大正×対称アリス HEADS & TAILS オオカミ編 ネタバレ感想
前回に引き続き大正×対称アリス HEADS & TAILSをプレイしました。
https://www.prot.co.jp/switch/taishoaliceht/index.html
今回はオオカミ編のネタバレ感想です。
本編 (all in one) と猟師編の内容にも触れます。
オオカミ編、一言で語ると、
オオカミ、ナイスジョブ。
本編だと現実でのオオカミの働きがよく分からなかったんですよね。鏡の国では活躍してくれていたけれど。
本編のもう一つの物語でも、あくまで有栖百合花の目に映っているのはアリステアであって、オオカミの印象は薄かったところがありました。
蓋を開けてみるとこの子の果たした役目の大きさに驚かされました。16歳の仕事量ではない。
有栖百合花は"普通じゃない"ですが、オオカミは良くも悪くも普通の少年。その彼が百合花とアリステアたちへの愛情のために普通じゃない働きをしてくれたことにありがとうの一言でした。ただ現実寄り発言をすると幾らなんでもオオカミに背負わせすぎなので、少なくとも医療従事者の猟師はオオカミに高いステーキでも奢ってあげなよと思いました。
本編〜猟師編まではオオカミ=百合花のサポート役という印象が強かったけれど、想像以上にアリステアにガッツリ関わって支えとなっていたのが印象的でした。
アリステア本人も語っていた通り、オオカミと親しくなるまでアリステアの身の回りには有栖家の人間しかいなかった。
百合花の両親はあまり関与しないし、猟師はあくまで主治医だし、百合花は百合花なので、そこに悪意がなくても逃げ場がない圧迫感のようなものはあったんじゃないかと思います。
そこに家庭の外の人間で事情を知っても普通でいてくれる、同性で同い年のオオカミが現れてくれてアリステアの負担はかなり軽減されていそう。
オオカミがいなかったらどうなっていたんでしょう。オオカミがいてもグレーテルが生まれているくらいだから、アリステアはとっくに潰れてしまっていたかも。
もちろん百合花にとっても彼は大きな支えでした。
猟師編でも感じたことですが、百合花の精神状態はかなりギリギリのところで辛うじて踏みとどまっていたのだなと改めて思います。
オオカミ編をプレイするとアリス編BADの説得力が更に増す結果となりました。
アリス編BADのオオカミ視点も欲しくなりますね。
EDは3種類。
◆嘘つきオオカミ
オオカミには申し訳ないと思いつつ正直一番好きです。
妄想とはいえ赤ずきんとオオカミが話している姿を見られて良かった。
最後、これから2人の仲がますます深まっていくのをずっと一番近くで見守るんだろうな〜〜と思いました。3人で並んで座っているスチルがとても可愛くて、でもオオカミのことを思うとちょっぴり切ない。
百合花とオオカミが気付いていて、アリステアが気付かない(よね?)という構図も良かったです。
◆ごめんね
タイトルがもうね……。
両想いじゃないのにおでこにキスは流石に^^;という気持ちもありつつ、それくらいのご褒美がないと(あっても)釣り合わないような苦労をさせているので何も言えませんでした。
予告通り想いを告げ、予想通り断られ、ここで百合花が泣くのが重かったです。百合花もオオカミを利用している罪悪感はあって苦しんでいたんだなと再確認できました。それをオオカミ本人に否定されて、百合花は何を思ったんだろう。
嘘を吐くのをやめてしまったら御伽話の狼でいられないのが残酷なエンディングでした。流石大正×対称アリス。
ここでこれまで触れられることのなかった名前の"ゆうき"が響いてくるのが秀逸だと思いました。
◆王子と狼
強かなアリステアを見られます‼️
そんな場面ではないんですが、正直すぎるアリステアにちょっと笑いました。
オオカミの想いを知ってしまったらアリステアはどうするのかと思っていましたが、鏡の国から帰ってきたらアリステアは強かったです。
これまではオオカミがアリステアを支え引っ張る印象が強かったですが、ここで2人が対等なライバルになってくれて胸が熱くなりました。大きくなったね……。
そしてそんな2人が百合花のこと、そしてお互いを心から大切に想っているのも良かった。一生仲良くしてくれと思いました。
対猟師の共同戦線を組む流れで猟師編を思い出して歯噛みしましたが、アリステアとオオカミの友情が良かったのでよしとします。
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オオカミ編を振り返って。
ED分岐のための選択肢が全て「嘘を吐く」/「嘘を吐かない」で、冒頭と呼応しているのがにくい演出だなと思いました。
また、オオカミ編は猟師編にも増して登場人物の偏りが出そうなところを妄想内で交代人格を勢揃いさせて補っていたのが賑やかで良かったです。
ちなみに今回も苦手な部分はあり……。
本編でも描写がありましたが、オオカミは年相応(?)に恋愛や性的な事柄に興味津々なんですよね。
それもオオカミ要素であり彼の普通さを表していることは理解できるのですが、許容範囲を超える生々しさ? お下品さ? でちょっと読みづらい部分がありました。
頻出するオオカミの妄想も百合花を性的に見ているものが多く、未遂かつギャグで終わるとはいえ毎回なんとも言えない顔になりました。
CERO高め描写、しっとり系とか匂わせ程度はおめでとう〜くらいで流せるんですが、オオカミのそういう発言にはちょっと引いてしまうところがあったんですよね。精進します。
良い人なんだけどね。それにそこがオオカミ君(by 百合花)だし。
下ネタ系統苦手な人は始めは少し辛いかもしれません。
……などの背景があり、オオカミ編終盤までは彼に感謝はすれど正直そこまで愛着が持てなかった部分がありました。
下ネタ要素と男女を強調するところ(対アリキャラは皆薄っすらそうかもですが)の他、百合花のどこが好きなのかよく分からなかったことも苦手な一因でした。
ただ、オオカミ本人が「自分には百合花の表面しか見えていない、内面が分からない」と語った時に殴られたような衝撃を受けました。そこまではっきり語らせるのか。グレーテルと百合花の停学騒ぎの後、アリステアが百合花のことを"普通じゃない"の色眼鏡で見ずに思い遣っていた時点で、アリステアと自分の間に絶対に越えられない壁があるとオオカミは気付いていたんですね。
百合花がアリステアを救う以前にアリスが百合花を救い、アリステアが百合花の心に触れている。オオカミは側で支えることはできても奥底は見えない、触れられないというのが、この物語におけるオオカミの役目と限界を表しているなと感じました。
そしてそんな風に思ってしまったらもう苦手なんて言っていられなくなりました。
ここまで百合花とアリステアを応援してきたプレイヤーとしては、彼に「幸せになってくれ」とすら言えませんが、せめて心からのお礼を伝えられたらと願って止みません。
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大正×対称アリス HEADS & TAILS、猟師編とオオカミ編で本編への理解が一層深まって良かったです。
"普通じゃない"と線を引きたくなる有栖百合花ですが、それだけではないんですよね。危うくて脆いところも魅力的な主人公だと思います。
学園編は最初に終わらせたので残るはアフターとおまけなのですが、本編を読み返してから臨みたい気持ちもあり悩みます。
何度も読み返したい素晴らしい作品と出会えて良かったです。
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