夏でも食べやすいチョコレート菓子むぎチョコ開発秘話
麦のポン菓子にチョコレートをかけただけでしょ?
一見簡単そうに見えるむぎチョコは、先人の苦労によって生み出されたのをご存じでしょうか?
昭和40年代の半ば、当時の社長であった高岡康博は新商品の開発に頭を悩ませていました。
そもそもチョコレートが売れる季節は冬
今も昔もそれは変わりません。暑い夏には冷たくさっぱりとしたものが好まれるため、チョコレートは夏には売れ行きが落ちるもの。
その昔クリスマスや誕生日のデコレーションケーキといえばバタークリームケーキしかありませんでした。
そもそも生クリームが高級品で中々手に入らなかったのと、今ほど冷房が普及していなかったことと、移送時の冷蔵装置や保冷剤などが普及していなかったので日持ちがしにくい生クリームを使ったケーキが少なかったのです。
思えばスーパーなどで事前予約するクリスマスケーキはバタークリームケーキだけでしたよね。今思うと溶けてしまうことを防ぐためだったことがわかります。生クリームケーキが出てきたのはもう少し後の時代。
常温で溶けやすいチョコレートは小売店で店舗運営上、夏場に売りにくいという理由もあり、チョコレート専業メーカーであったタカオカは夏場の売上が伸び悩む原因でもあり、夏にも売れる商品の開発は急務だったわけです。
「うちのポン菓子におたくのチョコレートをかけてみたらどうや」
そんな中、きっかけはポン菓子を製造するメーカーの経営者であった知人から声をかけられたことでした。
「うちのポン菓子におたくのチョコレートをかけてみたらどうや」
ポン菓子は穀物を膨らませたお菓子で、サクサクと香ばしく、季節に関係なく人気があります。
確かに、これにチョコレートをかければ夏でも溶けにくく、食べやすいものが作れるかもしれない。康博は開発に乗り出しました。
全てが試行錯誤の連続だったむぎチョコの開発
「ポン菓子にチョコレートをかけるだけなら、すぐにできるはず」そう考えていた康博ですが、一筋縄ではいきませんでした。
どれぐらいの量のチョコレートをかければちょうど良い具合になるのか?
ムラ無く綺麗にかけるにはどうすればよいのか?
チョコレートの粘度はどれぐらいにすればよいのか?
くっつかないためにはどうする?
溶けにくくするためのコーティングは何を?
温度は?湿度は?
など全てが試行錯誤の連続でした。
チョコレートが少なすぎれば単なるチョコレート風味のポン菓子になってしまって物足りない。でも、多すぎればチョコレート同士がくっついてしまうし、味もベタついてポン菓子の香ばしさが失われてしまう。
そうして様々な課題を乗り越え、「これだ!」というものが出来上がるには約2年もの歳月を要しました。苦労の末に完成した麦チョコは1972年についに発売を迎えました。
麦チョコに使用されているチョコレートはやや苦味のあるものでしたから、康博は麦チョコが子ども達に受け入れてもらえるかを心配していましたが、それは杞憂に終わりました。駄菓子屋で販売した麦チョコは飛ぶように売れ、すぐにヒット商品となりました。
麦チョコは今でも、当時と変わらぬ製法で作られ続けています。しかしその製法は、決してマニュアル通りのものではありません。気温や湿度によって綺麗にチョコレートがかかる条件が変わるのです。
職人たちは当時から受け継がれ、積み重ねたノウハウを元に、その日のコンディションに合わせてチョコレートの粘度やかける量を割り出し、回転釜のスピードを調整し、乾燥機の温度や乾燥時間も変えています。そうすることで、常に一番美味しい状態の麦チョコが作られるのです。この伝統はこれからもずっと受け継がれて行くことでしょう。
7月1日は麦チョコの日
弊社のロングセラー商品「むぎチョコ」は、2022年7月に発売50周年を迎えるということでこれを記念し、7月1日を「麦チョコの日」として日本記念日協会に記念日申請し、2021年9月28日に正式認定されております。
「夏でも食べやすいチョコレート菓子」にちなんで、夏の始まりを意識する7月1日で登録。子どもからシニアまで幅広い世代に親しまれてきた「麦チョコ」を、今後も多くの人に愛してもらうのが目的です。
高岡食品工業では今年麦チョコの日に向けてキャンペーンを考えていますので、むぎチョコと共に今後ともタカオカチョコレートをご愛顧賜りますようお願い申し上げます。