見出し画像

新型コロナ以外の病気になると思ったより大変

息子がPCR検査を受けた為、一個人の体験と感想にはなるものの、率直に感じたことを書き記したいと思う。


4月以降、息子がひと月に一度くらいのペースで、突発的に高熱を出すようになった。

突然39℃前後の熱が出て、次の日には何事もなかったように下がる。

異変があったのは、7月末。

その日も突然38.5℃の発熱があった後、翌日から微熱(37.2〜37.6℃)と咳が延々と続いた。

喘息の持病もある為、かかりつけ医を受診し、二種類の抗生剤を試したものの効果はなく、8月20日までの間に受診した回数は、合計4回。

採血、レントゲン、溶連菌にマイコプラズマ、甲状腺機能障害など、その病院で出来得る検査はほとんど受けたが、これといった異常も見られない。

受験期にもそういえば突発的な発熱が時折あったことを思い出し、心因性の発熱の可能性も考えた。

かかりつけ医と相談した結果、大きい病院でより詳しい検査を受け、そこでも異常がなければ、心療内科を受診してみようという話になった。

その矢先。

またしても息子が突然39.0℃の熱を出した。

夕方までは元気だったのに、夜9時頃に突然「熱っぽくてだるい」と訴えてきた。咳も酷い。

またか…、と思いつつ、その夜は解熱剤を服用させた。

翌朝の体温は38.0℃。けれど食欲も元気もあり、これはまた1日で下がるパターンだろうと、私もこの時点では軽く考えてしまっていた。

ところが午後2時頃に体調が急変。

一気に熱が39.7℃まで上がり、解熱剤を服用しても38.5℃程度までしか下がらない。

薬が切れ、夜には40.1℃になった。咳による影響か、喉と胸の痛みも訴えていた。

さすがに40℃を超える熱は親として心配なので、『#7119』にダイヤルし、夜間救急を受け付けてくれる病院を尋ねた。

教えてもらった病院へ電話をかけるが、どこも重症者や急患が多く、診察が困難だと断られた。

意識障害や呼吸困難などが無ければ、明日の朝まで待ってかかりつけ医を受診してほしいとのことだった。

お子さんが居る方は、子供が40℃を超える熱で苦しんでいる状態を想像してみて頂きたい。心配するなと言う方が無理だ。

夜中に状態が悪化するようなら救急車に頼るしかない、と不安を抱えつつ、アイスノンでどうにか息子の体を冷やして朝を迎えた。

翌日は、朝から39.2℃。体温は夜にかけて上がりやすいので、朝一の熱にしてはかなり高い。

すぐにかかりつけ医を予約し、8時半に駆け込んだ。

これまでの経緯もある為、先生が総合病院へ紹介してくれることになった。

最初の発熱から既にひと月経過しているので、先生も私も、新型コロナである可能性はかなり低いだろうという予想だった。同居している私たち家族の誰もが、発熱などの症状も出ていない。

これだけ何度も突発的な発熱を繰り返し、その間も微熱や咳が続くなら、新型コロナ以外の病気がないかどうかを調べてもらった方が良いと言われた。私も同感だった。


しかし、問題はここからだった。

このコロナ禍により、大きな病院では精密検査や入院などの際、先にPCR検査と抗原検査が必要になるらしい。院内感染防止の為だ。

つまり新型コロナ以外の病気の検査を受けたくても、まずはPCR検査と抗原検査を受けなければならない。

抗原検査は約1時間ほどで結果が出るそうだが、PCR検査は結果が出るまで最低でも数時間かかる。(これは我が家のように病院から直接検査に回された場合なので、保健所を通して検査を受けた場合は、結果まで2日ほどかかるケースもあるそうだ)

紹介先の総合病院へは、午前11時に来て欲しいという連絡があった。この連絡は、保健所から来る。この流れも正直ややこしいと感じた。

かかりつけ医→紹介先の病院→保健所→患者。恐らくこういう流れだ。

総合病院では所定の駐車場にて、車内で待機するように言われた為、その指示に従う。

病院に着いた旨を連絡すると、PPEに身を包んだスタッフの方が車まで来てくれて、車の中で問診を受ける。

私たちの他にも2台、PCR検査を受ける為に待機している車があった。

問診後、PCR検査と抗原検査を受けられたのは、実に1時間半後、午後0時半だった。病院の体制にもよるかも知れないが、基本は発熱外来のスタッフの方が対応してくれる為、発熱の急患などが多いとその分時間がかかるのだろうと思う。この日も、病院には何台もの救急車がやって来ていた。

PCR検査と抗原検査も、車に乗った状態で受けた。マスクで口元をしっかり覆い、鼻だけを出した状態で行われた。

もしも新型コロナ疑いによる検査であれば、この時点で一旦帰宅となる。検査結果が出るまで時間を要する為だ。

しかし、息子の場合は長く続く熱の原因を調べて貰う為に紹介してもらっているので、目的はPCR検査ではない。

かかりつけ医からは勿論紹介状も貰っていた為、最初にスタッフの方に渡したのだが、それでも発熱外来は慌ただしいからか、情報伝達が充分ではなく、息子も新型コロナの疑いで回されたのだという認識をされていた。

そうではない旨を説明したが、何せこの暑さで熱中症の患者も多いからか、診察室(隔離室状の個室)がなかなか空かない。

車から病院内の診察室へ入れたのは、午後1時を過ぎてからだった。

長机とパイプ椅子、それから手洗いの為の洗面台くらいしかない個室に入ること1時間。

午後2時過ぎに、やっとレントゲン撮影に呼ばれた。

そこから30分ほどして、今度は採血。

午後4時、ようやく先生が個室へやって来て、検査結果の説明をして下さった。

その内容にまた驚きだ。

これ以上の検査はPCR検査の結果が出ない限りは受けられないので、一旦帰宅してもらうしかないとのことだった。

貴重なPCR検査の枠を一つ使い、更に数時間に渡って個室を占拠してしまったにもかかわらず、PCR検査の結果を待ってから、精密検査の日程調整をしましょう、となるのだ。

しかも私たちは「新型コロナ患者かも知れない」扱いの為、個室に入ってくるたびに、医師や看護師の方々は、その都度エプロンや手袋などを装着しなければならない。

それを、全ての発熱外来患者に対して行わなければならないのだから、昨晩、夜間救急を断られたのもわかる気がする。

仮に新型コロナに罹患している可能性が限りなく低くとも、PCR検査を通さずして、今は他の病気を調べることも、手術や入院をすることも出来ない。

私は決して新型コロナを軽視しているわけではない。息子も喘息の持病があるし、極力罹患しないよう、感染予防にも気を付けているつもりだ。

それでも感染してしまうケースは多々あるのだろうし、まだ充分な情報がない以上、楽観視してはいけないウイルスだとも思っている。

けれど、今は何事においても「新型コロナかも知れない」が先に立ち過ぎていて、上手く回らなくなっている物事があまりにも多い気がする。

私の住む大阪では、発熱などの症状があってもなかなかPCR検査が受けられないという声も聞く。

今日、息子がPCR検査を受けるに至って痛感したのは、やはり医療現場の負担が大きすぎるということだ。

私たちが病院を出たのは、結局午後5時過ぎだった。

一人(一件というべきなのか?)の患者への対応に、およそ6時間。これでは到底次々に検査など出来ないだろうし、発熱患者の受け入れが限られてしまうのも無理はない。

それに、精密検査や入院、手術などの為に、限られたPCR検査枠を使ってしまうと、結果的に本当に新型コロナに感染している方が、検査を受けられない可能性も出てきて当然だ。

これでは到底、病院はまともに回らないのではないかと思う。

日々の感染者数や病床使用率などの数字より、目の当たりにした現場の壮絶さは、もっと世に知られるべきだと感じた。

本日対応してくださったスタッフの皆様には、心から感謝致します。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?