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わけあってカメラ目線のどうぶつ写真が撮りたい!

『まるまるサファリの本』用に、どうぶつのカメラ目線の写真が欲しい。
野生どうぶつを撮影するカメラマンであれば、レンズをじっと見ているような写真はNGなのでしょうが、『まるまるサファリの本』用に、カメラ目線の写真を撮りたい。特に小動物や地味な草食獣は、カメラ目線がいい!

ウォーターバックのこども♡

なぜなら……、

目線を送っている写真は、人間であれどうぶつあれ、印象に残る度合いが高いのです。ある編集デザインの実験でこんなのがあります。
風景写真、人物写真、静物写真、どうぶつ写真など、様々な写真30枚を30秒見せて覚えてもらいます。30秒したら回収し、次にその30枚の写真に100枚の別の写真を加えて、合計130枚の写真を見せ、
「さっき見た30枚の写真で覚えているのを抜き出して」
というものです。

印象に残る写真はどれ?

高確率で多くの人が覚えている写真が人間、どうぶつなのだそうです。全身写真よりバストアップの方が記憶に残っていて、さらにカメラ目線の写真をよく覚えているそうです。趣味嗜好によって多少の違いはあるものの、記憶に残りがちなのが目線を送る人間、どうぶつ。

本、雑誌作りでは目線はもちろん、写真が引きか寄りか、人物は右向きか左向きか、それをどう配置するかなど、ページを開いた瞬間の読者の潜在意識を考えながら編集します。

話はサファリに戻って、

サファリのときはライオンばかりでなく、小動物や草食動物にも注目してね!なぜなら、彼らに目を向けるとサファリがぐーんと楽しくなるんです!
脇役(草食獣)あっての主役(ライオン)。脇役が魅力的な映画、ドラマって面白いでしょ?サバンナに繰り広げられるドラマだってそうなんです!

↑子供がママにじゃれている。……じゃなくて、これはセロジャッカル特有の習性がみられるシーン。脇役達の面白エピソードもおいおい書いていきますね

まるまるサファリの本』は旅行ガイドブックなので、何度も何度もページをめくることが想定されます。その時、ライオンやチーターの写真はページを開くたびにフッと目が行き、無意識に記憶に残るでしょう。一方であまり興味がないどうぶつは、目に入ってきてもサ―ッと記憶から消えてしまう。だからこそ小動物や草食獣も心に残るような編集を考える訳です。
そこでカメラ目線!

アフリカのどうぶつで、オオミミギツネが一番好き!
という私も、実は30年前に買った岩合光昭さんの『サバンナからの手紙』という写真集で、ジ……とカメラ目線を送るオオミミギツネに釘付けになったのがきっかけなのです。むっちゃ可愛い♡ 

ライオンやチーターばかりでなく、ありふれた草食獣や小動物も知ってみると魅力的。そしてそんな地味な脇役達あってこそのサバンナなのです。どうぶつ達は様々な形で繋がっています。ライオンやチーターを見る目も変わりますよ♪

オオミミギツネは草丈が短めの環境を好みます。シマウマが食べた後ぐらいが好き

ところが、どうぶつのカメラ目線って撮り始めると意外と大変。
草食獣に近づいて車を止めようとすると、
「そこに車を止めるの?」
って言うように、どうぶつ達は私達をジッと見るんです。でも、車がピタッと止まってカメラを構えられる状態になった頃には、下を向いて草を食べ始めている。警戒心が強い小動物なら慌てて逃げていく。なかなか撮れない。

マングース、サーバル、地味な草食獣達、カメラ目線を送ってくれー!
と祈りながらの取材はまだまだ続きそうです。

小さなどうぶつ達、かわいいでしょ♪ サファリで会えますよ!

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