子持ちUXデザイナーが本気でオンライン家庭教師を選んでみた
こんにちは!今日は5/5のこどもの日ですね!
自己紹介や卒業式の記事でも少し触れましたが、私には3人のこどもがいます。
今日はこどもの日ということで、我が家の子どもたちの話題をちょっとUX観点を入れて紹介したいと思います。
実は我が家、2023年度は3人が受験生という大変ピリついた1年を迎えています。
受験をご経験された家庭にしかわからないかもしれませんが、受験生が家庭にいるってほんっとうに大変なんです。
塾の宿題のまるつけに、塾への送り迎え、夜ご飯のお弁当、本人のモチベーション管理・・
我が家は、父は自営業で多忙を極め、母はグッドパッチでるんるんフルタイム勤務なので、その激務をやり遂げられる気はまったくしておりません。
長男は超自立型で勝手に勉強をしていますが、次男と長女の双子はおっとりマイペースなので、高校受験にむけたサポート(主に自宅学習)はプロにお任せすることに決めました。
というわけで、受験生の双子たちのために探したオンライン学習サービスについて、検討から利用開始までを、親目線とUXデザイナー目線を行ったり来たりしながら振り返ってみようと思います。
オンライン学習サービスとは
オンラインによる学習サービスは、進研ゼミのような教材でのサポートをベースにしたものからオンラインによる家庭教師の指導をベースにしたものまで多種多様です。
今回はそれぞれどんなよさがあるか、いくつか試してみました。
ただ、子育ては十人十色みんな違ってみんないい。今回は我が家の子どもたちの場合を超絶親目線で語っていく部分も多いので「これが正解」ではなくひとつの意見として読んでいただけると幸いです。
学習サポートサービスの種類
まず学習サポートサービス、いわゆる子どもの学習塾には大きく分けて個別指導と集団授業の2種類があり、個別指導でも1人の教師に対して生徒が1人の場合と2〜3人の場合があります。
(生徒が1人の場合は個人指導、2〜3人の場合には個別指導と表現することが多いようです。)
さらに補習塾、進学塾、総合学習塾があり、全国的に展開する大きなサービスもあれば個人の方がやっているような塾まで種類はさまざまで料金も多種多様です。
ここにさらにオンライン/オフラインの選択肢が入ってくるので、もうどれをどう選んだらいいのやら・・という状態になる方も多いのではないでしょうか。
我が家の場合はオンラインがいい理由、1対1の個人指導がいい理由があったのでここに迷いはありませんでしたが、メリットデメリットがそれぞれにあるので、学習において何を重視したいかを子どもとよく相談する必要がありそうです。
なぜオンラインなの?
コロナ渦を経て、オンラインでの学習サポートサービスはとっても増え、オンライン対応してないところはほぼないと言って良いほどです。
我が家はわたしもパパもフルリモート環境で仕事をしているので、オンラインビデオツールには日々お世話になっており、家族全体で馴染みがあります。
オンラインで探し始めた理由としては、以下のメリットを重視しました。
特定の地域に住む先生の中だけでなく、全国から自分の子どもに合う先生を探せる(場合によっては複数の先生からサポートが受けられる)
送り迎えの心配も移動時間もなく、夜ご飯弁当の準備や遅い時間に出歩かせなくてよい
オンラインはオフラインの授業と比較すると安価
自宅にいるため親の目が届きやすい
さらに今回はそれぞれ以下の理由があって、オンラインの学習サポートに絞って検討していました。
2人ともゲームやお絵描きでパソコンの操作やデジタル物への抵抗は全くなかったのですが、学習サポートがオンラインでも問題なく学習できるかは、体験授業や学習相談を実際にやってから確かめていくことにしました。
なぜ個別指導なの?
個別指導の特徴としてよく挙げられるのは、子どもが学校の授業についていけていない場合や、逆に学校よりもペースを上げたい、周りのレベル以上に学力を伸ばしたい場合などに、その子どもに合わせて効率的に学べるという点です。
我が家は長男含め全員が個別指導を選びましたが、それぞれ理由は異なっていました。
ちなみに中学生の双子は同じ年ですが、行っている中学校も違うことと、上記の通り学習への希望が全く違うためそれぞれ別の学習サポートサービスを使うことになりました。
今回体験・比較した3つの学習サポートサービス
検討候補はほんとにたくさんあったので、今回は授業の方法、オンラインサービスの導入時期などから以下の4社を選定しました。
この段階で選んでもらえないと体験すらしてもらえないので、広告のインパクトの大事さが身に沁みます。
サービスを選ぶためにやったこと
いや・・・・・道のり長すぎでは!!!???
サービスを検討し始めてから最終的にどのサービスを使ってもらうか決定するまで、電話、メール、ウェブページの予約フォームなどサービスごとにばらばらな方法で事前面談や体験授業の予約をし、体験学習に同席、そこから2〜3サービスを並行で検討しながら、それぞれのメリットデメリットを踏まえて我が家の子どもたちに合うサービスを決定していくプロセスは、それそれは骨が折れました。
この比較検討フェーズをいかに簡単にするか考えることは、UXデザイナーとして腕の見せ所になりそうです。いっそ、比較させないでほしいです。
サービス選びで大事だと気づいたこと(UX観点)
ここらは、渦中にいると気づけず、はたまた作り手になるとさらに気づかないけど、数多のサービスからたった1つに選んでもらうためにどんなところを意識すると提供者の視点で考察してみようと思います。
その①手早く始めてもらう
ユーザーとそのサービスの接点はユーザーがそのサービスを知った瞬間から始まります。
ネットで調べてみても何ができるかわからない、他と比べて何が特徴なのかわからない、そのサービスを使った結果どんないいことがあるかが想像できない・・・
こんな状態になってしまうと、ユーザーの心を掴むことはできず、マイナスの感情を持ってしまうとそこからプラスに持っていくハードルはどんどん上がっていきます。
なんでもネットで気軽に検索できる今、ユーザーが今何を知りたいのか、いつどんな情報を知ってもらうとよいのかを考え設計することがサービスを選んでもらう鍵になりそうです。
A社の好例
ホームページでユーザーにやって欲しいことが「会員登録」のみというとても明快設計でした。
料金や授業の内容(の一部)もホームページに記載があるので、会員登録をすればその場で利用を開始することができました。
試しに娘に始めて見てもらったところオンライン講座も確認テストも短い時間でスマホで行えるよう設計されていたり、サービスのしくみの問い合わせや学習への不明点含めて質問への返答が迅速であったり「気軽である」「すぐに反応が得られる」という体験がサービスの認知から利用まで続き、一貫した体験が心地よさに繋がっているようでした。
他のサービスの体験授業の日程が決まる頃には1週間学習を体験できた後で、娘にはあっていそうだから継続しようという判断をしました。
資料請求後、電話がかかってくるのを待ち、電話に出れないと意思決定がどんどん遅くなる・・という体験は特にオンラインをメインとするサービスには不向きかもしれません。
その②自分に合っていると思ってもらう
ユーザーはそのサービスがどのくらい自分のことを理解してくれているか、無意識ながらとても重要視しています。
コンテンツを閲覧/購入したら類似したものをレコメンドしてほしいといった欲求や、自分の操作とは違う反応をするシステムに違和感を覚える、というのも「自分の意思を尊重しているのか」という判断軸が背景にあり、その意思を反映してくれるサービスに価値を感じます。
手早く始められることがメリットになりうるのも、自分に合っているかどうかを早く判断できるということにつながるからではないでしょうか。
D社の好例
学習相談の際、息子の学習状況をヒアリングしつつ、「どういう状態を好むのか」を理解することを目的とした質問を多くしていました。
また、「こういうふうにしていきたいということであっていますか?」と何度か私と息子に確認することで要望を整理していました。
最終的に息子には問題の本質を理解することや目標を与えてそれを定期的にクリアすることを重視する学習プランを提案してくれました。
なぜ問題の本質を理解したいのかということも息子に確認し、息子から「なぜそうなるかを理解した時に問題に勝ったと思う」という発話を引き出すことで「息子は負けず嫌いである」という性質を理解していました。
要望に対してなぜその要望が生まれたのか?性質や背景を深掘ることで相手の望む体験を提案するのは、まさに私たちUXデザイナーがユーザーインタビューから得たインサイトをもとに体験設計するのと同じ手法です。
その③信頼関係をつくる
今回は学習サポートサービスなので特に信頼が重要であるとイメージが湧きやすいかと思いますが、どんな経験もユーザーにとってはかけがえのない瞬間なので、支払った対価やコスト以上の価値を感じられ、信頼できなければサービスを選んでもらうことはできません。
一度でも不信感が芽生えると信頼を取り戻すのは難しく、失敗体験があると試してみること自体が負荷になり他サービス含めその行為自体をやめることにもつながります。
B社の悪例
体験授業の実施後に息子に感想を尋ねてみると「俺の理解力が足りないから、2つの問題をやるのに40分もかかってしまった」と完全に自信喪失していました。
「これで高校受験に間に合うのだろうか」という不安でいっぱいの状態の息子をみて、体験授業はやめておけばよかったと思うほどでした。
もちろん理解してないからこそ勉強が必要なのですが、息子が持っている理解力に合わせて勉強を進めてもらえなければ学習サポートの意味を果たしません。
また、サービス選びにおいて大手であることも判断基準になることが多い傾向がありますが、これは有名なブランドであれば失敗はしないだろうというリスクヘッジの感情が重視された結果です。
C社の悪例
とても有名で口コミの評判もいいサービスなので、私も息子もオンライン体験授業をとても楽しみにしていました。
しかし、時間になっても授業は開始されないどころかオンラインビデオツールの案内メールも届かず、問い合わせの電話をしてもサポート窓口は的を得ない対応。
1時間後営業担当からフォローの電話がかかってきましたが、システムエラーで体験授業の予約がシステムに反映できなかったとのことでした。
体験授業とはいえ予約システムで不具合が起きてしまうということは、今後のオンライン授業の実施にも不安が残るため、C社はお断りすることにしました。
本質である授業ではないところでユーザーを逃してしまう典型的な例ではないでしょうか。
まとめ
たった一文ですが、これをサービスで実現するには非常に多くの工程が必要です。
どうしたら目を引けるのか?
どんな手順なら「手早い」と感じてもらえるのか?
相手の何を理解すればいいのか?
どうすれば理解するための情報を提供してくれるのか?
理解した上でどんな提案をすれば自分に合っていると思ってもらえるか?
それ以外に「心地よい」と感じるポイントはどこにあるのか?
UXデザイナーは日々これらの問いに向き合い、答えを探し続け、なるべく確度の高い仮説を構築し、確度を高めるための検証をしています。
最終的にむすっめはA社、次男はD社で学習を開始することになりました。
サービス選びはひと段落つきましたが、ここから継続し、習慣化できるのかがとても重要です。
サービスの利用が習慣化するまでには、検討〜利用開始〜再利用〜習慣化といった各フェーズにおいて、さまざまなステークホルダーが関係してきます。
本人が楽しんでやれていても、成果が出てこなければ授業料を支払う親としては継続させるか悩みますし、勉強を教える側の先生の評価も上がらずこれもサービスとしては良い状態とは言えません。
成果は学校の成績や別会社が行う模試で測るので、学校の先生や友達もステークホルダーになりえます。
息子の学校の成績が上がればリファラルでお友達の家庭にも波及し、お友達と一緒に取り組めることでさらなる継続につながることも想定できます。
こんな風にサービスでの体験を関わる人や未来を含めて俯瞰的に考えてみると、よりよい体験がどんなものなのか考えやすくなるのではないでしょうか。
上記の通り、息子と娘の高校受験へのお勉強はまだ始まったばかりです!
継続、習慣化はするのか?息子をめちゃくちゃ理解してくれたと思っているサービスはどんな授業を続けてくれるのか?
その後のお話もこちらのnoteでご報告できるとよいなと思います。
続きもお楽しみに。
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