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【日記】済ませられない派_230115

世の中の人々は二種類に分けられる。無料の商品引換券だけで会計を済ませられる者と、済ませられない者だ。

「済ませられる側」の考えは、明朗にして議論の余地さえ見当たらないものである。つまり、我々消費者は当然の権利を行使しているだけである、と。もしもなにか、無料クーポンだけで会計を済ませてはならない理由があるのなら、クーポン自体に利用条件を設けておくべきだ、と。

それに対して、筆者を始めとする「済ませられない側」の思いはやや込み入っている。

たとえば、店側が商品引換券の発行をもって「ついで買い」を誘発しようとしているのは明らかであるし、消費者としてそのくらいの協力はしたいだとか。

さらに言えば、そういった店側の意図を汲まずに無料のものだけを得てしまうと、店員に「浅ましい」と思われそうだとか。

あるいはもっと単純に、引換券のみを使うことで発生する「お会計0円」というイレギュラーや、そこで生じる店員と客との奇妙な間を恐れているケースもあるだろう。

こうした我々の逡巡について、この繊細さを評価して欲しいなどと厚かましいことを言う気はない。

ただ、世の中には「済ませられない側」が存在する、ということだけでも知ってもらえればと思う。

さて、前提条件の共有が住んだところで今日の日記である。

年初にマックの福袋を買った。

[https://www.mcdonalds.co.jp/campaign/lucky-bag-2023/]

CHUMSとコラボしたかわいらしいバッグなどなどのほか、3030円分の商品引換券が入っている。

内容物の中でもとくに筆者はミニバッグをたいそう気に入っており、特別な荷物の必要のない日はもっぱらこれに財布だけ入れて外出している。

そして、その財布の中には当然マックの無料券が入っているわけだ。

この状態でマックを食おうと考えると、さまざまな困難が生じる。

まず、このカバンを背負ったままマクドナルドに入店すること自体に一定のハードルがある。

例のバッグはなかなか露骨にマクドナルド色をしているし、そもそも福袋自体が、購入するためには積極的に情報をキャッチアップした上でそれなりに低確率な抽選を通る必要がある。

そんなカバンをこれ見よがしに提げてマックに入店したら「こいつどれだけマック好きなんだ」と思われることは避けられないだろう。

さいわい今は厚着の時期なので、筆者の場合はカバンをダウンジャケットの内側に提げ直し、財布をポケットの中に移動することでこの問題は解決される。

次はメニューの選択。例の無料引換券は買えるハンバーガーの選択肢が限られているため、チケットを束ねた小さい冊子をめくりながら何を食うべきか考えることとなる。

ここでさらに「無料の引換券だけで会計を済ませられない側」である筆者には、なにをチケットで食べてなにを普通に買うか、という選択も発生する。

ハンバーガーとコーヒーをチケットで頼んでサイドメニューを現金で支払う、みたいなかたちが真っ先に思い浮かぶところだが、ここではそのような「無難」な選択はなるべく避けたい。

なにせ、普通のセットメニューと同じような構成にしてしまうと「普通に頼むよりも余計な手間をかけて小銭を節約しようとしている」といった浅ましい雰囲気がにじみ出てしまう。なるべく「バーガー2つと飲み物」だとか、とにかくそういった感じで、クーポンを持っているからこそ、の食べ方を志向したい。ただ金をケチるためではなく、より豊かな選択のためにクーポンを使うのだ。

ここまでのすべての判断を「店の外で」行ったのち、満を持してマックに入店する。事前にシミュレーションした通りに注文を通せば、奇異の目を向けられることはあるまい。

「クーポンn番と……」「他にご注文はございませんか?」「……あとm番と、コーラゼロのMサイズをお願いします」「他にご注文はございませんか?」

ほかにご注文はございませんかだぁ? 人がこれだけ考えて注文してるのにまだ不満があるのか、ふざけるなよバイト風情が。

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