動に携わる前は、保育士をしていました。実は、保育士になったのも、子育て支援の活動に携わりたかったからなんです。今の活動は私が保育士を志した時からやりたいと思っていたことなので、ありがたいご縁で活動させていただけていることに感謝しています。
そもそも、なぜ子育て支援がしたかったかというと、私が小学生5年生の時に妹のクラスで起きた学級崩壊がきっかけです。そのクラスは、担任の先生が1年間に3人入れ替わるくらい荒れていました。その中でも特にやんちゃだった子は、両親共働きで忙しいお家の子、という印象でした。その子は、なんとなくモヤモヤした気持ちを抱えていて、そのモヤモヤを学校で発散させているのかもしれない、と子どもながらに考えていました。
私自身は母子家庭で育ったんですが、お母さんが働いていてもそんなに寂しい思いを感じたことがなかったんです。祖父母と同居していたからでもあると思うんですが、自分の話を聞いてくれる人や場所が身近にあったからだと思います。
自分の安心できる居場所があるかどうかや、話を聞いてくれる人が身近にいるかどうかで、心の安定が大きく変わるのではないかと思い、保育士を志しました。
おもちゃ図書館という家でも学校でもない第三の居場所が、子どもたちにとっての安心できる居場所になれたら嬉しいです。
Q4. チョイふるが行っている事業にはどんな方に利用していただきたいですか?
もちろん困っている人にも利用してもらいたいけれど、地域の色んな人に関わってもらえたらいいなって思います。
おもちゃ図書館は、地域の子どもたち誰でも来れる場所であったらいいなって思います。
大人の目から見ると困っている人に支援を届けたいという想いがあるけれど、子どもの世界では、友達同士に親の収入とか家庭の貧富は関係ないですよね。
困っている子とかそうでない子とか区別しないことで、子ども同士が誘い合い、子どもたちが自分の意志でおもちゃ図書館に来てくれるようになるといいなと思っています。
そうすることで結果的に、支援が必要な子も来れている状態になると嬉しいです。
Q5. お子さんがいらっしゃると思いますが、お子さんを含め世界中の子どもたちにはどんな大人に育ってほしいですか?
子どもたちが「心が満たされた状態でいてほしい」っていうのは自分の子どもたちにも、チョイふるを利用する子どもたちにも共通しています。心が満たされていないとやる気も起きないし、何か良いことがあってもプラスに受け止められなかったり、自分を卑下してしまったりとか前に進めないと思っています。
子どもたちが周りの人からの愛情を感じ、心が満たされている状態でいることを大前提で大切にしています。
Q6. もともとボランティアさんの一員だとお聞きしました。その立場からこれからボランティアを考えている方に向けてメッセージをお願いします。
初めて行く場所って緊張すると思うんですけれど、チョイふるには年齢も性別も関係なく色んな人がいるし、個性豊かなメンバーがたくさんいます。ボランティアさん同士が対等な関係で隔たりがないなって私は思っていて。緊張もするとは思うんですが、ぜひ気軽に来ていただけたら嬉しいです。だって高校生もいるし、時には小学生もいるし。(笑)
Q7. チョイふるの活動で大変だったこと、楽しかったことは何ですか?
私はあんまり大変って感じることがなくて。ハードルが高いほど燃えるタイプなんで(笑)
だから楽しいことっていうと、全部楽しいかもしれない!
いろんなお仕事があって新しいボランティアさんとの面談だったり、助成金の書類や報告書を作ったり、ボランティアさんが見守りしてくれた情報をパソコンに打ったりとか…本当にいろんなことやっているのですがそれが楽しいです。多分元々の性格が飽き性なんですよね(笑)でも色々な仕事があるから飽きないっていう感じです。
チョイふるの活動に参加する前は不登校支援の団体の代表を務めていたのですが、そこでは前に進むためにいろんなことやりたいけど何をしたらいいか分からないという状態で、やるべきことが分からない感じでした。それに比べて今はいろんな仕事があるけれど、前に進むために必要なことだから、忙しいのがありがたくてとても楽しいです。
Q8. チョイふるの活動を通して学んだことは何ですか?
一緒に活動している仲間を大切にしようっていうのがこれまでの中での学びですね。だからボランティアさんたちが楽しそうにしていると嬉しいって思うのかも。
善意でボランティア参加してくているとはいえ、やっぱり嫌いな人とは一緒に活動したくないじゃないですか。自分のことや、自分が大切にしている人や価値観を大切にしてくれない人とは一緒に活動したくなくなるっているのを私自身感じたことがあって。だからみんながそれぞれ大切にしているものを、同じくらい自分も大切に思えるようになりたいなって思っています。
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【インタビュアーより】
私は今回、井野瀬優子さんにお話を伺いました。優子さんとはボランティアの際にも関わりがあり、その頃から優しい方という印象を持っていました。今回のインタビューを通してボランティアの時だけでは知りえなかった優子さんの違った一面を拝見できた気がします。自分の過去の経験を通して、それをどう生かし人のために何ができるかという姿勢が素敵な人柄を形成しているのだと身をもって感じることができました。このインタビューで優子さんの仕事に対する熱心さやタフさが感じられました。そして何より仕事をしつつお子さんにたくさんの愛情をもって育児をされている姿が印象的でした。学生の私からすると1人の大人として女性として尊敬しております。優子さんは利用者の方と同じくらいボランティアに参加している方々1人ひとりを大切にされていて私自身も優子さんと関わるだけで温かい気持ちになります。優子さんのような素敵な方々がたくさんいらっしゃるチョイふるは誰かの背中を押すもっと大きな集団になっていくと改めて感じることができました。以上で井野瀬優子さんへのインタビューを終わります。読んでいただきありがとうございました!
(インタビュアー・執筆 壁谷和佳奈 <チョイふる・学生ボランティア> )