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サバンナが黄金に輝くとき

朝もやが立ちこめるサイマラ。柔らかい陽射しで朝露が輝き、草原が黄金に染まる。鳥達が歌い、シマウマは長く危険な夜の終わりに安堵するかのように静かに佇む。サバンナのゴールデンタイム!

―――って、そんな溜息がでるような光景は、
ケニアに行ったて、いつでも見られるわけではないのです。

だって朝もやなんて毎日出ないし、朝露だって降りない日もある。じゃあ、
「いつならこんな素敵なシーンが見られるの⁉」
「せっかくケニアまできたのに、インスタで見たのとなんか違う!」
という“残念なサファリ”にさせないのが、『まるまるサファリの本』の使命!←と私は思っている。

“いつならこんな絶景が見られるの?”の答えを求めて、取材開始です。
まずは調べなくちゃ。だって、

「朝もやが立つ条件は?」ってそんなことすら知らないんです、私。
どちらか言うと文系芸術系人間で理系は苦手だったのに、サファリのガイドブックを書く以上、自然科学は避けて通れない。放射冷却だとか、朝もやと朝霧との違いだとか、なんだか難しくて頭を抱えてしまったけれど、とりあえず分かった条件をざっくりまとめると、
<前日温められた空気中の水蒸気が、翌朝気温が下がり冷やされたとき>
つまりこれをケニア、タンザニアで考えると、

1. 朝がた冷え込む ← 朝は1年中寒いから、これはOK。
2. 湿度は高め ← 雨季?でも朝陽が出なくちゃ意味ないし、晴れても雲があったら邪魔。
3. 前日暖かく水蒸気が温められること ← 雨が降ったら温められるどころか冷えてしまう。
ということで、<雨季は終わっても湿気は残っていて、昼間太陽が水蒸気を温め、雲が邪魔せず朝陽が見られる季節>
つまり……うーーん、小雨季が終わった頃かな。
机上の話なので、とにかく行ってみないと。

やってきました。ナイバシャ湖!

カバが棲む淡水湖です

2014年12月中旬。小雨季が過ぎ、雨はあまり降らない頃です。湖畔のパピルスは青々としていて、朝もやを発生させてくれそうな湿り気満々です!このまま明日まで雨が降らないといいけれど。
ボートサファリはもちろん早朝にお願いしました。

漁師さんが早朝のお仕事中

ボートで湖に出ると、鳥達が静かに朝を待っていました。早起きのカワウが水しぶきをあげながら水面ギリギリ飛行。昼間は高速で飛び交っているツバメもジッとしている。色鮮やかなカンムリカワセミも活動開始前。

鳥好きには至福の時

湖には朝もやが立ち込め、幻想的です!

これこれ!これですよ。朝陽が昇ってきました。

やがて朝陽が湖をオレンジ色に染めていく。そして……、

絶景ですぅ♡

過去30年にわたって撮ってきたマサイマラの写真を見ても、朝もやが写っているのは12月中旬、3月初旬に訪れたものでした。サファリ好きの知人が撮った朝もやの写真も、訪問時期を聞くと2月。

 12月~3月(初旬)は小雨季と大雨季の間。大乾季ほどカラカラではなく、昼間は暑い頃なので、やはり小雨季の後は朝もやで幻想的な光景が見られる可能性が高いようです。

まだまだ取材は続きます!
次はアンボセリ国立公園で検証。
2月に訪れると、やんわりと朝もやが立ち込める中でシマウマの赤ちゃんに会えました。

草食獣の赤ちゃんの多くは1月~2月に生まれます

早朝ドライブに出発したサファリカーが朝もやの中を駆け抜けます。ワクワクする時間!

朝陽を撮っていたら、朝もやがたつ道にチーターが現れました。

やはりこの頃は朝もやがドラマチックにサバンナを演出してくれる季節のようです! 東ゲートの外のロッジに泊まったため、公園東側での撮影になりましたが、次回は朝陽が昇る前に中心部まで繰り出し、朝もやが立ち込める(であろう)湖の様子を確認してきます。

ちなみに朝もやの確率が高い12月~3月初旬は、キリマンジャロが裾野の方まできれいに見られる確率も高く、山頂の雪も多い頃です。アンボセリを訪れるのなら、12月~3月初旬はおすすめですよ♪

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