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チョイふるストーリー Vol.2 「寄り添う力と人間的な魅力」理事・柏倉美保子さん

一般社団法人チョイふるのメンバーをご紹介していく企画、「チョイふるストーリー」。

第二回目は、チョイふるの創設メンバーでもある柏倉さんにインタビューしました。

<プロフィール>
一般社団法人チョイふる 理事
柏倉 美保子(かしわくら みほこ)

投資銀行、責任投資でキャリアを積んだ後、2013 年から世界経済フォーラム日本事務所初の職員として地域戦略を担当。2017 年 7 月より、ビル&メリンダ・ゲイツ財団初の日本常駐代表として、途上国が抱える課題へ日本からのソリューションを最大限増やす役割を担う。
慶應義塾大学総合政策学部卒業、ケンブリッジ大学 MBA、世界経済フォーラム・グローバル・リーダーシップ・フェロー。

Q. 美保子さんはチョイふるに初めの頃から関わってらっしゃったと思いますが、チョイふるとの繋がりはどんなものなんですか?

実は、2017年頃から困難を抱えた家庭の方が多い足立区で何かしたいと思っていました。そんな時に豊島区の要町にある、あさやけ子ども食堂さんに見学に行ってみました。

ホームレスの方々にパンの作り方を教えていた奥様が亡くなった後に一人になった旦那様が、自宅で子ども食堂をスタートして、すごく素敵な夫婦だなと思い、私も温かい子ども食堂を作りたいと思ったんです。

インターネットで足立区の物件を調べていたところ、今の竹ノ塚の教会を見つけました。

できるだけたくさんの子どもが来れる場所にしたかったので、教会の広さがとても理想的で、その日のうちに電話をしたんです。牧師さんが電話で話してくれたんですけど、その牧師さんが、明治学院出身という共通点があったり足立区の社会福祉をやっていきたいという熱い想いを持ったりした方だったので意気投合しました!

色々な調整で数ヶ月後かかりましたが、2019年の春から教会で子ども食堂を始めることができました。

子ども食堂を開始してからは、第二と第四月曜日の夕飯を無料で提供していました。子ども食堂マップなどには載せずにSSWやNGO、区役所などを通して、一番ニーズの高い世帯にアプローチしようと試みていました。

ただ、その頃は父が子ども食堂の事務局長で、ヨガを教えている母の生徒さんが調理ボランティアで手伝ってくれていたんです。なので、足立区在住のボランティアメンバーがあまりいませんでした。

地域に根付いたボランティアコミュニティにしたい、また本当にニーズのあるところにアプローチするにはどうしたら良いかと悩んでいたところ、お弁当プロジェクトで栗野さんに出会いました。

そしてちょうどその時期、コロナウイルスが蔓延していて教会で食事を提供するのは難しいとの判断になりました。けど、食糧の仕分けならできるということで、栗野さんが行っていた宅食事業を規模を広げて教会で始めることになったんです。

そんなこんなで、元々は私と栗野さんは別々に活動していたんですが、お互いが補完し合える要素を持っていたので、今では一つの組織になり、チョイふるとして共に活動しています!

Q. 美保子さんは本業で海外の貧困支援をメインでやられているかと思いますが、なぜ日本国内でも支援を始めようと思ったんですか?

海外の貧困と日本の貧困は性質が違うと思います。日本の貧困には、日本社会特有の苦しさや生きづらさがあると感じています。

豊かとされる日本社会での困窮世帯で育つことは、他者と比較しやすいために、自己肯定感が下がってしまったり、生きたいように生きられなかったりします。機会格差を是正すべく子ども達にたくさんの機会を提供したいと思って、プライベートの活動として足立区での支援をしています。

Q. 美保子さんの行動力には本当に驚かされます!そんな美保子さんのモチベーションはどこから来るんですか?

6歳の時にメキシコで出会った物乞いをしている女の子に出会って、その時大人に対する強い怒りを感じました。大人がつくった社会で、現状小さな女の子が物乞いをしていることに憤りを感じて、大人が社会の責任を持つべきだと感じました。

それは今も変わっていないです。
自分が死ぬ時に後悔するとしたら、この社会をどう変えられたかということだと思うんです。社会を変えられたことが、自分の成功の基準になっています。

これまで、MBAや外資企業などでいろんな人の人生を見てきました。皆、比較しながら一喜一憂して、語弊を生みたくはないですが、自分だけの幸福の追求は、常に変化するもので、持続せずに短期的だと思います。あと範囲が狭いですよね。

一方で、社会や他者の為の幸せの追求は、持続するし安定した幸せの軸になると思います。他者の幸せと自分の幸せが一つになると、幸せの定義は無限に広がります。

私にとっての格別な幸せとは、本当に大変な想いをされている方がちょっとしたことで良い状況に運べた時です。

Q. 美保子さんの幸せの形が、今の現状に繋がっているんですね!最後に今後の展望を教えてください!

今は足立区という小さな土地で支援をしているけど、夢としては日本全国でお腹が空いていたり、誰とも接点無かったり、自己肯定感が低いまま育っちゃたりする子どもがいなくなるように活動していきたいと思っています。

アメリカで育って思うことは、アメリカではボランティアや寄付の文化が根付いている一方で、日本ではまだまだ進んでいなくて。
日本社会全体としても、ボランティアや寄付が当たり前の流れになれば、自然と社会課題が消えていくんじゃないかと思います。

以前からたまに会いに行っていた70代くらいのホームレスのおじいちゃんがいるんですけど、その方に去年の年末におにぎりを持って会いに行ったんですよね。
これまでも生活保護が申請できることとか勧めていたけど、過去に役所で冷たい対応をされたことで、自分自身は価値の無い人間だという気持ちになっていて。

そんなおじいちゃんに大晦日に会いにいったら、ぎっくり腰で動けなくなってたんですよ。
そしたら今まで頑なに拒んでいた生活保護の申請に行ってくれたんです。

そのことがとても嬉しくて、2022年はとことんやりたいことをやろう!と決心しました。



【インタビュアーより】
チョイふるストーリー第二回目は柏倉美保子さんにお話をお伺いしました。

熱い想いと冷静な判断力を持ち合わせた聡明な方で、美保子さんから発せられる言葉は温かく頑丈な芯のあるものだと感じました。

「団体の名前が大きいばかりに、ボランティアさんとの距離を感じてしまうことがあるが、本当は対等な立場で大好きだからただ仲良くしたい」とおっしゃられていることが印象的でした。

人間的な魅力に溢れている方で、今回は一時間と限られた時間でのインタビューでしたが、もっともっといろんなお話を聞いてみたいと思いました。

これから私自身も社会に出ていく中で、社会に何をもたらすことができるか、私個人として何がどこまでできるか、考える良い機会となりました。美保子さんの背中も追い続けていきたいと思います!

(インタビュアー・執筆 佐向凜々花 <チョイふる学生インターン> )


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