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ホワイ アメリカン ピーポー!!!!!

「どうしてなんだよ…なんで、こんなやり方になるんだ…」
小学5学年の算数の問題集を眺めながら、私の午前中は終わった。
子供の宿題の予習をすることになるなんて、ここに来る前は予想もしていなかった。
まず、問題が答えとして何を求めているのかが分からない。
なぜ、そんな簡単なことを確認させたいのかが、分からない。
なぜ、そこで同じことを2度やる必要があるのかの論理的な説明をしてくれよ。
なのに、論理的に必要が分からない答えを英語で、書かなければならない。
そして、その英語が、分からない。

※画像は、分数のthe arrow way という解き方で、これは唯一これの方が分数の引き算は簡単かも!!と思えた画期的なやり方だった。
ちなみに、日本では小4の内容が大体アメリカの5学年の内容であるのも、興味深い。

午前中を潰して取り組んだ5学年の宿題のテキストをめくりながら、アメリカ人とは分かり合えないような気持ちになる。分からないのは、算数じゃ無い、アメリカ人なんだよと、私は感じるのだ。

2時過ぎにスクールバスに乗って帰ってきた息子たちと、宿題に取り組む。
こんなでどうやって期末試験なんてどうやって受ければ良いのだろうか…などと考えていたある夕方、5学年の担任のアメリカ人ブライアンから電話があった。


「はい!彼は今日テストを受けて、74点だったよ。僕はこの結果に結構驚いたよ。翻訳機を使いながらやったし、翻訳機に彼は戸惑っていたと思うし、なんか色々上手くいってない感じだった。どう思う?」


みたいな事を言う。

「わ、わたし、あなたの言ってることは分かるけど、私、私の言いたいこと上手く言えないから、メールしてもいい?それか、夫と話す?」

「旦那さんから電話貰えたら助かるな!」

ブライアンの言ってることは分かるのだが、彼の言いたいことが分からないし、自分の言いたいことは、言えない。その点数がいいのか悪いのかも分からない。
正直、何がどう問題だから、電話してきたのかが分からない。それはつまり、算数の問題と同じなのだ。

夫がブライアンと電話をしてみても、結局、ブライアンは何が言いたかったのははっきりせず、夫にも同じような事を彼は言い、彼は息子の状態が良いとも悪いとも言わず何も解決せず、電話を切ったらしい。

ただの報告だったのだろうか。
じゃあ、なんの報告だったんだろうか。

夫婦で考えてみても分からず、なんか思いついたから電話してみただけかもしれないと飲み込むが、
ホワイ アメリカン ピーポー?!!!ではある。

ブライアンには、ブライアンなりの何かがあるのだと思うが、どうしてもそれは私たちには分からない。ブライアンだけでもスッキリ!!としていたら良いなと思う。


子供を学校に送り出したある朝、アパートの各戸の前にリサイクルボックスが出ていることに気づく。

ペットボトルと燃えるゴミを分けて出せるシステムがこのアパートにもあるらしい。日本人のゴミ思想として、全てを同じゴミ袋で捨てるのは忍びなく分けてはいるが、結局、アパート指定の同じ巨大ゴミボックスへ捨てて来た。それ以外の方法があるらしいと分かり、すぐ大家のミーガンに連絡を入れる。

「リサイクルボックスを使いたいんだけど!」

「あなたのリサイクルボックス、ベランダとかにない?!あれは使わなくてもいいけど、欲しいなら明日持っていく〜!」
と、返事がある。
「ベランダにも無いから、明日よろしくね!」
と返事をして、2ヶ月待ったが、ミーガンはまだリサイクルボックスを持っては来ない。

多分一生持ってこない。

ミーガンは壁を塗りにくると言ったが来なかったし、設備点検にももちろん来ない。

来ないのがデフォ。
むしろ今うちらが、ここに住めていることが奇跡。2階だけど。


どうしてなんだよ、アメリカ人。


だが、大体のこのミーガンやブライアンとのやり取りを、夫に頼っている私である。
英語を少しは話せるようになろうと、英語の学校に通う事にした。

校長先生みたいなヒラリーの面談を受け、まずはレベル3くらいからやってみましょうと提案される。
授業は丁寧だし少人数だから、気は楽だ。
だが、少し簡単なため、暇だった。
そのことを面談をしてくれたヒラリーに失礼のないよう遠回しに、
「今日の授業は楽しかったけど、内容は知っていたから他のクラスもみてみたい!」
と言った内容でメールすると、ヒラリーは
「ちょっと分からないわ。あなたは他の時間帯の授業を受けたいの?」
と全く察してはくれない。

この時点で、ヒラリーは、私に対して英語力はその程度なのだから黙ってやればいいのにと思っているので(我誇大被害妄想)、最初から考えるとメールの返信はどんどん短くなっていく。

「他のレベルでもいいので、同じ時間帯の他のクラスを次は受けたい」
という内容のメールにはもう返信がなく、

「レベル4ー5を試しに受けたいから、来週の水曜日に話せたらいいな!」

と後日はっきりとメールすると即、
「オッケー!!そうしよ!!」とだけ返ってくる。

ヒラリーの正確な心中は知らんが、彼女がとにかくこのやりとりを面倒くせえと思っていたのは分かる。人種差別とも違う、面倒くさいとすぐ、考えるのや~めた!な、アメリカ人である。

翌水曜に顔を出すと、ヒラリーはレベル4-5のとても親切そうなアメリカ人の担任ドナに、
「彼女はレベル3と4の間なの、チャレンジしたいそうだからよろしくね!」と私を紹介する。

つまり、ヒラリーはメールで私が言ってたことを100%理解しているのに、もうなんか面倒くさいから、無視していただけだったわけだ。

気持ちは分かるよ、ヒラリー。
あたしってなんかめんどくさいもんね。わかるわかる。

実際、レベル4-5のクラスはついていくのは精一杯で、ペアになったインド人の若者におんぶに抱っこになってしまった。二人で会話劇を作るのに、彼が一人で台詞を考え私に役を与え、演出までしていた。大忙しである。あのインド人の優しいインド人の若者は、インドでは医者をしているらしい。
お医者様からの、急な演出家にまで対応していて、すごいと思う。
ちなみに、インド人の英語は彼らのvision がregionに聞こえる私にはほぼ聞き取れず、また私は英語だと急に話したいことが無くなるので、私たちは字を書いたり、絵を描いたりしてコミュニケーションを取った。

わざわざ通っている英語学校で、完全なる非言語コミュニケーションになってしまっていて、申し訳なかったが、ちょっと楽しかった。

授業自体は何を言っているかはわかるし面白いのだが、私のスピーキングが追いつかない。でも、レベル3には行きたくない。クラスのメキシコ人女性が、ガム食べながら上から下まで見るあの女ムーブをかましてきて怖かったし、なんか異様に内容が簡単だから。なら、まだレベル4-5で非言語コミュニケーションをして周りに迷惑をかけながらの方が身になりそうではある…と、こんな複雑な相談をヒラリーにしても、彼女は無視だろう。


なので、そこに通うのをやめた。
今は、ギャビンがやっている他の英語学校に通っている。そこでも、ペアになった中国人に最後まで中国人だと勘違いされたり、トイレで一緒になった中国人にも中国人だと思われ話しかけられるし、中国語で挨拶されるのでとりあえず、「再見(サイツェン)」と返事をしている。

アメリカ人も変だが、私も大概変ではある。

一応ヒラリーには複雑な心境を書いたメールを、優しいドナには感謝のメールを送った。

もちろんヒラリーは無視、ドナからは温かいメールが返ってきたので後日、ドナに返信をすると、

今度はヒラリーから長文の
「ドナから聞いたけど、もう来ないの?!!どうして?!!私たち、あなたを助けられると思う!!レベル4-5でも3日も経てば着いていけると思うの。ぜひ、相談して!!」と
メールが来たので、今度は私がそのメールを無視している。


ちなみに、我が家の一階に住んでいる在米韓国人老夫妻は、私が欲しくて仕方ないリサイクルボックスを植木を置く台として使っている。これを目撃した時私は、声に出してこう言った。


「どうしてなんだよ!!!」

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