たぶん、なれない。
朝、長男に、ソーセージのこの外側の部分なに?と聞かれ、
「たぶん、腸。」
と、答えたときの長男がこれまで見せたことが無いほどに怪訝な表情が、よかった。出来ればもう一回見たい。怪訝であれ何であれ、お肉大好き長男は、それを聞いても、とりあえずは食べていた。腸であれ何であれ、彼的にはどうにか咀嚼できる事だったらしい。
次男はいつも大体、朝ごはんを食べたくないので、
「こどもって、トマトと何かわからないお肉と卵がきらいなんだって。」
と教えてくれた。
今日の朝ごはんにトマトは無かったので、トマトが一番嫌いなんじゃないかと思う。あと、ソーセージが何の肉かまじめに考えるタイプの人は、今後の人生、結構ハードモードだと思うので、がぜん頑張ってほしい。
ちなみに、唐揚げでもとんかつでも、何かに包んであるタイプの茶色い肉は、何の肉か分からないよ。。と、毎食悩んでいるようなので、彼にとって何の肉かという事は大事な部分らしい。何の肉か分かったところで、さして食べやしないので、おそらく草食に近い動物のはずだ。
そんな次男はサンチュが大好き。サンチュは胃もたれしたくない中年用のメニューだとお母さん思ってたけど、3歳児が喜んで食べるのを見て、自分の考えられる事なんて、この程度の発想なんだと思い改めた日を思い出すよ。あれは去年の夏だったね。あの時、お母さん34歳だったけど1年たって、何の肉か分からないと食べられないっていうお母さんの中に無い問いかけにぶち当たって、正直面倒くせえなって思ってるよ。
さっきから、トミカやらプラレールと恐竜のフィギュアを使って、部屋中に街を作成して遊ぶ彼らの脚本のないアドリブのやりとりが、佳境にきている。
「この中に、有名なひとはいますかー?」と、長男が声を張り上げる。
「はーい、ぼくがゆうめいですよー。いらっしゃいませー。」と、次男が打ち返す。
「あべそうりだいじんくらい有名ですか?あれ、さっきまでここにあった、パーツがない。あれがないと。あれ、知らない?ねえ!」と、長男が声を張り上げる。
「うえのへや、いってくるねえ。」と、打ち返す次男。
随分と、こんなパラレルなやりとりが続いている。どっちもどっちだが、個人的には、次男が悪い気がする。
パーツを見つけ出し、トレインビューな4階建ての建物を作り上げ、ご満悦な長男。
「おい、ここを新しい線路に変えろ。」と、張り上げる長男。
「はーい、だれか、かえてくださいー」と、もうなんとなく言ってるだけの次男。
「ねえ、鈴川さんの動画、観たい。」と、長男。急に、来る私のターン。
「何してる鈴川さんが観たいの?」と、私。
「鈴川さんなら、何でもいい。」と、長男。
YouTubeで鈴川絢子と検索し、トミカタウンで遊ぶ鈴川絢子の動画を再生する。
何していても良いんだと、評価されている鈴川さんに、わたしは嫉妬の気持ちがある。息子らと彼女の付き合いは3年くらいだ。一応、私は彼らと5年以上の付き合いがあるので、私の方が断然長い。断然だ。初めは認められなかった鈴川さんへの複雑な感情を、最近は素直に嫉妬だと自覚するようになった。息子たちから絶大の人気を誇る、女。鈴川絢子。鉄道ママ芸人。29歳。ちなみに、わたしと誕生日一緒。
私の中の彼女に勝りたいと思う気持ちは、鈴川さんを引きずり下ろす事でしか、成就しない。嫉妬を自覚した頃から、鈴川さんの話し方の真似の練習を進めている。トーシロの物まねと思えば、結構似ている。やれば、息子たちの苦笑いをゲット出来るくらいには、似ている。
鈴川さんは電車に詳しくて、優しくて、可愛いママなのに、この人はなんで。。くらいには思っている感じの苦笑いゲットである。
この意味不明は嫉妬の行方が変な方向に行きませんように。
いつか鈴川さんみたいな女の子になれますように。
20200528