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「あ、わかった!」の瞬間って何だろう? 直感&論理のふしぎをゆる〜く解明

「理解する」ってどういうこと?

普段、何かを「わかった!」って言う瞬間、ちょっと気持ちがアガりますよね。たとえば、長年こじれてた数学の問題が急に解けたり、新しい料理レシピがすんなり頭に入ってきたり。あの「あー、なるほど!」っていう瞬間を味わうたびに、「わかるって最高~」って思いませんか?

でも、よく考えてみると、「理解する」ってそもそも何なんでしょう? 実はこれ、認知科学や哲学、教育学から心理学、人工知能の研究者までもが「わかりたい…」と頑張って解明してきたテーマなんです。
今回は、それぞれの分野で言われている「理解」のお話を、のんびりと見ていきましょう。

認知科学:脳は予測好き?

まずは認知科学から。認知科学の世界では、人間の脳は「ちょっと先回りして世界を予測する装置」だと言われています。要するに、まわりの情報をただ受け取るんじゃなくて、「こういう感じでしょ?」と常に予想して、現実とのズレを埋めようとしてるらしいんです。

たとえば私たち、横断歩道を渡るときに「車が止まってくれるはず…?」って予測してますよね(止まってくれなかったら困るけど!)。視覚も同じで、見えている景色を、過去の経験や知識をもとに補完して「世界はこうだろう」と脳内で描いてるんです。

つまり「理解する」ときも、既にある知識のネットワークに新しい情報を組み込んで、「そういうことか!」とモデルをアップデートしていくんですね。脳の中で、ネットワークづくりがうまくいったとき、あの「わかった!」感覚がドーンとやってくる。

哲学:知識より理解が大事?

さて、哲学の世界へ。昔から哲学者は、「知識って何?」とか「人間はどうやって物事を知るんだ?」みたいなことを延々と議論してます。

その中で、「理解する」というのは、ただ事実を暗記している状態とは違うんじゃない? と言われています。バラバラにある情報のあいだをつなげて、一つのまとまりとして見通せるのが「理解」。

たとえば、世界史の年号を100個暗記している人と、「あの戦争はこの資源を巡って起きた」とか「この文化があの国に影響した」とかを説明できる人だったら、後者のほうが「深く理解してる」という感じがしますよね。

で、哲学者によっては、「知識(ただ知ってる)よりも、理解(つながりを把握する)のほうが価値が高い!」って主張する方もいるんです。確かに、年号だけ覚えても「で、それがどうしたの?」になりがち。そこにはストーリーとか背景のつながりを見抜く力が必要なんですね。

教育学:深い学びが「わかった!」を呼ぶ

お次は教育学。学校で勉強してたとき、先生から「ちゃんと理解して勉強しなさい」って言われた経験ありませんか? 私はその言葉をうのみできずに、テスト前に勢いで暗記しちゃってましたが…(笑)。

教育学では、深い学び(deep learning) と呼ばれる概念が注目されています。ここでいう「ディープ・ラーニング」はAIとは別物で、「やけにモノを覚えられない人向けの筋トレ」…ではなくて、単に表面的に暗記するんじゃなく、概念をしっかりつかんで応用できる状態を目指す学習方法のこと。

たとえば算数の公式を丸暗記しても、「なんでこれで答えが合うんだ?」と聞かれると「え、知らん…」となることありません?。でも、公式の意味とか derivation(導出過程)を理解していれば、ちょっと形を変えた問題でも自力で解けるんですよね。

これがいわゆる「深い理解」。そして、この深い理解をサポートするには、

  • すでに知ってることとリンクさせてあげる(「あ、これ前に習ったあの概念と似てるね」みたいな)

  • 自分で考える時間をしっかり取る(アクティブ・ラーニング!)

  • 間違いを発見して修正するプロセス(誤解→なるほど→正解! みたいな流れ)
    …が大切とされています。

人工知能:機械は意味をわかってるの?

AIの研究でも「理解するって何?」というのはホットなテーマです。最近は、チャットGPTみたいにやたら頭が良さそうなAIが登場して、「ついに機械が人間を超えた!?」なんて話題になっていますよね。

でも、実は「AIは本当に意味を理解してるのか?」という点は、専門家の間で議論が続いてます。大規模なニューラルネットワークは、要するに膨大なデータを集めて学習し、「言葉と言葉の関連パターン」を見抜いて答えを生成しているわけです。

たとえば「おはようございます」と入力すると、「おはようございます。今日の天気は…」みたいに自然な返事をしてくれる。でも、それは過去のデータから確率的に導き出されているだけで、本当に「人間のように意味を理解して喋ってる」のかは謎。

もちろん、最近のAIが常識レベルの推論や、他者の意図を推測する「っぽい」ことまでやってのける例が出てきて、「あれ? これもう理解と言えるんじゃ?」という人もいます。ただ、「いやいや、ただ賢いフリしてるだけだよ」という声もあって、まさにバチバチの対立中。今後どうなっていくのか楽しみ(そしてちょっと怖い)ですね。

心理学:直感と分析、どっちも大事

心理学の世界では、「理解するまでの頭の働き方」についていろいろ調べられています。ここでよく出てくるのが、「直感(システム1)」と「分析(システム2)」の2モードです。

  • システム1(直感):速い! 自動的! 無意識!

    • 例)ベテランの医師が患者の顔を見ただけで「この病気かも」ってビビッとくるやつ。

  • システム2(分析):ゆっくり! 論理的! 意識的!

    • 例)数学の証明を一行ずつ丁寧に追って答えにたどり着くとき。

人はふだん、まずパパッと直感(システム1)で感じ取って、必要に応じて分析(システム2)でチェックする…みたいに両方を使っています。もし直感だけに頼ると、すごく早く「わかった気になる」んですが、思い込みやバイアスに引っかかる危険が。逆に分析だけやってるとめちゃくちゃ時間かかるし、頭も疲れる…。うまく両方を使い分けるのが鍵なんですね。

それから、突然「アハ体験」ってやつ、ありません? ずーっと考えてた問題の解き方がある瞬間にパッと浮かんでくる、あれです。心理学者によると、あれは無意識的な思考が水面下で解決策を探してて、ある瞬間にバチッと「わかった!」が出てくるんですって。不思議だけど、あの感覚は中毒性ありますよね。

理解するって、何が起きてるの?

いろいろ書いてきましたが、共通して言われるのは、「理解する」っていうのは、単なる情報の集合じゃなくて 「ものごとのつながり」をつかむ こと。脳内なりAIなりで「ネットワークの構造を作る」といってもいいし、「関係性や背景をストーリーとして見渡す」といってもいい。そうやって、バラバラだったピースがひとつの絵になったとき、私たちは「あ、わかった!」とスッキリするんですね。

とはいえ、人間がやってることをAIが完全にマネできるのか? 子どもが成長していく中で「わかっていく」プロセスはどう働いてるのか? 実はまだ未解明な部分もたくさん残っています。だからこそ、このテーマはいつまでも「気になる!」ってなるんですよね。

最後まで読んでくださってありがとうございます! ぜひ、みなさんも普段の「なるほど!」とか「わかった!」っていう瞬間に、ちょっとだけ意識を向けてみてください。自分の中でどんな変化が起こってるのか、観察してみると意外と面白いかもしれませんよ。

おまけ

  • 「スキーマ」 って言葉は教育学とか認知科学でよく出てきます。ざっくり言うと「脳内にある知識のひな形」みたいなもの。

  • 哲学のエピステモロジー(認識論)あたりを深掘りすると、頭がぐるんぐるんするけど面白いです。

  • AIの賢さにびっくりしたときは、「でもこのAI、本当に意味わかってるのかな…」ってツッコむのもまた一興。

もしもっと詳しく知りたくなったら、大学や研究機関での論文や専門書をチェックしてみてください(英語論文だとGoogle Scholarなんかも便利です)。
それでは、みなさんが「理解って奥深いなぁ」と思ってもらえたら幸いです。

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