映画「素晴らしき、きのこの世界」を観てきた
きのこ界隈で騒然となっている映画「素晴らしき、きのこの世界」(原題”Fantastic Fungi”)を観てきました。
新宿シネマカリテなど東京都内の映画館では9/24の初日より公開され、10月中旬までとなっております。他都道府県ではこれから公開or公開日未定です。
☆以降ネタバレを含むので注意☆
念頭におくこと
最初に言っておきますが、公開前よりこの映画の字幕監修をされた保坂先生や、試写に参加したきのこ界のみなさんが感想を掲載されている通り、眉唾モノ、って感じは否めませんでした。
アヤシイ主義主張を、科学的に正しいと思われる事象にうまい具合に織り交ぜており、いかにもナチュラル系のセミナー商法って感じ……。おカネのにおいがしましたねぇ。何も知らない純粋な人は鵜呑みにして信じちゃうかもね。自然派!とか、無添加!とかにヨワいお歴々は要注意なのよー。
ってなことを念頭に置いてもらった上で観るといいです。
映像が素晴らしい
それでも、映像の素晴らしさは他に類を見ないですし、CGを駆使した菌類の進化の歴史や植物との共生関係、出演者全員のきのこに対する愛は必見と言わざるを得ません。
冒頭より惜しげもなく投入されている超美麗タイムラプス映像は、脳の奥を刺激して、観ている側は快感と高揚感に支配されます。
シイタケ!ヤコウタケ!ダイダイガサ!ベニテングタケ!……などなど、出てくるきのこが何なのか考えたりするのにも忙しいです。
回転しながら成長したり、落ち葉を押しのけて出てきたり、傘が開いて朽ちていったり、動物の死骸を分解したり、きのこそれぞれの生きざまがこんなにも鮮やかに表現されていたことがあったでしょうか。
菌類の有効活用を訴える映画
原題は”Fantastic Fungi”で、Fungiは菌類全般のことです。日本語題はきのこと訳されていますが、きのこだけでなくカビや変形菌もたくさん出てきますし、内容もきのこに限りません。幅広い菌類の有効活用を訴える映画です。
きのこの薬効に注目して医薬品として利用しようという話から、ちょっと眉唾な部分が含まれるのですが、実際にきのこの成分を医薬品利用しているものも多数実在するのは本当の話です。漢方薬など利用したことがある方はピンとくるのではないでしょうか。
薬効を認められ医薬品として承認され実用化されているものと、まだ小規模な実験段階でメカニズムの判明しない精神的な効果を謳ったものを同列に扱うのは、化学出身の私としては非常に違和感がありました。専門性のある学問を専攻してこなかった方にありがちなのが、論文出たり講演会開かれていれば正しいと思いこんじゃうやつ。(簡単に大学入れる日本では理系大卒でも多いけどね)論文は発表者の「論」であって、それが正しいとは限りません。その論文についての他研究者の検証まで調べなければなりません。
ポール・スタメッツ氏はきのこを利用したサプリメント会社のオーナーのようですから、推して知るべし。会社の利益上げたいもんね。
日本でもありますよね、バンバンCM流して儲けてたのに薬機法に引っかかって急にぱったりやめるパターン。
しかし、いままで見過ごされてきた菌類を人類のために有効活用すべきという主張には私も賛同したいところで、きのこというと不気味で有害で陰湿で駆除すべきもの、のような風潮をどうにかしたいと思っています。
だからこそ、写真できのこの魅力を伝えようと「きのこのかわいさ知らしめたい!」と活動しているのです。まずは興味を持ってもらうことからなんですよね。その入り口を広げるのが難しい。
そのために、この映画はとても有意義な存在であると思いました。
まとめ
前半の美麗タイムラプス映像はもっとちゃんと見たかったですね。英語ができないものですから、字幕を追わなきゃならなくてとっても忙しいんです(苦笑)きのこに見とれていると話についていけなくなります。結構内容は濃いので、とりあえず字幕は頑張って追いかけました。急に縦横切り替わるのがホント見づらかったんですけどね……。統一してほしかった。英語できる方はいいですね、耳で聞けるので。
ちょっと途中話が複雑で理解が追い付かない部分もあったのですが、思い返してみると突然精神世界の話が始まったくだりだったりするので、その辺は軽い気持ちで聞き流して大丈夫だと思います。
きのこ好きはもちろん、ちょっとだけきのこに興味がある方、食べ物としてのきのこしか知らない方、いろんな方に見てほしい映画です。
あと、パンフレットは買った方がいいと思いました。補足情報も満載ですし、ミニきのこ図鑑もあって、本編を見るだけではわからない解説がとても重要だと感じました。普段パンフ買わないとちょっと高いなーって思っちゃいますけどね、読む価値はありますよ!
きのこをかわいく撮れるレンズ増やしたいです🌱🍄🌿