【窯まつり・絵付】の道行#10「もっと練習を」
こんにちは。上出惠悟です。
いよいよ第2回目の轆轤(ろくろ)まつりが始まります。今回からはコロナ前と同じフリー入場制になるので、是非多くの方にお越しいただきたいです。16回を数える窯まつりに比べればまだまだ手探り状態ですが、轆轤師を中心に職人たちは張り切って準備をしています。轆轤まつりはこれまで華やかな絵付の影に隠れている轆轤に光を当てようと企画されました。改めて考えてみれば、回転する台の上に乗せられた粘土が、人の手によってあらゆる形に変化する轆轤という技術は非常に面白いものです。見ていても飽きることはありません。私が中学生の時、土曜日の午後によく轆轤師の河田の横に立って他愛もない話をしながら、器が次々と形作られるのが気持ちよく、ずっと見ていたのを思い出します。
また、今年は新しいシリーズ「九谷瓷器(しき)」が轆轤まつりでお披露目になります。九谷瓷器がどういう物か簡単に説明すれば、本焼成を行わず素焼に九谷の和絵具(上絵具)を釉薬のように施したシリーズです。素焼と言っても通常と比べればかなり高温で焼成します。そうすることで最低限の強度を持たせます。詳しくは現在九谷瓷器をプレ販売中(9月29日まで)の9days Shopをご覧ください。
9days Shopにも書いていますが、「瓷器」とは奈良・平安時代に焼かれた釉薬がかかった陶器を表した言葉で「奈良三彩」や「正倉院三彩」と呼ばれている日本最古の釉薬をかけた陶器のことです(九谷瓷器はこれらを模倣や再現しようとするものではありません)。施釉するために素焼をした瓷器は当時の技術としては一般的ではなく、宗教の道具として使用されたと言われています。素焼を本焼成せずに和絵具を塗って焼けば、ある程度の強度が保てて良いのでは?という発想自体は、私が20代の頃に思い付いて大発見だと喜んだものですが、これはむしろ1300年前も遡る先祖返り(に近しい)だったことを後で知りました。
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上出長右衛門窯の道行
現在進行中の新作開発の紆余曲折するストーリーを、テキスト、写真でお伝えしています。旅は道連れ世は情け。これまで秘密にしていた新作とそのアイ…
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