『パラレルキャリアエッセイ』本当にやりたいことは何？好きなことを見つけたい。〈第2回〉

前回のストーリーでは、スキルアップのつもりが、うっかり”ネットで稼ぐ”世界に足を踏み入れてしまったK。仕事では異動希望もかない、新しい部署で充実した日々を送れるようになっていましたが、”ネットで稼ぐ”ノウハウにお金をつぎ込むようになっていました・・・

これなら「稼げる」と、次々とノウハウを購入

これまでに「ネットで簡単に稼げる」と謳う、"稼ぐ系"ノウハウ（教材代や高額塾代）に、100万円以上をつぎ込んでしまっている。

そして、稼いだ額と言えば前回のストーリーで書いたとおり、主婦の情報サイトで稼いだ1万5千円のみ。最初のそれに懲りずに、次々とノウハウを購入し続けたのだ。

こういった教材を売る人たちは、本当に話がうまい。「ダメなあなたでも大丈夫。今すぐ始めないで、いつ変わるつもりですか？今でしょ！」と、魅力的なメールを送ってくる。

うまく口車に乗せられてるなと、どこかで感じながらも、「次は違う。今度はうまくやれる。」とノウハウを購入していった。そして、自分の行動を正当化するような理由をつけて。

例えば、夫。夫が体調を崩し、仕事を長期休業する必要があるかもしれないという状況になったことがある。そのときには「夫の代わりに私が稼ぐ！」と輸入ビジネスに意気込んだ。

次は「輸入は英語が得意じゃないとダメだ。本が好きだから、書籍の転売ならいける！」と書籍の転売に。

その次は「書籍の転売は、ブックオフに買いに行かなきゃだめだし。買いに行く時間がないから、家でできるアフィリエイト！」とアフィリエイトビジネスに。

そのうち「続かない自分は根性が足りないんだ。『簡単に稼げる』なんて言う講師はダメだ。厳しいことを言ってくれる講師のもとでやってみよう」と、同じノウハウでも、ちょっと厳しい言い方をしている講師の教材を買ってみたり。

こんな調子で、１つのノウハウすらやりきれないのに、何かしらできない理由を付け、もっといい方法があると次を探したり、これならできると新しいノウハウに飛びついた。典型的なノウハウコレクターだった。

実際にノウハウを販売する人は稼いでいる人もいるだろうし、それで稼げている人もいるのだろう。

だけれども、私はできなかった。ノウハウの内容が理解できないわけではない。だだ、「これをやればよい」とわかっていることを、「やりきること」ができないのだ。

出産、育休からの職場復帰

その頃本業では、産休育休を経て、職場に復帰をしていた。元の部署の同じポジションに戻れたものの、育休前のようには仕事を任せてもらえていなかった。時短勤務な上に、子どもの病気などでいつ休むかわからない社員に対して、任せられる仕事がないのは当然だろう。

復帰させてくれた会社や、フォローしてくれるメンバーには感謝しているものの、やりがいが感じられなくなっていた私は、退職も考えるようになっていた。
育休中に参加したベビーマッサージ講座や幼児教室などで、キラキラしたママ講師たちを見て、こんな風になりたい・・・と憧れを感じていたこともある。「私も何か技術を身につけて、おうちで仕事なんていいな。」「こんな仕事なら、子どもと過ごす時間も増やせるな。」なんて思いながら。

そうは思っても、何の技術も資格も持っていない。
何か身につけるために、講座にでも通うか、資格を取るべきかと考えていた。
だけど・・・
「ちょっとまって。これじゃあ、稼ぐ系ノウハウを買っていたときと、結果はきっと同じ。結局、教材を買って終わりになるんじゃない！？」
やっとそう気づき始めたのだった。

これが本当にやりたいこと？

目の前にノウハウがあるのに、やりきることができない。それが悩みの種になっていた。なんで自分はできないのか？
儲かっている人や、キラキラしている同世代の女性。羨ましく感じているだけで、少しも近づけない。これってなんだろう。モヤモヤとするばかりだ。

そんなとき、コーチングのセッションを体験できる機会があった。
コーチに対し「これまでいろんなノウハウを手にしたが、どれも続けることができなかった。だけど、どうにか稼げるようになりたい。稼げるようになれば、会社をやめれるし、その後ベビーマッサージとかを習って、ママ講師にもなれると思うんです。だからまず"稼ぐ"系ノウハウで稼げるようになりたいんです！」こんなことを話していた。

そのときにコーチに言われたこと。
「"稼ぐ"ノウハウをやりきることができない理由って、それがKさんにとって本当にやりたいことじゃないからですよ。」「好きなことじゃないですよね？」ということだった。

口にはださなかったが、その時は、「本当にやりたいことだもん。これで成功したいと思っているもん。」と反発心が湧いていた。
「絶対成功して、コーチを見返してやるんだ。」そんな事も考えたが、その一方で、「本当にやりたいことじゃない、好きなことじゃないですよね？」その言葉がジワジワと心に響いて、本当にやりたいことってなんだろうと考えるようになっていった。

～第3回へ続く～

パラレルキャリアエッセイ　次回は、Aが主人公のエッセイ最終回になります。公開は、3月18日 土曜日です。どうぞ、お楽しみに！

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