いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう #2


音(有村架純)が東京に来てから1年が過ぎた。雪が谷大塚駅から徒歩20分の古いアパートを借りた音は、介護施設『春寿の杜』で働き始める。出勤前と帰宅途中、音は駅前に立って練(高良健吾)を探していたが、あの日以来、一度も会えずにいた。
練は、出勤前にひとり暮らしの静恵(八千草薫)の家に立ち寄るのが日課だった。静恵の家は練や晴太(坂口健太郎)らのたまり場になっており、練は庭の手入れなどを手伝っていた。そこで練は、デザイナーになる夢をかなえるために上京してきた幼なじみの小夏(森川葵)を晴太に紹介する。
引っ越し作業中、練たちは、荷物の中にあったビンテージのスピーカーを壊してしまう。先輩の佐引(高橋一生)がいい加減な扱いをしたせいだった。だが、柿谷運送社長の嘉美(松田美由紀)は、スピーカーを設置した練にその弁償を命じる。
音は、毎日ヘトヘトになるまで働いていた。早番だった日に、同僚の玲美(永野芽郁)の代役でそのまま遅番として働く日もあった。そんな折、音の前に、『春寿の杜』を経営しているグループ企業の御曹司・朝陽(西島隆弘)が現れる。朝陽は、音に興味を抱き…。
(公式サイトから)

すり減る話

 今回は東京でひたすらすり減る二人が描かれる。
 音は練から聞いた最寄駅だけを頼りに、その街へ引っ越す。ラッシュアワーの駅前で、奇跡を期待して練を待つのが毎日のルーティン。当然そうそううまくいくわけもなく、すれ違い続ける。何しろ名前も聞いていないのである。
 バスに乗る練と、電車に乗る音。北口のコインランドリーを使う練と、南口のコインランドリーを使う音。

ごはんを食べに行くということ

 スピーカーの代金20万円を木穂子に立て替えてもらった練は、木穂子を呼び出して礼を言う。立て替えてもらったことにも、そもそもお金を払うことにも、おそらく納得していない練だが、それでも木穂子が望む言葉を選んで、感謝してみせる。
 一方で小夏と食事をする晴太。彼は小夏の望む言葉はかけてくれない。他人のことを軽はずみに喋るなとか、君はそんなに可愛くないとか。配慮がないというか、優しさもなければ嘘もないやりとりの合間に、晴太はさらりと支払いを済ませている。会計でまごまごする練と木穂子の、慎重に言葉を選ぶ遠慮がちな会話とは対照的に映る。

 練たちのこの慣れない感じは、普段から出かけたり外食したりすることがないからだろう、と想像する。来るもの拒まず、去るもの追わず、な練のところに、木穂子が寂しさに耐えかねた夜に押しかけるだけの関係が続いて来たのだろうな、思わせる。それが今度は練のほうから押しかけて来た。それが木穂子にとって大きな意味をもってしまったのは、想像がつく。冗談混じりに話していたカーテンや調理器具の一式を買ってきてしまったのは、礼を言ってくれたり、会いに来てくれたのが嬉しかったからなんだろうな。必要とされていると思ってしまったんだろうな。そこまで想像して、胃がきりきりする。

腕時計を贈る話

 朝陽(西島隆弘)とバスケで勝負をし、高級腕時計を贈られた音は慌てて返しに行く。後日、ちょっかいをかけてくる朝陽を音は冷たくあしらい、朝陽は「御曹司嫌い?」とむくれてみせる。でも御曹司嫌いだよなぁ…。特に前話で御曹司(元婚約者)が里親に腕時計を贈るシーンがあっただけに、なおさら朝陽の姿は素直に受け入れにくいだろうな、と思う。

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