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『パラレルキャリアエッセイ』 挫折の先に見えたものは〈第2回〉

書くこと、そして思い出をつなぐこと

夫が私の書く力を見出してはくれたが、それが今後につながっていくとは私はほとんど思っていなかった。
ただ昔からの習慣で、お世話になったり物をいただいた時には、お礼に葉書や手紙を書いたり、夫の文章作りの手伝いをしていた。

振り返るとこんなこともあった。
94歳まで生きた祖母が亡くなり私が孫を代表して弔辞を読むことになった。
突然のことで、眠い頭をコーヒーで起こしながら、急ぎ足で言葉を紡いだ。
お葬式が終わると、涙をハンカチで拭いながら親戚のおじさんが駆け寄って来た。

「素晴らしい弔辞だったよ。おばあちゃんとの思い出のエピソードもしっかり入っていて良かったよ。急なことで時間もなかったろうに、寝ずに書いたんか?」

「ううん、お葬式が始まる前に40分くらいで書いたんよ。」

その時のおじさんのびっくりした顔は今でもよく覚えている。

弔辞を読んだ後、私は祖母の好きだった「見上げてごらん夜の星を」を弔歌として歌った。
亡くなる直前に祖母は認知症を患い、私が孫だということもぼやけていたが、
この歌を歌って優しく手を握ると嬉しそうな顔を見せてくれた。

私はいつも通り言葉を紡いで弔辞を書いただけだったが、たくさんのお褒めの言葉をいただいた。
中にはうちの子の受験用の作文指導をしてほしいと言う親戚のおばさんや、私が学んでいた音楽療法(ミュージックセラピー)について詳しく教えてほしいというおじさんもいた。

人前に立って弔辞や弔歌を歌った時にも、緊張している様子はほとんど表に出すことなく、
堂々と役目を終えることが出来たのは、幼いころからの舞台経験が生きたのだと感じた。
今まで積み上げてきたことは、無駄になっていないのだと実感した。
この経験は私が私を取り戻す大きなきっかけになった。

Instagramとの出会い

ちょうど3年ほど前に、私はInstagramの存在を知った。
芸能人や流行に敏感な一般人のオシャレでセンスのいい写真が多く投稿されていた。
元々写真を撮ることが好きだった私は、顔を出すことなく写真を楽しく共有できるなら、と思い始めてみた。
最初は、祖父の家で採れた柿や、おでん作りの様子など、なんともない写真を投稿していたが、それでもいいね!を押してくれる人がいると嬉しいもので、投稿を続けていた。

そうするうちに、私は写真に添えるキャプションにもこだわるようになった。
写真がより際立つような言葉を考えて添えると、私のことばが好きだと言ってフォローしてくれる人も少しずつ増えた。

そんな中、私の好きなウェブメディアでコラムを書いている人にInstagram上で出会った。
私は勇気を出して、どうやってコラムを書くようになったのか、コメントで聞いてみた。

すると、「ウェブメディアで募集をしていたので、応募してコラムニストになりました。
夢は口に出していけばほとんどのことは叶いますよ!」と、とても親切に教えてくれた。
私は自分でも信じられないくらい自然に、こうコメントしていた
「私も文章を書きたいんです。」

今までように舞台でスポットライトを浴びるわけではないけれど、
私の紡いだ言葉が光を浴びで私自身も光らせてくれるような気がしていた。
この時には私は文章を書くのが本当に好きになっていた。

〈第3回に続く〉

いかがだったでしょうか?
挫折からまだまだ立ち直れていない段階でも、
弔辞を読む機会があったり、新しい前向きな出会いがあったりと、少しずつ自信を取り戻すきっかけをつかんだ主人公。

第3回では、いよいよパラレルキャリアというキャリアの積み方に出会います。
第3回完結編の更新は3/18土曜日です。
どうぞ、お楽しみに!
#エッセイ #執筆 #パラレルキャリア
#私らしさ #挫折 #自信

『パラレルキャリアエッセイ』

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第2回 3/4up!
第3回 4/8up!

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